部屋探しと引っ越し 【グルジア酔いどれ夜話/Siontak】
第二十二夜
2015年4月に呼称をグルジアからジョージアへと変更した、南コーカサスの国。日本ではあまり馴染みのないこのジョージアへ、シルクロード旅行中にたどりついたSiontakさんのコラムです。ジョージアとはいったいどんな国で、どんな生活をしているのか!?
第2、4火曜日更新
<著者:Siontak>
春が待ち遠しい季節。
春の兆しのような暖かな日が数日続くとまた寒くなる、この三寒四温のような天気がなんだかんだと4月いっぱいまで続く。5月に入らないと寒さを抜けたとは言い切れないのだがこれが6月に入ると夏が始まってしまう。グルジアの春は短い。それだからこそ恋しいのかもしれない。
僕がグルジアに来たのとちょうど同じ2014年にグルジアにやってきてそれ以来仲良くしているオーストラリア人の友人が近所に引っ越してきた。元々広くないトビリシの中なのでどちらにしろ遠くはないのだけれど、歩いていける距離に友人がいるのはうれしい。平日も週末も関係なく飲酒相手ができてしまうのは危険だが・・
同縮尺で見るトビリシと東京。
トビリシ市の人口は150万弱、郊外も含めた面積は730㎢、23区外も含む東京都の人口は1363万、面積は約2200㎢。人口で9倍、面積で3倍ということになる。どちらも山地を含むので都市圏はもっと狭いのだろうがどっちにしてもあまり実感はわかない。
実は自分も昨年10月に引っ越しをした。グルジアに来て3度目の家探しだった。外国の町での部屋探し、引っ越しはいろいろと勝手が違って面倒だが面白いところもある。
僕の本業は観光ガイドですが最近は移住希望者から賃貸探しのお手伝いを頼まれることが増えてきました。本記事は2017年当時の物ですが最近はまた事情も変わってきました。サポートご希望の方はお気軽にご連絡ください。 →comegeorgia✴gmail.com またはこちらまで
部屋探しの方法は主に二つ。ネットと現地友人の紹介だ。不動産屋さんもあるがグルジア語やロシア語が話せない外国人にはなかなか難しい。
現地に友人を通しての紹介は条件が合った場合にはいろいろと融通がきくので助かり、またネットに出てない穴場物件に巡り合えることもある。
ネット上で不動産の賃貸、売買で有名なサイトはMyhome.geとSaqme.ge。英語版のUIがあるのは前者だけだが大抵の物件は両方に登録されているのでMyhome.geを見るだけでこと足りる。
Myhome.geトップページ。
一軒家なのかアパートなのか、賃貸なのか売買なのか、エリア、価格帯、広さを入れると結果が表示される。さらに細かく条件を設定することができ、物件の階数、建物の様式、バルコニーや家具、インターネットやTVの有無をオプションで加えられる。
グルジアの場合家具やベッド、冷蔵庫、鍋食器までついた状態で賃貸されるケースが少なくないので中古のそれが気にならない外国人にはありがたい。
家賃350$/月の物件のページ。家賃はGEL(ジョージアンラリ)払いとUS$払いのケースがある。適当な写真が数枚あるだけで間取り図がないので写真での見極めが重要。当然物件次第だが一人暮らし向けの下限は150$くらいからあり、350$は中の上クラス。
情報を総合すると地下鉄駅から5分圏内、96平米、寝室2室、ダイニングキッチン、リビング、おそらくトイレシャワー別とあたりをつけてみる。5階建ての建物の最上階だがエレベーターがないこと、シャワー、暖房がガスだとわかる。(これが電気やソーラーとなっていると冬場に地獄を見ることになる。)
めぼしい物件をピックアップしたら直接大家かエージェントに電話でコンタクト。サイトは広告や大量に物件を登録しているエージェント側から使用料をとって収益としてるようで家を探すのにお金を払ったり、アカウント登録する必要はないのは楽チンでいい。
電話して相手が英語が話せない場合はちょっと困ったことになるがある程度以上の物件を貸している大家は英語がいくらか話せることが多い。話せなくても部屋を見たいこと、こちらの電話番号を伝えると息子さんや近所の英語話者をつかまえて折り返し電話をくれたりするので意外となんとかなる。電話したその日にすぐ見れることが多く、話が早い。
部屋を見にいく時は一人でも問題ないがグルジア人の友人を一人くらい連れて行った方がなにかと便利だろう。部屋を見て気に入ったらすぐ値段交渉。負けてくれることが結構あるのでやらないと損だ。
大家はグルジア人より外国人の店子を好む傾向がある。支払いがしっかりしていてきれいに使ってくれると考えているみたい。グルジア人の借り手にははじめに3ヶ月分払っておいて4ヶ月目以降が支払えずに6ヶ月目にドロンしてしまうようなことも少なくないのだとか。
家賃交渉とは別に扇風機や食器など手配できないか頼んでみてもいい。僕の時はシーツと毛布、鍋釜、ハロゲンヒーターを無料で用意してもらった。
契約は書面で交わすことは少なくていい意味でいい加減。敷金礼金もなく最初は2ヶ月分先払いで最終月は払わなくていいという支払い条件が多い。基本は半年契約だが数カ月での契約も交渉次第でOKしてくれたりする。
長期の契約でない限りネット、ガス、電気、水道代の名義も大家のままで支払いはペイボックスと呼ばれる街中にある公共料金支払い機から払う。(英語あり)
街中のペイボックス。旅行者はATMとよく間違える。
ペイボックスの支払い画面。上から電気・水道・ゴミ収集費。
家賃の支払いは銀行引き落としだと引き出しにも手数料がかかるらしく大抵手渡し。月末に大家が訪ねてきてくれたりする。銀行口座がなくても全てこと足りるので外国人には手軽とも言える。
引っ越し業者というものが存在するのかどうかわからないが、一人暮らしなら自分たちだけですませてしまうことがほとんど。僕は友人が車を出してくれた。タクシーに頼んでも嫌がられることはない。
最後に部屋探しの裏技を。
グルジアは中国やタイの都市部より物価の安い発展途上国でトビリシもその例にもれない。いくらかお金に余裕のある者が副業で部屋を貸しているのだが、旅行者向けのゲストハウスと同じく供給過剰気味でどこも宿泊者を求めている借り手市場なのが現状だ。
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