しおん

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Twitterで140字小説や短編を書いています。 ※他のサイトに重複して載せているものもあります。 よかったら覗いていってください。

最近の記事

『信仰するモノ』

私たちの村では、お狐様を祀っている。 お狐様に仕える巫女として、15になった女子が社に上がり、齢が20になると代替わり する。 お告げや神託のような形で、時折聞こえる声を村に伝え、村はその恵みを謳歌している。 5年のお勤めを終えた巫女は、社での出来事を話すことを禁じられ、その先の人生を送る。 それが、代々の村の習わしだった。 15になった私は、巫女の務めを果たしている。 社でお狐様に祈っていると、囁くように穏やかな声でお告げが聞こえるのだ。 〈大雨が降るので気をつけなさい〉

    • 『神様の子』

      『神様、神様。 どうか私たちをお守りください。 この先の未来を明るく照らしてください。 神様、どうか。 私たちの神様でいてください。 【19××年、山奥の集落で隣神教という宗教があったとされる。 十年に一度、村人から神の子という神の依り代を選び、依り代を崇拝するというものだった。 依り代を10年務めた村人は、神の供物とされ山奥の社に生き神として祀られ、神の元に還すしきたりであったらしい。 近年、開発が進み、隣神教の存在が明るみになり、公的機関の介入があった。当時の集落では介

      • 『天使教』

        天使様、天使様。 我らをお守りください。 穢れから、降りかかる死から。 我らをお守りください。 あぁ、天使様。 愛すべき、隣人であり続けて下さい。 我らの天使様。 「天使様、花冠あげるね」 「天使様、遊びましょう!」 「天使様、今日も僕たちを守ってね」 たくさんの子どもたちが、私に話しかけてくる。 綺麗な色で編まれた花冠を私の頭に乗せ、笑顔で手を繋ぎ、ぐるぐると周りを回る。 そうして、天使様への祈りの詩を口ずさむ。 ……今日も世界は天使様のおかげで平和だ。 「ねぇ、どう

        • 『明晰夢』

          夢を見ていた。 あぁ、これは夢だとわかる夢だ。 確か、明晰夢って名前。 だって、ワタシは水底に沈んでいるんだから。 なのに、苦しくはない。 (息が出来る) 視界も、クリアだ。 少し水で動き辛いだけで、ワタシは底に沈んでいる。 何かが水面に何かが投げ込まれている。 ゆっくり沈んでくるそれは、花だった。 次から次に投げ込まれているのだろう。 沈んでくる花は、とても綺麗で。 (誰が投げてるんだろう) ワタシは首を捻る。 誰だろう。 水に花を投げ込む様な物好きを、ワタシは知らな

        『信仰するモノ』

          地獄の底で待ってるヤンデレ彼氏

          attention! ※初めてのシチュエーションボイスです。 後半はヤンデレ彼氏の独白です。 それでも大丈夫な方はお進みください! (久々に会った時) うん、久しぶり。 ……最近、忙しそうだったもんね。 どう?疲れてない? 大丈夫? ……えっ、母校の友達と? 偶然会ったら、趣味が同じで意気投合して、盛り上がった? ……良かったじゃん。 そうだね。 大人になって趣味の話できる人ってなかなか貴重だもんね。 えっ、俺? ありがとうって、そんな事言わなくて良いよ。 俺と

          地獄の底で待ってるヤンデレ彼氏

          花吐き病の彼女

          彼女が、花吐き病を患った。 ピンクの胡蝶蘭を辛そうに吐き出す彼女の背中をゆっくりとさする。 「せんぱい、たすけて、」 花を吐き出す合間に、彼女は懇願する。 「……ごめんね」 彼女の言葉に、俺はそう返した。 花吐き病。 正式名称は嘔吐中枢花被性疾患という病である。 片想いを拗らせると、花を吐き出す様になる。 治療法は未だ見つかっていない。唯一、両想いになると白銀の百合を吐き出して完治する、らしい。 高二の夏。 「わたし、先輩の事が好きなんです」 真夏の屋上で、顔を真っ赤に

          花吐き病の彼女

          赤ずきんは魔女集会へ行きたい

          どうあがいても物騒! 魔女の弟子・赤ずきんの設定。 殺意高めな赤ずきんこと、朱音ちゃん 殺意が高い。ナタを装備。正確にはずきんではなくフードである。森に住む大魔女の祖母の身の回りの世話をしつつ、魔女見習いをしている。いつかお婆ちゃんと一緒に魔女集会へ行きたい。 森の魔女。 赤ずきん(フード)のお婆ちゃん(見た目は30代前半)。ガチの大魔女。薬作りが得意な反面、呪いにも精通している。呪われた相手は末代まで呪われるし、大体家も途切れる。朱音ちゃんの師匠。 原作通りではない、

          赤ずきんは魔女集会へ行きたい