Astro Slide 5G Transformer レビュー
2020年の3月にクラウドファンディングで支援していたスライドキーボード一体型スマートフォン『Astro Slide 5G Transformer』が、2年の時を超えて手元に届いたのでレビューです。いきなり配送通知のメールが届いて、びっくりしたほどです。すっかり忘れていました……。何でINDIEGOGO(クラファンのサイト)からこの機種に関するメールニュースが送られてくるのか全然わかってなくて、買っていたからだったというね。
というわけで、Gemini PDA から約5年。ミニキーボード搭載のAndroidスマートフォンの最先端モデルについて、写真を並べつつ使用感などを書いていきたいと思います。
写真と基本スペック
箱。Astroの名前どおり、スペイシーな感じです。適度に固い紙でできていて、高級感があります。
側面には、スライドしてキーボードが展開することが一目でわかる写真。端末の背景には、それっぽい売り文句が強いてあります。
箱のフタを開けると、このようにスペックに関するインフォグラフィックが。中には本体のほか、USB-CケーブルとACアダプタが入っています。
CPUはMediaTek Dimensity 800 メモリは8GB、ストレージは128GBもあるので、普通のAndroidスマートフォンとしても使いやすい部類です。ミドルレンジくらいかな。
ぼくはAndroid端末ではゲームをしないので、ウマ娘なんかの動作が気になる人にはどうかというのはちょっとわかりません。
nanoSIMが2枚挿さる上に、microSDカードも使えますが、ストレージが大きいのでわざわざスッとろいSDカードなど使う理由は無いかなーと。ちょっとしたデータのやりとりを物理的にしたいなら、USB-Cを使えばよいと思いますね。
畳んだ状態。ずっしりとした重さを感じます。300gちょっとある。細長いので、片手でしっかりホールドできるが、操作はもう一方の手でしたほうが確実です。落としたら怖いし……。
画面にはあらかじめ保護シートが貼ってありました。6.39インチ。2340x1080ピクセル。画面の角が丸くなってるんですが、見た目以上の意味がない感じがします。キーボードをスライドさせてランドスケープ(横)画面で使うのだから、角丸にしなくてよかったんじゃないでしょうか。
裏返したところ。カメラは4,800万画素。ライトもついています。USB-Cが上面と下面の両方にある。ワイヤレス充電にも対応しているので、この底面を下にしてQi充電器に載せてあげればOK。
イヤホンジャックがついているのも、この端末をコミュニケーターとしてビデオチャットに使ったりする人には良いかも。内側のカメラを使うにはちょっと画面の角度が開きすぎな気はしますが。
このスライド式のヒンジ、「RockUpスライダーヒンジ」という名前だそうです。スライドは画面そのものが大きいので、両手でしっかり持って行うのが良いです。スライドしきると二枚にスライスされた画面のほうがキーボード奥に落ち込まれたその瞬間角度がついて立ち上がります。畳むときは、画面の下側両脇を指でちょっと浮かせるようにしてやれば、スッっと収納できます。
スライド式のAndroid端末は、Xperia Playを持っていますが、それよりも複雑な機構に見える。強度はかなりありますが、そもそも高いものなので大切に扱うべし。
日本の「技適マーク」もついているので、国内での電波使用はもちろんOKです。ヒンジがチルトスタンドになっているというところが、アイディアと技術の勝利という感じがします。
キーボード。キー数が少ないところは複合キーでカバー。それでもよく詰め込んだなという感想。
キー配列はスペースキー横の[、][-]を兼ねるキーを除いて、そんなに変な配列ではないので、すぐ慣れると思います。
メンブレンスイッチだと思いますが、ペカペカした打鍵感。キータッチは浅く底打ちします。もし普段軽いタッチのキーボードを使っている場合は、意識して底打ちさせるつもりのほうがスムーズに打てますね……。
自分は普段から軽いキーボードを使っているので、同じノリで入力していくと文字を打ち損じることがよくあります。素早く入力するにはちょっと狭く、時々指が絡まってしまう。しっかり打っていくのがコツ。
そして、当然のことながら置いて使った方がよいです。膝の上では滑ってしまうし、両手持ちで親指タイプを試みましたが、中央まで指が届かないのがストレスです。
とはいえ、高速入力や両手持ちでの親指入力をしないというのであれば、まったく問題がなく、これまで数多の(ほんとうに数多の)ミニキーボードを使ってきた身からすると、めちゃくちゃ完成度が高いキーボードです。かつてのPDA「PSION」の思想を受け継ぐとされていますが、こんなにいいキーボードのついたスマートフォンはこれまでになかったと思います。
AndroidOSのバージョンは11。バニラと言えばいいのか、プレーンなOSに近いです。専用アプリも最低限という感じ。日本語入力は「Planet キーボード」というのがインストールされていますが、これはキーボードを開いて使うのに特化しているのかな、と思えました。キーボードを閉まった状態で普通のスマホのように使いたい場合に若干不便を感じたので「Gboard」を選択して使っています。
これはOSの問題なのですが、画面を縦横に切り替えて使うので、ホームでのアイコンの並ぶ間隔などが気になってしまいます。サードパーティーのホームアプリを使うしかなく、ウィジェットの配置間隔とか、どうしようもないです。
普通のスマホはランドスケープで使うことがほとんどない(動画を観るときくらい)ので、気づかないもんなのですが、AndroidOSのランドスケープ時のアイコンの並びはほんとうにダサい。
若干の欠点
画面にやや滲みがあります。とくにキーボードを畳んでスマホとして使う場合は、ちょっと目との距離が近くなると思うのですが、視覚過敏だと疲れると思う。できるだけ輝度を下げて、ダークモードを使ったほうがよいんじゃないかなと。適切に距離をとって使うぶんには気になりません。
カメラ画像が眠い。現代的なスマートフォンのカメラは撮るそばから加工された美麗な写真を作ってくれますが、ほんとうに素のままを撮ったなこれ、という感じの写真になります。ソニー製センサーだそうなので、これを活かせるアプリがあると良いかもしれない。
指紋認証があまり良くなく、できた試しがありません。何度も失敗すると「試行回数が上限を超えました。指紋認証センサーを無効にしました。」というメッセージが出て指紋認証をしてくれなくなり、再起動するまでずっとそのままでした。指紋の登録の向きを変えたり色々やってみたんですが、ダメでしたね……。
総評:全部一台で済ませたいならこれ。すでに複数台使い分けてるなら好みで。
ぼくは仕事上、文章をよく書くので、こういう端末には目がないのですが、これ一台で今持ち歩いている機器の役割をすべて賄おうというのは無理ですね。ぼくはiPhone、Titan Pocket、Chromebook、iPad mini、フリーノ(手書きメモ端末)というガジェット達をいつも持ち歩いているんですが、Titan Pocketを置き換えてこれにするかというと、うーん……。
むしろミニマム志向で、持ち歩くものをとにかく減らしたい、という場合はベストマッチかと思います。キーボードでないとまともに文章を打つ気にならない、という人なら尚更です。
それに、例えば上記ガジェットで3回線持ち歩いているうちの2回線をこれに入れることができるので、スマホを複数台持ち歩いているという人にも、荷物を減らすのに向いているかもしれません。
比較的コンパクトな筐体と、それにしては打ちやすいキーボード、トランスフォームする斬新なギミック。さらに性能も最近のスマホに決して劣るところがないとなれば、その魅力に惹かれないほうがおかしいです。ぼくが色々持ち歩きすぎなだけなので……。
というわけで、『Astro Slide 5G Transformer』のレビューでした。当たり障りのない文章になってしまった。
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