ゴールデンカムイ考察 旧約聖書編2前編

※最終話までのネタバレ含みます。

カインとアベルについて

尾形百之助と花沢勇作と父(神)の関係

何度か解説しているのですが、改めて。

登場人物
神(ゴールデンカムイ内では父)
兄カイン農耕民
弟アベル遊牧民

※カインとアベルは、初めての人類アダムとイヴの子

ざっくりあらすじ前編

収穫祭の日、兄カインは畑で採れた作物を、弟アベルは丸々と肥えた羊の初子をそれぞれ神に捧げました。
神は兄の捧げ物に目もくれず、弟の捧げ物に大層喜んだので、兄は嫉妬心で弟を殺しました。

神は兄に「弟を殺したのか?」と尋ねると「殺してません」と答えました。
神は罰として作物が育たなくなる不作の呪いと、殺されそうになると相手に七倍の災いが起こる呪いをかけました。


解説

「人類初めての嘘と殺人」の話
どうしてそこまで神の反応に差が出たのか?
丸々と肥えた羊の初子=妊娠した彼女を連れてきたのメタファー。
羊を飼っていて、性行為のやり方というのを知っていたから。

子孫が繁栄したら、次も安定した収穫を得られるから。
旧約聖書の神の考えは基本「生めよ増えよ大地に満ちよ」なので。


ゴールデンカムイでは

配役
神(父)花沢幸次郎師団長
兄 尾形百之助
弟 花沢勇作

あんこう鍋回の嘘

人類初の殺人と嘘。父(神)の寵愛を受けた勇作に嫉妬した百之助が弟を殺し、父から呪いを受ける。
尾形ここで父(神)に嘘をつかず「私が弟を殺しました」と素直に告白しているので話の時系列からしても“人類初の嘘と殺人”の部分は「母が死にかけている(嘘)という手紙を父に書きました」の部分。
「生まれて初めて嘘をついて人を殺したのが母」なので語順が逆で母を殺したけれどそれは手紙だから嘘、という読み方になる。

花沢父“は「来なかった」ので、尾形母の生死を確認していないから、尾形の告白通り母を殺したとしか言えない。

殺人とは?

殺人の定義について、作中で一番確実な線引きの一番目は法(ルール)を犯しているかどうか。
ここでの法とは、ルールを決めた側の者(法的機関)とそれに忠実に従う者が白と言えば白、黒と言ったら黒。

軍人には人を殺す権限が与えられている。

戦場で敵兵を殺すのは合法、戦闘のどさくさに紛れて上官命令で軍での危険人物を排除するのも狙撃手の仕事でもある。
鶴見中尉と尾形で勇作さんを殺す問答があったあった辺り、花沢父子は鶴見中尉のお上から危険人物と捉えられていた。
鶴見中尉は第一師団より上の機関の直属、尾形もしかり。
後々に満鉄の運営資金にアイヌの金塊を使おうと、第一師団長と結託した第七師団長が鶴見中尉の命を狙ってたと判明するわけだけども。

まぁ…その辺り権利書含めて、第一師団長や第七師団長が本来知るはずのない話が誰から漏れたのかとか、鯉登少尉が話の引き継ぎをしてくれなかったので全部有耶無耶に…金塊が第一師団長の手に渡らなかったから、それで良いのだけれども。

そして二番目が個人的感情である殺意の有無、尾形にとって勇作さんは初めて殺意を持って撃った相手、父(※)の言いつけを破った。というのは間違いなく。

※ここでの父は直接的な上官である鶴見中尉
あんこう鍋回の「子は親を選べません」の意味は「貴方より鶴見中尉を父に選びました」という報告。

尾形と勇作さんが殺人と罪悪感についての問答をした時、軍人にとって戦争で敵を斃すのは職務だが、自分の部下が自分のために死ぬのは見殺しだから殺人じゃないのか?の意も含まれる。
尾形が勇作さんに迫った捕虜の殺人は法的にはアウトだが、捕虜として認められていない兵士が捕らえられ転がされているので、人道的かは置いといて殺しても法は犯してない。
少なくとも勇作さんや他の兵の度胸試しに捕らえられた兵士なので、後から尾形と宇佐美で殺しているから、勇作さんが殺さずとも死ぬことに変わりはない。

宇佐美と尾形の問答は……


後編に続く。

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