芝居が好きと言えない役者。

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例えば、若いかわいい女の子がキラキラした目で「私お芝居大好きなんです!」と言ってるのを見たら、

私はちょっとムカつくと思う。

何となく、私には芝居を好きと言う資格が無い気がして、私程度の「好き」を表明したら怖いことが起こる気がして、私は芝居を好きと言えない。

寝食忘れて夢中で13時間稽古したり、年間100本芝居観たり、芝居に沢山お金を使ったり、芝居でワンワン泣いたり、人をワンワン泣かせたりする人がごろごろいることを私は知ってるから。知ってるのに。そんなことできてない。

私は芝居を愛したいのに、全然愛せてない。芝居が好きだと言いたい。辛い。

と言ったら、

「芝居を『愛してる』なんて相当上の方の概念だから出来なくても好きって言っていいと思う」

と言われてしまった。

いいの?いいのか?

「芝居を好きと言うことを、自分に許したい」

と言ったら、普通に泣いてしまいそうで驚いた。


ムカつくはなりたいの裏返し。やっすい言葉だけど結局私は素直に芝居が好きと言えてしまう人が羨ましくて。

ただ「芝居が好き」と言う それだけのことを、欲しいと思うことすら自分に許せてなかった。

でも私もそのキラキラしたやつ欲しい。ちゃんと欲しがってやる。

ムカつくはなりたいの裏返しなので、人生で初めてこの言葉を使おう。


湯木しをん、お芝居だあいすき。お芝居、愛したい。

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