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闇の将軍のこと⑤ 通し稽古

夕闇の稽古終わりに、今日楽しかったですねと言ったら「初通しだよー」と返されて気付きました。夕闇の初通し稽古でした。
4回目の公演で初通しも何もないだろうと思うところですが、動き位置が変わると見える景色も変わるので新しい発見があって楽しいです。
今までは顔を見合わせて話せていたシーンが、顔を見ずに最後に視線を合わせるだけになる、それだけでぜんぜん違うので新鮮です。

このシーンとか

夕闇はもともと1作品きりの予定だったせいか、角栄中心ではあるもののどう転ぶか分からないような混沌や曖昧さ余白などがあって、何回やっても面白いです。角さんの魅力は勿論ですが、引き抜ぬこうとする政治家先生たちの思惑やエネルギー、パワーバランスが面白くもあり、続編を作るに至った核があるように思います。
ちなみに夕闇で1番好きなシーンは政治家先生たちの乱闘シーンです。

そして私が演じます円弥(辻和子)さんですが、あの、まず著書「熱情」がとても面白いのでお勧めです。
夕闇は昭和22年の初当選の演説から昭和32年郵政大臣就任と昭和33年の凱旋演説までを描いています。
劇作中では昭和31年に円弥さんに男の子を産んでほしいと言うシーンがあるのですが、実際は昭和26年に第一子の男の子を出産しています。昭和32年7月には第二子も出産していますので、最後の演説で抱えているのは、実際の時期なら第二子ですが、劇作中では第一子なのです。
円弥さんは実際の出来事から少し時間が巻き戻っているのが面白いんです。

著書を読むと芸者として角さんと出会い、お座敷以外の場所で偶然出会ったりお座敷からの帰り道が同じで一緒に帰る時間が楽しかった事など、角さんに熱烈に恋をしていた事が伝わってきます。そして芸者のお仕事の中で芸事をとても楽しんでおられましたが、角さんと一緒になると芸者のお仕事は制限され、子供を産んだ事で芸者を引退し素人さんの生活をする事に戸惑いがあったようにも感じました。
夕闇の円弥さんは輝くように恋をしていた時に巻き戻っていて、彼女の恋心は角さんを明るく照らしていると思っています。

そして第0話の「やみのおふくろ」と第2話目の「宵闇、街に登る」ですね。
稽古場で入れ替わる時に空気が変わるので不思議な感じがしています。人が変わるので雰囲気も変わるのは当たり前かもしれませんが、この2作品も1人の観客として楽しみです。

いよいよ来週金曜日から始まります。とんでもないエネルギーを放つ闇の将軍四部作を、見届けていただければ幸いです。
公演情報はこちらです。

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