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#瑞穂市に朝井リョウ

私の人生のうちで一番名前を出しているであろう小説家•朝井リョウさんの講演会に行ってきた。


「朝井リョウが語る本のアレコレ~読むこと書くことにまつわる90分~」
と銘打たれ、岐阜県瑞穂市(朝井さんの地元)で行われた講演会は県外からの参加も認められていたため、比較的近場に住む私は、「これは行くしか!」と申し込みし、見事(!)当選。本日、無事参加してきたわけである。


結論から言うと、

めちゃくちゃ良質でエンタメな
90分だった!!!

内容としては、事前に募集した質問に朝井さんが答えていくラジオ形式だったのだけれど、なにこれ、無料で良いの?!?!お金払わせて?!
ふるさと納税瑞穂市にさせて?ってくらい、私には刺さった90分でした。いろいろと最高すぎたので、「個人的刺さりポイント」を備忘録的に語らせてください。

1.抜かりない事前配布資料とチープで愛のこもった看板と本気の舞台セット

入り口で待ち構えていた看板がバナーにもしているもの。「手作り感満載」で少しチープでもそれが愛を感じる作りに「行政主催って感じする…!」とほのぼのしながら待機列で並んでいると、朝井さんが手書きしたであろう"かわら版"のようなものが配布された。今回は本の話がテーマな手前、「なんとなく知ってるから応募したけど、人柄は分かんないのよね〜なんかイケメン風の人よね〜」くらいに思っているお姉様方にも、「地元出身の作家であること」「エンタメ好きです」みたいな印象を与えることに成功していた。待ち時間にこういうホスピタリティ、抜かりなくて、悔しい(好き)。

そして、入室すると、完全に「ラジオブース」な舞台。めっちゃお金かかってるやん……ゲーミングチェアやん……。
絶対、企画担当者さん、パトロンかチームYやろ!!!(朝井さんのラジオリスナーの名称)
ぜひとも友達になりたい!!!と、始まる前から、
楽しい気分にさせてくださる工夫がございましたね、ええ……。

2.朝井リョウさんが語る「読書の価値」

講演会のテーマ的に、まずはこれに触れねば…というようなことから選ばれた最初の質問。「子どもが読書が苦手です。どうしたら読書好きになりますか?」との質問。すごく導入らしい導入…!

前提として、「〇〇より読書の方が良い」というのは現時点の評価軸の話であって今後確定できないものに対して僕は断言はできないとした上で、「読書好き」になることの魅力を語ってくれた場面。完全に同意するものだった。以下要約。

①物事をより正確に言語化できる語彙を持てる
言語で人間がやりとりしている以上、マイナスに働くことは何もない。生きていれば、自分の立場を自分の言葉で表明しなきゃいけない時があって、そういうときに、自分の座標を正確に伝えないと、伝わらない時がある。自分のいる位置が1.5ではなく、1.478と捉えられ、伝えられる言語を持つことが大切である。

②面白い人間になれる
無料で受けられるものばかり摂取していると、同じ半径でしか話ができないけれど、能動的に有料で得たものが自分の幅を広げてくれる。みんなが触れているものだけ触れていても、面白い人間にはなれない。

③いろんな価値観を知ることができる
いろいろ難しく(!)語った上で、朝井さんが行政のお仕事で語った「読書について」の文面を朗読してくれました。本当にここに詰まっていると思う。

「本を一冊読み終えるたび、世界を見つめる視点が一つ増えたように感じます。自分の人生だけでは出会えなかった感情や思想に本を通して触れることは、この世界やこの世界の一部である自分、そして自分以外の他者を多面的に知ることであり、ひいては想像力という名の優しさを手に入れることだと思います。本の表紙は窓のようなものです。色んな窓を開けて、そこに広がる景色を眺めてみてください。それだけで勝手に、あなただけが持つオリジナルの優しさが育っていくはずです。」
▼参照元


全部なるほどな…となった上で、ではどうしたら、読書好きになるか?の答えとして朝井さんが出した答えが、「大人が楽しそうに読む」

腑に落ちた。な実際、朝井さんのご家庭でも日常のなかに自然に本がある状態で、「面白そうだから読む」で読んでいた、とのこと。

これ、シンプルだけどわかりやすい答えだよね。大人(他者)が楽しそうに読むことが子どもに良い結果をもたらす…それは多分にあるなと私の体験でも思うので(母の読書好きは絶対私に影響している)
そんな真面目だけどアツい話を聴いて、ずっと刺さっていましたね…ええ……。

3.朝井リョウさんが語る「読書遍歴」

今回「読む」についての質問が多くて、各段階でオススメの本を紹介してくれていたのだけれども、
小中高くらいまでの読書遍歴が、既視感ありすぎて。特に印象的だったのが、小学生の時に読んでいた本。もはや、私の読書歴だった。(おい)

そんな小学生にオススメの本として語られていた本がこちら。

•「パスワードシリーズ」松原秀行
•「夢水清志郎シリーズ」はやみねかおる
•「料理少年シリーズ」令丈ヒロ子

身に覚えがありすぎるお三方…!令丈先生は正確には私はこのシリーズではなくて「若女将は小学生」を追っていたのだけれど、名前が出ただけでときめくラインナップ。

「信頼と実績の青い鳥文庫」とおっしゃっていたけれど、実際、小説家の中で、読んでいたと話題になるのだとか。さすが、青い鳥文庫……(好き)

あと印象的だったのが、中学生にオススメの本の中で、森絵都さんの「カラフル」重松清さんの「きみの友だち」が入っていたのが、その二つがバイブルの私にとっても凄くグッときたよね……本当に名著なので。(言わずもがな、か…)

そして、以降のおすすめ本は"知っているけれど読んだことない"が多数だったので、朝井リョウさんのこれまた巧みな話術で、「絶対読むぞ…!」と意気込みながらメモしてました。
積読死ぬほどあるけど、3冊くらいは絶対読んでやる…な本があったので、今月中に買っちゃうと思います……。(結局何の話だよ)


4.朝井リョウさんが語る「書くこと」

わりと長尺で「読むこと」な話をしていたけれど、30分くらいは「書くこと」な話が聞けた。読むことはどちらかと言うと"客観"な話だったけど、書くことは"主観"が溢れていて、どちらも良かった。

質問内容としては、「題材選定」に帰結する話だったけれど、朝井リョウにとってのそれは「違和感、喜怒哀楽の怒や哀」とのこと。それも1つの違和感や感情では書かないのだとか。別の場所にある違和感が発酵していくなかで出来上がっていくと語っていた。

その文脈で話した、表現の道具としての小説の良さを表現した言葉が彼の小説のあり方を提示している気がした。

「異なる思想の人を同じ箱庭に入れられる」

すごく納得した。「正欲」なんかがまさにそれだ。小説家の頭の中を少しだけ垣間見れた気がした。(というのも表層の表層だけだけど)

他方で、「朝井さんやさくらももこさんのエッセイが好きで、宿題の作文でエッセイ風に面白いこと書くけれど、どうしたら面白い文章書けますか?」みたいな小学生からの質問への答えも良かった。
「人は笑わせようとすることには笑えない。一生懸命やっている姿が面白い」と。
"滑稽とギリギリの面白さ"をつく、ことが面白い秘訣だと言い、あえて「固い文章で書く」とおっしゃっていた。私もそういう笑いが好きなので、めちゃくちゃわかる。
私もそういう文章が書けたらいいなと、思った。


というわけで、思わず長文になってしまいましたが、ここまで読んでくれたあなた、
ありがとうございます。
「あなたの文章が読みたかったわけではないよ!」というツッコミも大歓迎です……!笑
朝井リョウさんと、岐阜県瑞穂市の方に感謝ですわ!

…ちなみに、ラジオの裏話も少しだけしてくれました。参加層からラジオリスナーも多いこと察知して、絶妙なエピソードを展開するのに長けていた。「処世術」が器用すぎる。好き。

ラジオリスナーの私的には、「オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム」の裏話や友人でか美ちゃんの結婚話やDJ松永さんとの話も多少聴きたかった…とかあるのだが、本好きの私的には大満足な時間でした!

本を読むのも、書くのも最高!


そういう気持ち大切にしたいなと、改めて思わされました。朝井リョウさんがより好き(嫉妬)になったので、いつかどこかで仕事ができるよう、いろいろ頑張っていけたらと思います。

以上!!!

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