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書けぬ。どうしても書けぬ。

『〆切本』という本がある。それは、原稿を書けない作家が上手に言葉を使って、誤魔化すさまが集められている。非常にユーモラスで面白い。

左右社より2016年に刊行された書籍で、内容としては、以下の通りである。

【3万部突破!】「かんにんしてくれ給へ どうしても書けないんだ……」「鉛筆を何本も削ってばかりいる」追いつめられて苦しんだはずなのに、いつのまにか叱咤激励して引っ張ってくれる……〆切とは、じつにあまのじゃくで不思議な存在である。夏目漱石から松本清張、村上春樹、そして西加奈子まで90人の書き手による悶絶と歓喜の〆切話94篇を収録。泣けて笑えて役立つ、人生の〆切エンターテイメント!


まえがきの言葉もまた、絶妙だ。

〈本書まえがきより〉しめきり。そのことばを人が最初に意識するのは、おそらく小学生の夏休みです――。本書は、明治から現在にいたる書き手たちの〆切にまつわるエッセイ・手紙・日記・対談などをよりぬき集めた“しめきり症例集”とでも呼べる本です。いま何かに追われている人もそうでない人も、読んでいくうちにきっと「〆切、背中を押してくれてありがとう!」と感じるはずです。だから、本書は仕事や人生で〆切とこれから上手に付き合っていくための“しめきり参考書”でもあります。

実は今、2月8日締切のある文学賞に出すべく、文字を書いている。人生の中で1番「小説」というものに時間をかけて向き合っている。「才能がない」ということを証明するだけの時間になるかもしれないが、それで良い。今まで向き合ってこなかった現実にちゃんと向き合おう、そう決めたのだった。そんなことを出し終えたら、そのことを書こうと思う。


締切と言うと、かくいう私も「夏休みの課題はギリギリで泣きながらやるタイプ」だったので、締切とは縁が深い。
印象的な出来事がある。中学生の頃、夏の課題だった読書感想文が書き終わっていなかった。提出日に持ってこれなかった私はとっさに、「忘れてきました。取りに帰ってきます!」と言って、急いで帰た。自分で言うのもなんだか、俗にいう優等生タイプなので、あっさり信じてもらえた。そして、それを急ピッチで書いて提出した。

それがなんと、読書感想文コンクールに出され、区レベルではあるが、賞を貰った。火事場の馬鹿力とはこういうことかと思った。

もっとも別の年、私が時間をかけて書いたそれは全く評価されなかったので、人間案外、気が抜けたほうが良いものができるのでは、とも思うわけであった。

締切の数だけドラマがある。そういう中で生きていきたい。(締切は計画的に)(ギリギリでいつも生きてる)

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