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足立区・オン・マイ・マインド⑤「首都高ドライブで格差について考える」-sio.note-

 前回書いたように個人的にはやや暗いイメージがぬぐえない荒川河川敷

 バブル崩壊後の不況の時期は屋外生活の方々のブルーシート製の家がいっぱいでした。

 最近はだいぶ減りましたが、まだいくつかは健在です。けっこう家財道具も揃っていて住み心地は悪くなさそうです。

 土手の上に立つと対岸の北千住側には高層ビルやマンションが並び、遠くにスカイツリーもそそり立ち、いかにも都会的な風景です。

 振り返って川のこちら側、僕の住んでた町のほうを見下ろすと、小さな家々や低いビルの群れがぎっしりと寄せ集まって対岸の北千住側とは対照的な眺めです。

 地図で見ると荒川の向こうは左岸、こちらは右岸。両者のあいだには深刻な断裂が横たわっているのです。

★☆★

 荒川の右岸、つまりこちら側を、首都高の中央環状線が川に沿って続いています。

 コンクリートの高架道路はちょうど荒川の土手と同じくらいの高さ。土手の上に立つとすぐ目の前を大型トレーラーやトラックが猛スピードで走り抜けていきます。走行音や排気ガスもそうとうなものです。

 小菅ジャンクションは渋滞の名所。常磐道から伸びてきた6号三郷線が合流し、浅草方面へ向かう向島線が分岐するので車線の変更がチョーむずかしく、事故多発地帯として悪名高いです。ラジオの交通情報でもこれらの地名を聞かない日はありません。

 分岐に次ぐ分岐をクリア、葛飾ハープ橋を抜けてさらに下ると河口あたりで湾岸線に接続します。

 この葛西ジャンクションディズニーランドへ向かう車でしばしば渋滞が発生、葛西臨海公園の巨大な観覧車をぼーっと眺めてひたすら耐えなければなりません。

 それでもこの中央環状線、高い場所を走ってるので非常に眺望にすぐれ、渋滞さえなければ快適なドライブが楽しめます。

★☆★

 それでは80年代の若者雑誌風に首都高をクルージングしてみましょう。BGMはもちろんエリワンポインスリー、J-WAVEです。

 東北道浦和料金所のほうからくると車窓から右手、荒川の向こうに広がる緑の河川敷。

 高層マンションやビルディングが建ち並び、まるでニューヨーク・ハドソンリバー添いのハイウェイからマンハッタンの摩天楼を望むよう。彼女とのドライブデートにもオススメ。

 夜ともなればビルの窓にカクテルライトのような明かりがともり、手前のスカイツリー、遠方の旧東京タワーが光り輝くシャンデリアのようです。

 ディズニーリゾートの高級ホテルで過ごす一夜を思い浮かべ、助手席の彼女も思わずウットリすることうけあい。

 ただし川の反対側、つまりこちらの方へけして目を転じないでください。

 足元には深い奈落の底のようなダウンタウン、それを取りまくように関東平野の広大な闇が広がり、思わず気持ちまで真っ暗になってしまいます。

 たぶん荒川の土手は、北方から押し寄せてくる暗黒のフォースを都会の手前でせき止める役割を果たしているのでしょう。荒川の右岸と左岸の対照的な光景は、そのまま足立区の抱える二面性を体現しているようです。

 オシャレなシティライフをエンジョイしながら、格差問題がつい脳内をよぎってしまう、足立区ボーイの悲しき性でしょうか。

★☆★

 さて、失礼なこともいっぱい書いてしまいましたが、これもすべて生まれ育った足立区への愛の裏返し。下町っ子は照れ屋なのでなかなかストレートに気持ちを表現できないのです。

 どこからも非難がこなければ次回も続けさせていただきます。

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