過受性ブリーチ感想 その2:イルミネーションスターズ編

 過受性ブリーチの感想の続きです。
 今回はイルミネーションスターズのマンガと小説の感想です。
 ●イラスト編
 ●イルミネーションスターズ編


■マンガ:イルミネーションスターズ

○爛漫に焦がれて:まの・じゅり
 ものすごくかわいい絵で、しかし強いテーマを扱っている作品ですね……! 大好きです。

 自分の魅力とは何か、という問いかけは樹里のシナリオでは幾度も語られている題材で、この作品はその問いを真乃を通して語っている作品なのかなと思いました。
 樹里はアイドルであることに真摯であるからこそ、樹里にとっての『アイドルらしいアイドル』である真乃に憧れる。
 でも、そういった理想の高さと、それゆえに自信が持てない弱さもまた樹里の魅力でもあるんですよね。
 そういう樹里の弱さと優しさを感じているからこそ、真乃も手を差し伸べようとしてくれる。
 真乃の【こういう所】は、樹里の在り様の鏡でもあるのかな、と感じました。綺麗ですね……。

・好きポイント
 最後のページの1コマ目の真乃と、最後のコマの樹里、二人の表情が大好きです!!
 まっすぐな瞳と、揺れる瞳の対比が良すぎて……。向き合っているけれど、お互いに見ている場所が少しずれているこの感覚がいいですね。


○『じゅりひおはキテる』:ひおり・じゅり
 僕もキテると思います。時代はじゅりひお or ひおじゅり。
 知っていますか???? 灯織って樹里のこと『樹里』って呼ぶんですよ………………? ほとんどの年上アイドルはさん付けなのに……………?

 テンション高い導入からひおLOVEな樹里の勢いでガーッと来たところで、2ページ目の最後で灯織がぎゅっとやるじゃないですか!!
 これこれ、これが見たかったんですよ!! やったぜ!! めちゃくちゃかわいい!!
 おずおず攻めの灯織、とてもよかったです。

・好きポイント
 おずおず灯織とは別のところを挙げると、1ページ目の果穂の【樹里ちゃんが他の子にもみくちゃにされるってやつです!】のセリフが好きです。語呂というかテンポがいいですね。
 1ページ2コマ目のつかみのギャグとして気持ちよかったです。


■小説:イルミネーションスターズ

○憧れだけでは:まの・じゅり
 一読してびっくりしました。
 僕の小説とこちらの作品を読み比べていただくとおわかりでしょうが、内容がかなり似ているんですよ!
 二つの小説が重なる部分を抜き出すとこんな感じです。

『最初は怖かったけど、あるきっかけで樹里が好きになってしまう○○。ある日、夕日が差し込む事務所で眠っている樹里を○○は見かける。眠る彼女を見て気持ちが高ぶり思わずキスをしてしまった○○。樹里の前で泣き出してしまう○○の気持ちを樹里は受け止め、再びキスをする……。キスの回数は作中で計三回』

 書いてて思ったけど、これ僕が寄稿した小説のあらすじじゃん!
 確かに捻ったシチュではないし、全く同じわけでもないのですが、同じ合同誌でこんなに被ることあります!?
 起こるんですね、こういうことが……。

・好きポイント
 そういうわけで。
 自分がこの作品ですごく面白く感じたのは、この『あらすじ』の中の差異なんですよね。
 もちろん作者が違うのですから違って当たり前なのですが、これを似たシチュエーションでのキャラクターの違いとして捉えることもできるかもしれない、と思ったんです。

 たとえば、こちらの作品では、真乃は目を覚まして顔を近づけてきた樹里の唇に最初のキスをします。
 でも、僕の作品の甜花は眠っている樹里の頬に最初のキスをするんですね。
 この違いが、それぞれのキャラクターを表現しているように感じませんか?
 そういうことを考えて比較して読んでみると面白い……。

 キスをされた樹里の反応のほうもかなり違っていて、同時に似通っている部分もあり……。
 同じキャラクターの解釈の違いをとても興味深く読ませていただきました。


○黄金色を織る。:ひおり・じゅり
 灯織と樹里がかわいいですね!
 樹里のかっこよさを学ぼうとして買った雑誌を隠す灯織、好きです……。
 そんな灯織を自分の遊びに付き合わせる樹里は、なんだかわんぱくな印象なんですよね。
 ちょっと人見知りしがちな灯織をひっぱっていく樹里の姿がいいです。
 そして最後に立場が逆転したような役を演じる二人、受け攻めも逆転する灯織ですよ! お嬢様教師をエスコートする学ラン執事の二人、とてもいいですね……。

・好きポイント
 ラストシーンが好きですが、それ以外だとボルダリングをする二人がよかったですね。
 樹里が灯織を身体を動かす遊びに誘って、二人で壁を登る構図がいいですよねー。
 最後に灯織が落ちた後の「大丈夫か!? 灯織!! 泣くか!?」が面白いです。


○ON//OFF:ひおり・じゅり
 同じ灯織と樹里の組み合わせながら、奇しくも、今度は樹里が役作りのために灯織からカッコよさを学ぼうとするお話ですね。
 やはり、こういうことはあるんですね……。
 こういった作品が並ぶのも合同誌の面白さだと思います。

 灯織が樹里を呼び捨てにする関係なためか、二人の距離が近い感じがしますね。
 自然に『樹里は普通にしてるだけでもカッコいい』と考える灯織とか。よくないですか? よいと思います。
 そんな灯織に軽く演技で迫られただけでフリーズしてしまう樹里ちゃんの純情よ……。

・好きポイント
 灯織が演技の前に考える設定が大好きです!
 想像がすごい勢いで膨らみませんか、この設定。
 ボディーガード灯織と、お嬢様樹里のお話を読んでみたいです。


○きらきら ~ただ、好きなだけ~:めぐる・じゅり
 この小説はすごいですね。
 二つに別れた作品の、ほぼ全編で、めぐるが樹里に抱きついたままだという。スキンシップが強い、でも穏やかな雰囲気なのがまた。
 そんな二人きりの時間の中で、二人の中では複雑な心情や感覚がやりとりされるのがとてもいいんですよね……。

・好きポイント
SIDE A
 冒頭の樹里が「女の子と触れ合うのが苦手」というエピソードがいいですね。すごく樹里らしい心情だと思います。
 樹里の中にある繊細な劣等感が、めぐるが身体にまとう制汗剤の香りから引き出される思い出に癒やされる。綺麗ですね。

SIDE B
 樹里に甘えるめぐるが、普段どおりの自分を演じながらも心の中では伝わりきらない気持ちをぐるぐる回してるのがめちゃくちゃ最高ですよ……。
 二人の気持ちは同じようで少し違っている感じがして、でもそういうすれ違いがなんだか優しいんですよね……。
 とてもよかったです。

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