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5:鍼灸小説「道案内のシンシン」:大統領

「ただいま〜!」

「どうだったでござるか?」

家に帰ると直ぐにシンシンが玄関に駆け寄ってきた。

「バッチリ!即採用!明日から仕事だよ!」

僕は高らかにピースサインをした。

「さすがは拙者が見込んだ男!よっ比呂殿!大統領!」

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(大統領って…)

シンシンの過剰なヨイショに照れながらも僕は心底嬉しかった。

やはり

明日から来なくていいからというクビ勧告が思った以上に僕の心を蝕んでいたようだ…

明日来てくれるかな!

何と素晴らしき響きよ。

僕はスッカリ自信を取り戻した。

「で、比呂殿〜、手に持っている袋の中身は?」

「もちろん!丸ごとバナナだよ!どうぞシンシン!しかも〜3つも買っちゃったから1人1個半たべれるよ!」

「よ!神様、仏様、比〜呂様!」

シンシンのヨイショが止まらない。

僕が丸ごとバナナを半分食べた頃には

シンシンは二本目の丸ごとバナナを食べ切ろうとしていた。

いつもなら喧嘩になるところでも

今日の僕はそんなことでは腹も立たなかった。

「シンシン、僕の残り半分も食べる?」

それを聞いたシンシンは目を輝かせながら

「よ!比呂殿!大統領!」

と再びのヨイショ。

「さあ!明日から仕事だから早く寝なきゃ!」

つづく


シンシン 「サポートが加われば鬼に金棒 拙者に丸ごとバナナでござるよ!」 比呂  (そこは愛刀とうがらしじゃないんだ…)