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13鍼灸小説「道案内のシンシン」〜その13: 治療道具

翌日、僕は開業届けを出しに保健所に向かった。

今日も晴天で絶好の自転車日和。

家から保健所までは途中山坂の多い20分くらいの道だが『開業』のワクワクが僕の背中を押してくれているようで、あっという間に到着した。

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午前中の早い時間に来たのに保健所は結構混雑していた。順番待ちをしている間にネットで鍼灸関連の業者さんのサイトをチェックして回った。

すると『プルプル名古屋』というウェブサイトで低反発ベッドがセールで70%offになっていた。

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(折角だから一台買っておこう、ついでに他の道具もここで揃えちゃおうっと)

鍼灸で使う針は使い捨てで一本6円〜10円くらいが相場だ。サイズが幅広く、長さも太さもピンキリで鍼灸師の好みや治療方法で選ぶ針のサイズが変わってくる。

僕は痛みの出にくい細い針が好みだ。

太い針を好む鍼灸師もいるが、別に痛がらせたいわけではない。固まった筋肉や体の深い部分に刺す治療をする時は針が太いほうがスムーズなのだ。

もちろん太い針と言っても注射針のように太いわけではない。せいぜい髪の毛2本分くらいの太さだ。(中国に行けば、もっともっと太い針も手に入るが…)

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僕は鍼灸学生の頃、色々な太さや長さの針を買って使ってみたが、結局太くて長い針は性に合わず使う機会が無かった。そのため使用期限が来て結局捨てるはめになってしまった。大量に捨てたので総額6000円くらいは無駄にしてしまった…

もちろん『捨てた』と表現しているが鍼灸の針は注射針と同様で医療廃棄物なため、ゴミ箱にポイッと捨てることはできない。使った鍼や使用期限の切れた針は廃棄専用のボックスに入れて、医療廃棄物の処理業者に頼んで回収してもらうのだ。

「89番の方〜」

ちょうどネット注文を終えたタイミングで順番が回ってきた。僕は手続きを済ませて家路に着いた。

つづく


シンシン 「サポートが加われば鬼に金棒 拙者に丸ごとバナナでござるよ!」 比呂  (そこは愛刀とうがらしじゃないんだ…)