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6/25 夏は「水中、それは苦しい」

暑い🥵
夏嫌い。夏はいかれた暑さのせいでなんのやる気も出ません。汗っかきには辛いです。自転車漕いでると死ぬほど死ぬほど汗かきます。歩いてても汗かきます。昔の嫌な記憶も噴き出します。汗汗汗。自宅でギター弾いてるだけでも汗の大粒が現れます。ギターなんてほぼ腕しか動かないのに。ムカつきます。殺気立ちます。しんどいです。恨みます。祝います。

音楽と季節

ほんで音楽の話でもすると、大好きな曲やアルバムってある時期の季節などと結びついて記憶していることって多くないですか?それも山下達郎の例のクリスマスの曲とかみたいに具体的に限定された描写がないような曲でも。

私の場合、レディオヘッドのOK Computerというアルバムはとても冬っぽく感じます。というかその中の「Let Down」という曲が私の中ですごく雪景色なんです。すごくセンチメンタルだし。

あとビートルズのLet It Beというアルバムも個人的にある冬によく聞いていたので冬を勝手に想起してしまいます。特に「I've Got A Feeling」を聞いていた寒い日はとても記憶に残っています。ビートルズの場合は屋上で行われたルーフトップ・コンサートの映像の景色の影響も大きいかもしれません。

しかし、その逆に夏の思い出の曲って私にはあんまりありません。日々たくましく友達と楽しい時間を過ごしてるような人達にはそういう存在も多いかもしれませんが、私の場合は誰かと共有するような素敵な思い出のようなものがありませんので、寂しい記憶だけよく覚えています。

「水中、それは苦しい」というバンド

それでも個人的に夏を想起させる音楽としてあるのが、水中、それは苦しいというバンドの「水中見舞い」(2017)というアルバムです。

このジャケット、私にとってのある種の青春です。なんでって青いから。

そもそもこのバンドって多分あまり有名じゃないですよね。紹介しても分かりにくいとは思うんですが、ざっくり説明してみます。

現メンバーはジョニー大蔵大臣(ギター、ボーカル)、セクシーパスタ林蔵(バイオリン)アナーキー吉田(ドラム)の3人です。かなり変則的なバンドの構成です。ギターというのも常にアコギで、エレキギターが鳴ることはありません。時々ベースの音が聞こえたりはします。

これは現メンバーになってからのはじめてのアルバムのジャケット。特にボーカルのルックスが売れる気ないですね。

前身となるバンドにボーカルのジョニー大蔵大臣が加入して「水中、それは苦しい」というバンドの名前に変身。

以下オフィシャルサイトから引用します

1992年結成。長く時空をさまよい「就活~夜逃げ~ギターポップ」を経て
2004年に現メンバーで再始動。
2006年に発表されたアルバム『顔にやさしく』が多方面で評判となる。
よくない薬に頼らず、不平不満をもらさない活動が評価され「サマーソニック」「あらびき団」に出演。文化人、漫画家、女優、芸人、芸人の妻にもファンが多い。
2012年、アルバム『芸人の墓』を発表し
「紀貫之以来の衝撃!!」というキャッチコピーで話題になる。
2020年、通算8枚目となる最新アルバム『ゆりかごから保育園まで』を発表し
「ジャンルは炙ったイカでいい」というキャッチコピーが話題となる。
 

就活は理解できるんですが、夜逃げってなんでしょう?その後のギターポップもなかなか謎です。その他に全然そのような情報が入ってこないので。
薄々わかるかもしれませんが、雑に括ってしまうと、要はコミックバンドということになりますね。

1992年結成と書いてますが、かなり歴史の長いバンドなんですね。そして嬉しいことに最近になってMV公開が続いたりしてかなり勢いが増してきているのです。人間椅子並みに遅いプチブレイクですね。

そして私が1番よく聴いた大好きなアルバムが「水中見舞い」です。単純に1番綺麗にまとまっていると思います。

1.ホタルイカの光

めちゃくちゃ良いメロディーなのにめちゃくちゃもったいない使い方してて草

というコメントがありますが、水中、それは苦しいの重要な要素ですね。唯一メロディーを奏でる楽器がバイオリンということもあるし、歌のメロディーや構成はとてもキャッチーな曲が多いんです。しかも、特にこの曲はなかなか泣かせにかかりそうな雰囲気。でも歌詞でやっぱふざけちゃってますね。

卒業してから10年間誰からも連絡がない
僕が怪しい宗教に入ったという噂のせい

たしかに、ボーカルの人はそんな見た目してそうですよね。

そしてBメロにまたがるところでは、

出来れば好きだったあの娘にもう一度会って
謝りたいことがあるんだ 伝えたいことがあるんだ
おっぱいだけさわろうてして ごめんなさい
おっぱいだけさわろうとして ごめんなさい

Bメロに展開した勢いでなんちゅうこと言ってるんでしょうか。学生時代の恥ずかしい過去、とでも言えば切ないかもしれません。

そしてサビは、

ホタルイカの光 ホタルイカの光
窓の外を走れ ホタルイカの光

いわゆる邦ロック感のある、抽象的な歌詞ですね。

2番3番もこんなノリで感動させてくれます。「歌詞なんてどうでもいい」みたいな人にも是非聴いて欲しいバンドです。

2.僕らがタマゴを飲む理由

タイトルはオザケンの「僕らが旅に出る理由」をもじってるのでしょうか。

歌詞は断片しか聞いてないんですが、

墾田永年私財法 大判小判のカートコバーン

とか意味のない一文を意味のない順番で羅列していってます。こんなノリがいちばん水中、っぽいです。私が好きなのは、

ピッチャーバッターググってる 本人の前でググってる
方法序説ホーホケキョー 私脱いだらヒャダインです!

水中、の多くの曲に言えることですが、サウンド的にはバイオリンがよく聞こえるものの、特にドラムのリズムがパンクっぽいです(今気づいたのですが、Apple Musicのカテゴリ名も直近の3枚のアルバムは「パンク」でした)。

3.吉田の季節

吉田ソングです。吉田というのはドラマーのアナーキー吉田さんのことです。1番年下なので愛されキャラなんでしょうね。

吉田の彼女が裸で待ってる 吉田の季節だね

初っ端から吉田さんのドラムのみから始まり、こんな意味不明なフレーズ。吉田さん怒らないんですかね。歌詞の内容以外はスピッツの「俺のすべて」みたいな始まり方みたいです。あの曲も夏っぽいイメージです。

ここで吉田エピソードをお送りしますと、吉田さんは東京外国語大学を卒業している高学歴である上に、バンド活動のかたわら徳島大学医学部に通い卒業、2020年に医師国家試験に合格しました。ドラマーで医者です。
さらに余談ですが、他ふたりも早稲田卒という高学歴です。3人とも揃いも揃ってなんでこんなコミック&パンクバンドをやるに至ったのでしょうか。

4.俺、副都心

東京 いろんな街 
いろんな国からやって来たカレーの王子様
東京 いろんな国
生き馬の目を抜いたり刺したり直したりする

うーん、元気な都会ソングですね。シティパンク。知らんけど。
何回もダ!ダ!ダ!って叫ぶのでアントニオ猪木みたいです。多分この年代のひとは好きですよね。

5.ツバメ☆グリル

多分格調高いコンセプトアルバムにありがちなインスト曲みたいなノリの短い曲。なんだか小学校の発表会みたいな、「1人誰かがセリフを喋って、そのあとみんなで同じセリフをリピートする」という語りの構成です

私たちは守っています
ツバメの巣を守っています


全部抜き出すとまずいかなと思ってここでやめましたが、この後期待通りに真逆なことを言い出してくれます。タイトルと合わせて不穏です。


6.さらば!永遠の命と引き換えたワタリガニ〜悲しきかな汝の名はズワイガニなり〜

タイトルめっちゃ長いけどほぼ2分しかない元気に駆け抜ける曲。サビはまんまタイトル通り歌っています。気のせいかもしれませんが「さらば」が「タラバ」に聞こえます。蟹ソング🦀。

7.あんぱん男

これが1番好きな曲かも。変だけど時々鋭く響く(気がする)歌詞とありあまる熱量がマッチしてます。
侍同士の決闘の前の風の音のSEみたいなのから始まり、

そうかお前はパンなのか

と渋く歌い出す。が、いきなり元気に3人の音が弾けて歌声もカッコいいせいで歌詞が説得力を持ち出します。


基本的にあんぱん男だとかあんこだとか男の中の男だとか男の中のあんこだとか叫んでるばかりですが、ときどき悲しい歌詞が。

怒りと悲しみだけが友達さ
犬とブルースだけが友達さ
目を合わせない犬だけが友達さ

私も友達がいなかった高校の一年生くらいの時代に、通学路にあるパチンコ屋の前の誘導員だけが友達だなとか考えてたので共感します。

8.THE 村上

吉田は分かるんですが、村上って本当に誰なんでしょうか。私は最近Aマッソというコンビの芸人の村上さんが好きですけど、関係ないでしょうね。マヂカルラブリーにも村上さんがいましたね。あと、最近は川柳だか俳句だかが上手いフルーツポンチの村上さんもいますね。

芸人ではなく小説家かもしれない…
村上春樹かな?「村上(春樹)からもらったスープ」は意識が高い味がしそうです。はたまた村上龍?「村上(龍)からもらったスープ」はかなりエグそうです…(完全に「限りなく透明に近いブルー」だけのイメージ)

今更ですが3人とも演奏技術がかなり高そうだと思いました。ドラムが上手いと迫力ありますね。

9.THE 民

前の曲と何か繋がっているのかもしれませんが、よく分かりません。

あなたの家の家計を圧迫しちゃう
あなたの家の飛行機を操縦しちゃう
あなたの家の船舶の名義を書き換える
あなたの家の子供に修行をつける

などなど迷惑行為てんこ盛り。

私は小鳥 私は小鳥
私は小鳥 ねこ こわい
私は小鳥 私は小鳥
私は小鳥 ねこ すき すきすき


ここだけ可愛いです。


10.ツバメ☆グリル2

インスト的なやつシリーズ後編。今度は一言だけ。やっぱりやばい人です。

11.組長の代理音頭

本当に音頭っぽく、変な音のドラムの上で「くーみちょーのだいりー」の繰り返しと変なセリフを言い続ける曲。
あくまで代理だからなのか声が弱々しいですね。

フルーツ仕込みのフルーツです

12.なんで私が東大寺に!?


当時「なんで、私が東大に!?」という塾のポスターがあったそうです。妙にイライラしそうな文言ですね。
この曲は東大寺にいる理由ですね。それは…聞いてのお楽しみにー(ってするにはあっけなさすぎる理由ですが)
2番では「なんで私が本能寺に!?」となります。こちらの理由も身も蓋もありません。

13.イノクマさんと呼ばれた少女

これも不思議なほどに切ない雰囲気があって大好きです。コミックバンドとして形容されるのがもったいないと思えるほど。
ジョニー大蔵大臣の故郷金沢の農家について歌っている思われます。

繰り返される二毛作 永遠みたいな二毛作続く
スプリンクラーの僕らも回る

珍しく良い情景描写などが出てきます。
他の曲の歌詞が面白すぎて、この曲は笑えるとかではなく異常に感動します。
元ネタがあるのかよくわかりませんが、歌詞中におけるイノクマさんってどういう存在なんでしょうか。なんだか怖く思えたりもします。

演奏の魅せ方もカッコいいです。後半のスリリングな演奏が好きです。

14.仕上げはおじいさん

最終曲でPV二個目。「しあげはおかあさん」ではないですね。ゆったり聴かせるパートとどパンクなパートの緩急がカッコいいです。歌詞は一応おじいさんと孫との家族愛みたいなこと言ってるんでしょうか。

仕上げはおじいさん
お土産はおじいさん
押上のおじいさん
仕上がるおじいさん

ここの追い込みが好きです。

こんな笑いあり涙あり(?)な水中、それは苦しい、聞いてみませんか?私の推しトラックは、1.「ホタルイカの光」、7.「あんぱん男」、13.「イノクマさんと呼ばれた少女」です。

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