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風が吹けば桶屋が儲かる、タバコを吸えばインディアンが隆盛する。


タバコ、闘争、復権

「百害あって一利なし」界隈をトップリードしている嗜好品、タバコ。最近いろいろ吸い始めたのだが、最近はアメリカンスピリット(通称アメスピ)を愛好している。

このタバコのシリーズで特徴的なのは「100%無添加」という点だ。普通のタバコは燃焼促進剤やらなんやらが入っているのだが、アメスピはそういうのが入ってない。だから、ライターで火をつけるときにやたらと炙らないと、燃えてない!ってなりがち。

そういう情報を知ったがゆえのバイアスかも知れないが、心なしか他のタバコを吸ったときに少し気持ち悪さを感じるようになってしまった。アメスピしか吸えない身体にされてしまったのだ。哀れな身体よ。

ちょうど今吸ってるのは、10種くらいあるうちの、ペリックという黒の9ミリのヤツ。

赤と黒のパッケージがなんだかカッコいい。

コンビニとかであんまり売ってるところがなくて、見つけるのに苦労した。ていうか自分のバイト先だけでしか発見できなかった。ウチはタバコの品揃えが悪いのに、なぜか2種類しか置いていないアメスピの中の一つがこのペリックだった。ありがてえ。

ペリックというのは、ウイスキーを製造するときに使うオーク樽というのを使って1年間葉っぱを熟成させたものらしい。製造過程がユニーク。

だが、アメスピに関する情報の中でもっとユニークなものをwikipediaで発見した。

アメリカンスピリットから得られた一部の収益は、『サンタフェ ナチュラル タバコ基金』として、ネイティブ・アメリカンの自給自足、言語や文化の保護と更なる発展、促進の為、ネイティブ・アメリカンの子供たちへの教育プログラムや芸術興隆の為に使われている。(出典:ブランドサイト(TOP >> OUR STORY >> IDENTITY))

つまりだ、僕がアメスピを吸うことでネイティブ・アメリカンの文化復権に寄与しているのだ。なんと素敵なことだろう。

「百害あって一利なし」なんて、もう言わせない。僕は僕の健康を犠牲にして、ネイティブ・アメリカンの生業を、立派なやり方で、きちんとしたビジネスに寄与して、支援しているのだ。彼らは素晴らしいタバコを生産し、僕はそれに対価を支払う。

僕がタバコに火をつけるのは、あの憎き侵略者、白人たちから踏みにじられた彼らの尊厳を取り戻すための闘争なのだ。今日も僕は"本当の"「アメリカ」精神に火を灯す。復活の狼煙だ。今日も僕は狂い咲く。今日も僕は一人熱狂している。すべて過言だ。WASP様様です。ごめんなさい。

このように、なんだか人はマイノリティを保護するという行為についつい奮起してしまいがちなようだ。アツいんだもん。吸い終わりのタバコみたいに(?)。

おまけの音楽話。

ついでに、最近ネイティブ・アメリカン由来だという音楽を聞いたので紹介しよう。

それを知るきっかけになったのは、ここ一年くらい僕が愛好しているキリンジ

なんか聞いたことない曲見つけたあ、と思って聞いたら、英語のカバー曲だった。

どうやら、原曲はJim Pepperという、サックス奏者、ジャズ界隈の人のもので、元は1960年代まで遡るみたい。多くのカバーが存在していて、2週間前くらいに、Supremesが録音したバージョンもなぜか公開されていた。僕が知らないだけで、めちゃめちゃすごい人の、めちゃくちゃ伝説のナンバーだったということか。

ジム・ペッパーという人はネイティブアメリカンの血筋らしく、この「Witchi tai to」という曲もそのコミュニティの音楽をヒントにして作ったのだという。

歌詞も一部は英語だが、大部分を占めるコーラスは英文ではなさそう。Geniusというサイトで調べた歌詞はこんな記載だった。

Witchi-tie-to, gimee rah
Whoa rah neeko, whoa rah neeko
Hey ney, hey ney, no way

たぶん歌詞カードとかそんなに普及してない時代だったのか、正式な歌詞は無いっぽい。けど、どのサイトにしても普通の英文ではなさそうなのがわかる。ネイティブアメリカンの中での呪文とかそういうものなのだろうか。

けど完全に別言語って感じもしない。「give me love」って聞こえなくもないところもあるし、ノリは英語感ある。

一応ちょっと普通の英語もある。それがこれ。

Water spirit feelin'
Springin' round my head
Makes me feel glad
That I'm not dead

「水の魂みたいな感じが頭に湧いてきて、死んでいなくて良かったって思わせてくれる」という感じかな。音楽自体も、お経のような、浮き沈みのない歌唱が連続するのだけど、徐々にとても高揚してきて、気持ちの良い感じになる。

いろんなバージョンがあって、ジム・ペッパー本人による演奏もいくつかあるのだが、僕が初めて聴いて虜になったのは、彼の名義の初アルバムに収録されているらしい、この8分くらいのバージョンだ。

ジャンルで言えばやっぱりジャズなのか?でも、ステレオタイプな小難しい雰囲気は全くなくて、しっかりバンドサウンドで盛り上がってくる。重厚なピアノが弾き始められたときにはもうすでに虜なのだが、中間のおそらくジム本人のサックスのソロが白眉だ。めちゃめちゃアツい。

後半の演奏隊の渦を巻くような一体感も素晴らしくてアツくなる。Hey Judeみたい。

個人的にはなんだか小沢健二の「天使たちのシーン」を思い出してしまう。とっても生命賛歌、人間讃歌みたいなバイヴを感じて目頭が熱くなる感覚が通じている。やはり熱狂だ。

おそらくこれのプロトタイプであるバージョンはサックスのソロもなく、結構短くて子守唄みたいなシンプルさだ。

こっちのシンプルバージョンの方が普及しているのか、カバー曲はこれに似ているものが多い。

このハーパース・ビザールというグループのバージョンは、キリンジのカバーの下敷きになっているものらしい。ストリングスとかよくわからないリンリンしてる音とか入ってて、コーラスも大人しく、美しさが極まっている。

いろんなカバーがあるが、どれもおすすめ。是非聴いてほしい。

そんなところで。ありがとうございました。witchi tai to!

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