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【 落語の雑則 52】 当たり前を作る

 裏にしたトランプの山を一枚ずつめくって色を見る

一枚目は黒いカード
二枚目も黒いカード
三枚目も黒いカード
四枚目も黒いカード

そして五枚目に赤いカードが出る

いつかは赤いカードがでると分かっていても「おっ」と思う

 たいてい次も同じ事が起こるだろうと思いがちである
だって、黒が出ていることは記憶にあって、赤が出た事は記憶にないから

記憶をたよりに黒がでることが「あたりまえ」になる

 「あたりまえ」になったあたりで赤いカードが出てくると「おっ」となるわけである

 意外性の出現が笑いを生む。

 落語では赤いカードこそが笑いを生むと考えがち

でもいきなり赤いカードを出して「おっ」となるだろうか

「あたりまえ」があってはじめて赤いカードが生きるもの

 黒いカードが続くことに笑いはない
それを別の要素で笑いを作りながら黒いカードが続くことを「あたりまえ」にしていく

 落語で難しいのはこの黒いカードで「あたりまえ」を作っていく事

楽しく当たり前がてきあがる話

そんな落語を追究したい
 


落語を考える事は限りなく深い森の姿を探求する旅のようなものです。森の中にいる私には、森の外から見ての意見で、見えないものが見えてくると思います。そして、一人より二人、二人より三人と、誰かと一緒に考えて行きたいです。スキ、コメント、サポート、みんな大歓迎です。よろしくお願いします。