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アラサーだけど、私はまだ自分を「女子」と呼ぶ。

大人の女とは、口紅を塗り直すタイミングが掴めたときだ。

いい大人と言われるが、私は真っ赤な口紅が恥ずかしくて塗れない。
それに、正直塗り直すタイミングも今だによく分からない。

 「女性」という言葉に焦燥感を覚える

わかっている。私はもう「女子」などという存在ではない。
だけれども、「女性」だと言えるほど大人になった自覚もないこの感じ。

「口紅をぬるタイミングがわからない」などという「女子」レベルのことで悩んでいるのだから。

化粧室で直すというけれど・・・
 
化粧番長「食事のたび、飲み物を飲むたび、に決まってるじゃない」

仕事の段落がつくたびに直さなくては、あの綺麗なウルツヤの唇は維持できないでしょう。
「女性」なら唇のメンテもこなれたものよ。

その通り。おっしゃる通り。
だが、私のポンコツ脳はそのたびに口紅のことを忘れる。

食事のあとなんて、ただただ化粧室をトイレとしての用途で使用し、席に戻り、飲み物を飲んでリラックスし、仕事の段落がつくたびお菓子を食べる。

その間、唇はがっさがさであろう

それでも私という人間は、唇をおろそかに扱ってしまうのだ。

そんな私が「女性」などと言い、ふるまっていいのか?!

・・・否!世の立派な女性に大変失礼である。

あらゆるシチュエーションを思い出してみても、私のようなものの為に場の空気が少しでも乱れてしまうのが嫌なのだ。
トイレに離席するとき、話をどのタイミングで止めるといいのだろう。
席に戻る時も、「今いい話をしてたところなのに、間の悪い奴だ」なんて言う具合に。

戻ってきた私の唇がウルウルなことと、そのリスクが見合ってない!

そんな私が「女性」と名乗るのは恐れ多い。 

そんな気持ちで「女子」と自称する奴もいる。
「気が小さいのだ」と世の男性諸君には許してほしい。

色々女というものは、生まれてから死ぬまでどうでもよいことに頭を悩ませる、不自由な生き物なのだよ。

では誰がために口紅をぬるのか

究極的には自分自身のためだろう。
ピカピカのお肌、バッチリまつげ、そこにウルウルの唇で完成であり、常にそんな自分で対面して、何かと戦いたいのだ。

女性というものは。

男性で例えると、髭を半分しか剃っていない状態、と似た心境だと思う。
だから私はこんなにも気にしてしまうように思う。

今、私の周りで口紅をきちんと塗らない人は誰か?と思い返そうとしても、特に誰も思い浮かばない。
きっと自分自身以外には、それぐらいのことであるのに。

だから私はよく色付きのリップを塗ることで代用している。
少しでも女性に近づきたくて。

幼いころに憧れた、凛としたあの「女性」に私はいつなれるのだろうか。

 そんなノスタルジーも口紅から私は感じている。

#コミカルエッセイ #エッセイ #口紅 #女性 #女子 #リップ




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