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【カゲクマ店長の怪談】004_波の中で

これは友人達で、夏に旅行に行った時に体験した話です。

メンバーは男女4人で私、K男、M子、D子という
高校から付き合いのある仲の良いメンバーで、
旅行の予定としては、一泊二日で、
初日は海で遊び夜は近くの旅館で泊まって、
翌日に少し観光名所を巡るという予定でした。

午前中の早い時間に出発した私たちは、
昼前には目的の海水浴場に着いたのですが、
やはりシーズン真っ只中という事も有り人が多くて、
とてもゆっくりと海水浴を楽しめる状況では有りませんでした。

折角来たんだし、もう少し人気の無い場所は無い物か?

私たちは相談して、人気の無い浜辺を探して
少し移動してみる事にしました。

浜辺を歩き少し岩場になっている所を抜けると先行していたK男が
「おい!あそこ!!」と指を指しました。
指を指した先には綺麗な砂浜が見えます。

たどり着いた砂浜は先ほどの場所とは違って人も少なく、
海水浴が満喫できそうな場所でした。

私達は嬉しくなって、
海へと駆け出し、泳いだり、ビーチバレーをしたりと
ほとしきり遊びました。
少し疲れを感じてきて、休憩をしようと思った頃…

K男が「あそこに見える岩山まで競争しようぜ!」

と沖に浮かぶ岩山を指差して言いました。
岩山の有る場所は目視で結構な距離がある様に見えました。

私は疲れている事も有り、
いや、俺はやめとくよ… と言うとK男は

「んだよ~ じゃあ、俺が最速で行ってくるから動画とっててくれよ」
と言ってスマホを渡してきました。

それくらいならとスマホ受け取り、
撮影を始めました。

「んじゃー 行ってくるわ」

K男が海に入っていきます。

スマホの画面越しにその姿を見ていた私は、
慌ててK男を引き留めました。

「なんだよー 」と不満そうなK男をよそに、
浜で休憩しているM子、D子にも声をかけ、
私達は急いで浜辺を離れました。

「いきなりどうしたの?」とD子が心配そうに声をかけてきます。

私は説明するよりも見てもらった方が早いと思い、
先ほどK男から受け取ったスマホの動画を再生しました。

そこには、K男が海に入っていくシーンが映しだされています…

全員が息を飲みました。

海に腰までつかったK男に波間から青白い腕が4本…絡みついていたのです…
そして、その腕がおいで~ おいで~ をするように
こちらに向かって手招きをしているのです。

「ヒッ」

それを見てM子が画面から目をそらします。

「マジかよ・・・」とK男の顔も青ざめていました。

ここでD子がさっきから黙っているのが気になり、
どうしたのかと声をかけると…

「これ見て」とD子はスマホの画面を指さします。

私達は指さされた場所をに視線を向けて言葉を失いました。

K男の背後にある海に… 
青白い苦しそうに表情をゆがめている顔が無数…
波に漂っていたのです…

後から聞いたのですが、
その浜辺は地元の人達の間では有名な心霊スポットらしく、
良く水死体が流れ着くんだそうです…

あのまま海に入って泳いでいたらK男はどうなっていたのか?

それを考えると恐ろしいです。

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