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何で笑っているのかと思った

改札口で出遅れた幼い女の子が駄々をこねている。母親の早く出てきなという声に「いやだ」と言っている。親が連れの女性と話し込んでしまい、子どもを置いて出てしまって、置いてきぼりをくったので、すねているみたいだ。その気持ちわかるな。

気になったので、幼児のそばに行くと、母親が「おじちゃんと一緒に出ておいで」と言う。「一緒に出ようか、お出で」と何回か言う。うでをちょっと引いてあげたら、今まで動かなかった体が急に動き出して改札口の方に歩きだした。女の子を先にして改札口を開けて出ることができた。何とか母親と再会、よかった。幼子は、駄々をこねながらも、自ら解決の道を探っている。だから、ちょっとした手助けがあればうまくいくものだと痛感した。

別の日のこと、母親にだっこされて後ろを向いている幼い男の子の顔がこちらを向いている。わたしは歩きながら男の子を見ると向こうも私を見ている。手をあげたら顔がほぐれたような気がした。帽子のつばの下に手をかざしたらゲラゲラと笑い出した。さらに手でメガネの形を作ったらもっと笑い出した。幼子は、なんてことがない仕草に喜ぶ。もう一度メガネを作ったらまた笑い出した。孫の顔にどことなく似ていたので、ついおどけてしまった。孫にもしばらく会っていないな。送られてくる写真をみるとずいぶん大きくなったみたいだ。

コンビニに用があったので、バイバイと言うと、母親が私に気がついたようで「何で笑っているのかと思った」と笑いながら会釈をして去っていった。


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