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白菜漬けの思い出

白菜漬けは好きだが、特に固い部分とやわらかい葉っぱの間にある固くもなく薄くもないところが好きだ。その白菜漬けの思い出である。

七五三の日に、母が、伯母が勤めている京成本社に連れて行ってくれた。当時は京成本社は上野の山の上にあった。伯母がにこにこして迎えてくれた。

ちょうど昼時だった。伯母の同僚の三瓶さんがお弁当のご飯に白菜漬を巻いて食べさせてくれた。白菜の甘味が口中に広がった。それから、あの時のおしんこ巻きは美味しかったと言い続けた。京成本社を出て、不忍池側を走る都電を山から眺めた。記憶はそこで消えている。

その伯母はその後何年かして四十歳代の若さで亡くなった。葬式の日に三瓶さんが大泣きしていた。

そんな子どもの頃の思い出からか、今でも、ときどき白菜漬けでご飯を巻いて食べたくなる。

                                                                                    2022.10.12



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