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今年の中秋の名月

9月28日夜のこと、「今夜は、待宵の月ですよ。窓からのぞいて、見てごらんなさい。綺麗ですョ」と年上の友人からLINEが来た。あわてて、ベランダに出て、東の空を見ると十四夜の月が昇っていた。ほぼ満月である。友人や子ども家族にLINEして教える。すると「見てきました。まんまるでした」と何人かの人から返信があった。
教えてくれた年上の友人にお礼を言い、「明日の名月に期待しましょう」とお互いに楽しい気持ちを交換する。

9月29日、「八月十五夜、隈なき月影、暇多かる板屋残りなく漏り来て」さあ、いよいよ名月だと6時半過ぎに東の空を見る。まんまるの満月が昇っている。これは期待できるぞと思っていたら、7時頃に雲がかかり、やがて雲に隠れてしまった。煌々と輝く満月が雲に隠れるから殿上人は雲隠れと言ったのか。友人と残念でしたねとLINE。

翌日、十六夜の月が煌々と上がっていた。昨夜の分を取り返したような気持ちだった。「昨夜は雲に隠れがちだった月が、今夜は綺麗に見えました。心が洗われました」とLINEをくれた人がいた。確かに煌々とした月に私の心も洗われた。

今年は、十五夜と満月の日が重なり、次に重なるのは7年後とのこと。旧暦カレンダーを見ると十五日が満月でない月がある。望月が12月16日、正月16日などなど。朔日新月から満月までの日数が13.9〜15.6と一定でないことが理由らしい。不思議だ。中秋の名月、それなら来月は晩秋かと、さらに暦の不思議を思う。

満月を、メガネをかけて、見つめたら、うさぎが下向きに餅をついていた。お腹を透かした老人のために、猿は木の実を取ってきて、狐は魚を取ってきたが、うさぎは何もできないので、自分を食べてくださいと自ら火に飛び込んだ。老人(実は仏か菩薩だったかな)は、うさぎを憐れんで月に昇天させた話を思い出す。

名月を話題にLINEがつながる友人家族とやり取りし、みんなで喜んだ。満月に本当に心が洗われるようだった。


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