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セミ爆弾

先日帰ってきたら、玄関のドアの下に蝉が仰向けになっている。てっきり死んでいるのかと思い、蝉をどかそうとしたら、急に羽ばたき出してビックリした。まだ生きていたのかと、生協の空箱の上に置いてあげたら、体が息をしているかのように動いている。蝉をじっと見ていると生き物の命を感じる。末期の水ということを思い出したので、持ち合わせのお茶をかけてあげた。お茶がよかったのかどうか分からない。しばらくうつぶした格好をしていたが、やがて力が尽きたのか、ころっと仰向けにひっくり返った。

こんなことがあるのだろうか。木の幹にしがみついていた蝉が死期が近き、しがみつく力がなくなり地面に落ちるのは分かるのだが、玄関先まで飛んできた。玄関の近くに木がないので、どこから飛んできたのだろうか。日影を求めて玄関先に飛んできたのだろうか。何故、土の上ではなかったのかが分からない。

蝉は落ちてもしばらくは生きているらしい。触ると蝉は突然に羽ばたいて見ている人を驚かすことがあるが、それをセミ爆弾と云うらしい。末期の水は、ホントは蝉の好きな木の蜜がいいのかな。何時間か立って、玄関を出て様子を見に行ったら蝉は通路に落ちていた。土に返すのが、いいのだろう。そう思い、マンションの入口の生垣の下に置いた。

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