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ジンバブエの昆虫食レストラン

ジンバブエのレストランに昆虫を食べたら証明書をくれるというコーナーがあった。昆虫食は、ここの伝統的な料理であり、日本でいえばイナゴや田螺を食べるようなものだ。伝統的な食文化である。そこの郷土食を味わうことは、異文化への好奇心からでもあるが、それに対して敬意を払いたい、二度と味わえない体験になるかもしれない。そんな気持ちで昆虫食を試してみた。加えて、私が昆虫食に引かれる理由は、命すべてを食べる全体食だからである。 

特殊な食べ物と言えば、かつて、有楽町に蛇や雀を出す店があって、先輩に連れて行ってもらった。先輩からカエルを勧められて食べた。昔から食べられてきたものだから気味悪さはなかった。多様なものを食べて、生き抜いてきた先祖への崇拝もある。骨付きの鶏肉のような味がして美味しかった。「なんだよ、もっと気味悪がってくれよ。美味しそうに食べてつまらないな」と、私を驚かそうとした目論見が外れた先輩が冗談めかしにこう言った。

今、この異国の地で食べる昆虫も、この土地に生きてきた人びとの土地に根付いた食文化である。そんな気持ちもあって、昆虫を食べてみた。昆虫のお代わりをしに行ったら、係りの人が笑顔で迎えてくれた。食べたら証明書をくれた。証明書を出すことに昆虫食への人びとの誇りが感じられる。

最近は、将来予想される人類の食料危機に対して、昆虫が切り札になるというので、昆虫食の研究が行われている。昆虫は消費するエネルギーも少なく、地球環境にやさしい食べ物らしい。無印良品が徳島大学と連携して「コオロギせんべい」というものを商品化している。昆虫食が郷土食でなくなる日が来るかもしれない。

ジンバブエ、ビクトリアフォールズのレストラン






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