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昆布・コンプ・ケルプ

昆布(コンブ)を英語でkelpと言うが、共にkで始まり、bとpは音韻が変化しやすい。どうも似ている。それが気になり始めた。どうも最近は気になると気になる。知的神経症だと自己診断している。

昆布(コンブ)は、寒流の流れる大陸沿岸部に生息し、日本では、北海道と東北太平洋側が生産地である。

昆布という言葉は、『続日本紀』が初出らしい。霊亀元(715)年10月に蝦夷(エミシ)の長が、昆布を毎年貢納してきたが、納めに行く国府が遠くて大変だから、閇村(今の岩手県)に郡家を建ててほしいと願い、許された記述がある。

「又蝦夷須賀君古麻比留等言、先祖以来、貢献昆布、常採此地、年時不欠。今国府郭下、相去道遠、往還累旬、甚多辛苦、請於閇村、便建郡家、同百姓、共率親族、永不欠貢、並許之」

平安時代(10世紀)にできた倭名類聚抄では、昆布比呂米(ヒロメ)、衣比須女(エビスメ)と訓読している。ヒロメは巾が広い海藻、エビスメは蝦夷の海藻という意味だろう。昆布に続き海藻が記載されている。昆布が寒冷地で採れるコンブを指していることは間違いない。

昆布の語源には、アイヌ語、中国語、日本語からの3説がある。
アイヌ語では昆布は、kompu(コンプ) またはsas(サㇱ)である。コンプが昆布の語源とする説とサㇱがもともとあり、コンプは日本からの外来語説がある。
中国語では、コンブは海帯、ワカメは海藻である。文献では、紀元前から綸布(クァンプ)と呼ばれていて、昆布と考えられるが、牧野富太郎は、東海(日本、朝鮮)の産物であることからワカメとしている。またコンブを意味する海帯は11世紀から文献に現れる。
日本語では、コンブはヒロメと言われ、広布と表記され、音読みのコウフがコンブに変わったという説がある。(ちょっと苦しい説かな)

昆布の語源は、アイヌ語のコンプか、中国古代の綸布になる。北海道、カラフト等のコンブがアイヌ等の人たちにより中国や日本にもたらされ、コンブ経済圏が作られて、東アジアはつながれていた。物と共に名前はついて行く。そう考えると、アイヌ語のコンプが昆布の語源に思われてくる。

さて、コンプとケルプの音が似ていることである。google翻訳によると、ケルプ(kelp)は英語だけでなく、以下のように世界的に多く使われていて、国際的共通語である。

コンブの森が北太平洋から北米の大陸沿岸部をはじめとして、寒流が流れるヨーロッパ北西部、アフリカ南部、南アメリカ大陸、オーストラリア大陸の沿岸部に生息する。コンブの森に沿って人が動き、アイヌ語のkompu(コンプ)がkelp(ケルプ)として世界中に広まって行ったという考えが私を魅了する。そう考えるだけでもわくわくしてくる。(科学的な証明はなく、ただ、夢想するだけなのだが)

kelp 
【ヨーロッパ】英語、オランダ語、スウェーデン語、ポルトガル語、バスク語、アゼルバイジャン語、チョコ語、ルクセンブルク語
【アジア】インドネシア語、マレー語、ジャワ語、クメール語、ミャンマー語、タガログ語、
【オセアニア】ハワイ語、マオリ語、サモア語

【その他】
ceilpe アイルランド語  
ceilp スコットランドゲール語
quelpo スペイン語 
kheb ラオ語 
Kēlpa ネパール語 
kelpnga ルガンダ語 


(参考にしたもの)

https://www.hkk.or.jp/kouhou/file/no649_series-ainu.pdf

ainu.pdfhttp://ogurayayamamoto.co.jp/know/history_kelp/



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