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知に働けば角が立つ

に働けば角が立つ。に棹させば流される。
『草枕』の有名な冒頭だが、生きていると本当にそう感じられることが何回もある。

働いていると、物品の管理を任されたり、購入事務をしたりすることがある。依頼に諾否できる、ちょっとしたプチ権限が与えられて、若いのに偉くなった気持ちになったりして、上司のひんしゅくを買う例も見られるのだが、そういう例はさて置き、多くの場合は、知と情の間にあって悩む。筋を通して、厳しくすれば物事は一応終わっていく。しかし、後味が悪い。決して愉快な気持ちにはなれない。だからといって、優しさだけで、いいよいいよを繰り返していくと、メリハリのつかない結果になり、早く懐具合が悪くなり、動きがとれなくなる。とにかくこの世は難しい。

どうすれば良いかと悩むのだが、そんなときに必要なのが情理かと思う。辞書を引けば、情理は人情と道理。人間は情けの中にも筋道を通そうとする生き物のようだ。人の心を汲み取りながら、道を外さない。道理だけでは人は付いてこない。また人情だけでは流されていく。それを知っていた日本人は、情理で上手に世の中を生きていたようだ。条理は物事の筋道だが、人の心が分かった上での条理が情理なのだろう。

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