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誰がために声援は鳴る

長らく続くコロナウイルスによる自粛の影響でプロレスの大会はもちろんやってないし決まってた大会は全部キャンセルになってるわけですが、DDTは結構頑張ってサーモグラフィーとか導入して、その後は無観客で、とか緊急事態宣言が出るまでは粘ってましたね。K-1が杜撰な対応でその辺ぶっつぶしましたけどw

そんな中かなり早い段階で新日本プロレスは中止に踏み切ってました。それでも粘って段階的に中止してましたが緊急事態宣言以降はもうバッサリ。無観客試合とかもなし。その代わりNJPWTogetherプロジェクトでトークイベントとかを配信してますね。NJPWWORLDって配信サイトをやってる上での苦肉の策だとは思いますが。

ちなみにバッドラック・ファレ選手はなんか面白コントの配信始めてて日本語うめぇーwってなりますねw

KENTA選手なんかは相変わらずクソリプをあしらいつつ手洗いとかステイホームを推奨しててやさしっ!ってなりますね。

それはさておき、いやマジでこんなに中止にしまくって日本最大手とはいえ大丈夫なの新日本!?って思ってたら先日メイ社長からコメント動画が配信されましたね。

いやーさすが百戦錬磨。日本の政治家とは違って安定した喋りで安心感を与えてくれます。これを日本語と英語で配信してるのがインタァナショナルゥって心強い。CHAOSが呑気に座談会できるのもさもありなんです。YHOSHI-HASHI選手の背景はなんなんでしょうか。

まぁね、なんの記事かっていうとですね、この状況って世界的とはいえ3.11以来の危機じゃないですか。とはいえ3.11の時は被害が東北中心だったので、それ以外の地域ではプロレスなんかもやってはいたんですよね。それでも日本全体が自粛緊縮ムードでなんか楽しいイベントとかもやってる場合か!いやこんな時だからこそ!みたいにピリってたんですよね。だから、なんかあの時のことを思い出しました。

2011年の8月、新日本プロレスは毎年恒例のG1クライマックスを開催してました。

そして優勝した選手がリング上で野上アナからコメントを求められると

「この声援は俺一人のためじゃない」

って言ったんですよ。

これはG1を戦った選手全員とかじゃなくて、その会場にいる人(当時NJPWワールドはなかったので)ワールドプロレスリングで観戦する人、新日本プロレスを応援する人、なんならプロレスを応援する人全部をひっくるめてのことなんですよね。

プロレスを好きなやつらが「プロレス」へ向けて声援を送ってる、と。

遡って2004年、K-1やPRIDEに代表される格闘技ブームに押されてプロレスが斜陽を迎えていた時、かつて、その選手は新日本プロレスに乗り込んできた総合格闘技のスター、ボブ・サップに向かって言ったわけですよ。

「一番すげぇのは、プロレスなんだよ!」

この言葉は、リアリティに裏打ちされた総合格闘技の打ち出す競技的「強さ」に対してプロレスというのは魅せるエンターテイメントとしての格闘技であり、そこで一番大事なのは「凄さ」なんだということを叩きつけた言葉だったわけです。

時を経て2011年、その言葉を発した選手は「この声援は俺一人のためじゃない」と言いました。

「ここにいる奴らは、みんな知ってる」と。

そして2004年と同じ言葉を、全く違う意味で発しました。

「一番すげぇのは、プロレスなんだよ!」

これは、この時、歴史的な災害に見舞われ、苦しんでいた日本、元気のない日本をプロレスで元気付けようと戦ってきたからこその言葉。正直プロレスを見てる人たちだって当時の自粛ムードみたいなので内心(東北の人たちは大変なのにこんなことしてていいのかな)って思ったりもしたわけですよ。

でも、この言葉がそんなプロレスファンの不安を払拭して全肯定してくれたんです。日本を活気づけて元気にさせる、元気になれる、それがプロレスなんだと。2004年の時と「すげぇ」の意味は全然違うんですよね。総合格闘技に対抗するプロレスの意地という次元じゃなく、災害に対して日本を建て直すくらい「すげぇ」んだと。言い過ぎかもしれんけど、なんかそういう「おお、言葉の意味はよくわからんが、とにかくすごい自信だ!」くらいの。

この時以降、この言葉は頻繁に使われるんだけど、本当に意味を持ったのは2011年だと思うんですよ。2011年より後に新日本を観始めた人はこの言葉を知っててもその意味を知らない人もいると思います。

だから、暇な人は是非そういう前提を意識してNJPWワールドで2011年のG1優勝決定戦を見て欲しい。トランキーロになる前の懐かしい内藤選手も観れるからw

そして今、この時観て、聞くと、染みると思います。

今、プロレスラーたちは本当に苦しいと思う。収入の面もそうだけど、彼らには人を元気にさせるっていう自負があるんですよ。それが必要とされる時にそれを許されないというのは辛いと思う。

だからプロレスが再開されたら、メイ社長ももうすぐだと言ってますし、会場で観戦できたら、それを言った選手はいなくても俺はこの言葉を贈りたいです。

「一番すげぇのは、プロレスなんだよ!」

ちなみに2011年の3月、震災直後に出されたメッセージ。

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