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給付金10万円「先払い」の東川町 10年前にも全国「最早」で子ども手当を支給

国の制度に先駆けて

新型コロナウイルス対策として国民1人当たり10万円が支給される特別定額給付金。いち早く4月30日から実質的に支給開始する北海道東川町が、「全国『最早』では」「さすが東川」などと話題になっています。実はちょうど10年前、2010年(平成22年)に当時の民主党政権が子ども手当の支給を始めた時も、他市町村に先駆けて国からの給付を町民に届けていました。

今回の特別定額給付金は4月30日に関連の補正予算案が可決成立する予定。でも東川町は成立前の28日から町役場で支給に向けた「先払い」の受け付けを始めました。初日に受け付けが受理された町民は、30日から指定の口座に10万円が振り込まれるそうです。国の制度が整わない前から自治体が独自に動いた珍しい例として、テレビや新聞など全国ニュースでも大きく報じられました。

変則的な手法

素早い支給を実現するため、東川町は今回かなり変則的な手法を工夫しました。まず町内に支店がある金融機関2店(東川町農協と北央信組東川店)に協力を求め、緊急に資金を必要とする町民に無条件で1人10万円を貸し付けるよう要請しました。10万円は遅れて国から町を通じて各世帯に支給されるため、融資した分は町がまとめて各金融機関に返済することにしました。

このため今回の10万円の先払いは、正式には「緊急個人貸付制度」といいます。町によると、両支店も「緊急事態」だとして快く了承してくれて、貸付から返済までの利息なども金融機関で負担すると申し出てくれたそうです。こうして全国的にも異例の早さとなる特別定額給付金の支給開始が実現させたわけです。

私は自営業のかたわら臨時職員として役場で働いてもいる「半分、中の人」といった立場ですが、端で見ていてこのスピード感と、困っている町民のために何とかしておカネをひねくり出してやろうと知恵を絞る姿勢は、実に東川町らしいと感心しました。

10年前の子ども手当

国から国民に出るおカネをめぐり、東川町が他市町村に先駆けて町民に支給開始したのは今回が初めてではありません。2010年(平成22年)に当時の民主党政権が子ども手当を始めた時も、全国最速で支給開始しました。

当時は野党の反対もあって関連法案の成立に時間がかかったうえ、初めての制度に自治体の事務作業が煩雑となり、6月1日とされた支給開始日に間に合わない市町村が全国で続出しました。

しかし東川町は「対象者に早く手当を支給したい」と庁内での事務作業を急ぎ、初日に間に合わせました。結局、6月1日に支給開始したのは全国で東川町を含む7町村だけ。話題になっていた新政策のスタートとあって新聞やテレビの取材が東川にも集まり、全道ニュース、全国ニュースで広く紹介されました。

したたかな東川町

今回も当時と同様にスピード支給を実現したことで、結果的に広く報道されて「東川町」の名前を広く売り込むことができました。NHKや民放各局、新聞各紙などが全国で報道してくれた広告効果はどのくらいに上ったでしょうか。

個人的には10年前の子ども手当のこともあり、今回も「役場は(全国一番乗りを)狙ったな」と思っていて、町の幹部職員にも聞いてみましたが、笑って答えずでした。でも、住民のためによそではやっていないような政策を工夫して実現し、それを報道機関を通じて広くPRするすべまで心得ているとしたら(たぶんそうだと思います)、相当したたかな町だと思います。

これも私見ですが、国が2014年(平成26年)ごろから力を入れている地方創生は、「地方」があまねく発展していくような未来にはなりません。日本全体で人口が増えて経済も成長していたバブル崩壊前の1990年(平成2年)ごろまでならいざ知らず、人口が減少し、低成長が続く現代の地方創生は、嫌な言い方ですが、地方の中でも勝ち負けがはっきりしてしまうような結果になるでしょう。

そうした視点で東川町を(半分)中から見ていると、「地方創生の優等生」などと言われていい気になっているわけではなく、実は必死で生き残りを図っているという側面もひしひしと感じます。


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