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東川町の「出前イーツ」に見る自治体の「やるべきこと」「できること」

「出前イーツひがしかわ」チラシ1

「出前イーツひがしかわ」チラシ2


出前イーツとは、東川町内の複数の飲食店に集まった出前の注文を事務局で取りまとめ、効率的に配達員を手配するフードデリバリーサービス。町役場と商工会青年部が3月23日から4月10日までの期間限定で始めました。

個々の店舗で出前に対応するのは人件費や事務作業の関係で難しいけど、そうした手間を町などがまとめて代行する点がミソです。東京や札幌など都市部ではUber Eats(ウーバーイーツ)や出前館など民間が行っているのと同じようなサービスで、これを東川では行政と商工会が実現しました。

それも、新型コロナウイルス問題が飲食店を直撃していることが分かってから、わずか2週間ほどの短い期間で。全国的にも例を見ないスピード感だと思います。

東川町では近年、移住者らがおしゃれなカフェや飲食店、パン屋さんなどを次々と開店し、町内外から人気を集めています。そうした店舗の集積は、いまや東川にとって大きな観光資源にもなっています。しかし個々の店舗は個人事業レベルのため経営基盤が弱く、外出自粛が長期化すると撤退や閉店が相次ぐ恐れもありました。

新型コロナウイルス禍は今のところ、飲食店や宿泊施設などの観光関連、ミュージシャン、興行主など文化イベント関係者らを直撃する「サービス業不況」の性格が強いように見えます。この点で、金融システムをはじめ経済全般が機能不全に陥りかけた2008年のリーマンショックに比べれば、急いで支援すべき対象は定まっているようにも感じられます。(4月17日追記:3月下旬時点での見方です。4月中旬になって、リーマンショックどころか1929年世界大恐慌以上の経済危機になる、との見方が出るようになっています)


東川町などが出前作業を代行する経費は税金でまかなわれますが、期間を定め、当面最も心配される分野を支援する今回の手法は、緊急時の税金の使い方としてはまったく正しいと思います。

出前イーツの利点は、高齢者層など外出が困難な人たちも利用しやすいサービスになっていることです。飲食店側もお年寄り向けのお得な新メニューなどを用意してみたら喜ばれて、かつ新規の顧客開拓にもつながるのではないでしょうか。

ぜひ成功してほしいサービスだし、今回の問題が収まった後は、これまでにも増して町内飲食店の利用者が増えるようなことになればいいな、と期待しています。

(2020/03/27のFacebook投稿記事を転載)

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