飫肥街道
宮崎市から南へ１時間ほど走ると、日南市があります。
飫肥杉で有名な日南は古くから林業で栄え、かなりの力を持った飫肥藩が統治していました。
飫肥藩が参勤交代の際にも使用していた街道が、飫肥街道です。
飫肥街道は現在の県道２７号沿いに宮崎市から南へ伸び、途中から花立山方面へ山中を通過します。
時々、県道２７号をそのまま飫肥街道として紹介する記事を見かけますが、これは間違いです。ご注意ください。
県道から分かれて花立山を通過する飫肥街道は、途中から徒歩でないと追跡できないため、今回はいつものようにスーパーカブ１１０で舗装路のみを走って部分的に少しだけ写真を撮ってきました。
車が全盛の現代において道は谷底が基本ですが、古代から中世にかけては山の上を通るのが基本です。
海沿いや川沿いは難所だらけで、悪天候で波にさらわれたり、増水した川に流されたり、危険だらけなので避けられていました。
例えば海岸沿いで危険なルートと言えば、新潟県の親不知とかがありますよね。通行時に多くの人が波にさらわれて命を落としたとされています。
山で迷ったときに下ってはいけないと言われますが、その理由は最終的に川の流れる谷底へ誘導され、命の危険にさらされるためです。
舗装路はこんな感じで、いつ転んでもおかしくないようなルートが続きます。
昔から四国の山中を走り回って鍛えてきた私は平気ですが、普通の人にはあまりお勧めできないルートです。
特に今回のように雨天が続いた日の後は落ち葉溜まりがあちこちに出現し、コーナーで乗れば一瞬で転倒します。
落ち葉溜まりは夜間は全く視認できないため、夜中に走るときはかなりの恐怖を味わうことになります。
かつては目的地へ早朝に到達するために夜通し山中を走り回ったものですが、さすがに最近はあまりやらなくなりました。
「真夜中に走って幽霊とか怖くない？」
なんてよく聞かれたものですが、それは夜の山を知らない人の意見です。
夜の山はイノシシは突っ込んでくるし、シカは路上でたむろしてくつろいでいるし、アナグマはブーブー言って走っているし、とても賑やかでみんな警戒心も低く、結構楽しいのです。
なんか気配がするなぁと思って横を見ると、イノシシがブヒブヒ言いながら並行して走っていたこともあります。さすがに笑ってしまいました。
夜のシカは余裕がありすぎて、「ちょっとどいてー」と言わないと道を空けてくれなかったりします。
急激な睡魔が襲ってきたときには、そのままアスファルトの上に横になって１０分ほど仮眠することもありました。
仕事が終わった後に３０時間から４０時間くらいの撮影と移動を行っていたので、いつの間にか仮眠のスペシャリストになっていて、今でも目覚ましが無くても予定時間の５分前に起きることができます。
日本広しと言えども、私ほど夜中の山中を走り回った奴はそんなにいないだろうと、こればかりは自負しています。
さて自慢話はこのくらいにして、これが県道を離れて花立山を通過する現在の飫肥街道です。
ルートは結構急峻な部分があって、昔の人は本当に大変だったろうなぁと思いますが、現代人とは身体能力が段違いなんですよね。
例えば昔は女性でもコメを60kg担いで、楽々歩いていたそうですよ。
ちなみに120kgを担ぐことも珍しくなかったそうです。
人間と言うものの限界は底が知れないのです。
「限界だと思ってからが本当の勝負」
「ダメだと思った瞬間が負け、這いつくばってでも考えろ」
これは私のモットーです。
私は他人に精神論を強要する奴は大嫌いですが、自分自身は精神力で動いています。
命にかかわるような無茶をするのは感心しませんが、知識と経験を積み重ねて限界を超える方法を探ることは大切だと思います。
日南へ降りてからは、海沿いをぐるっと回って宮崎へ帰ってきました。
いつもの植物園にぶらりと寄ってみると、素敵な花がいっぱい咲いていたのでついでに載せておきます。
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