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対談連載 中島聡×草場 壽一 #5「新しいことは理解されない」

もくじ

前回の配信
新しいことは理解されない
ユーザーとして株を買う
mmhmmにはなぜ猫が映らないのか
ブロックチェーンとNFTの考察

前回の配信

対談連載 中島聡×草場 壽一 #1「ソサエティを立ち上げた思い」
対談連載 中島聡×草場 壽一 #2「社会的な活動とビジネスは相容れないんじゃないか?」
対談連載 中島聡×草場 壽一 #3「エンジニアから起業家になるには」 
対談連載 中島聡×草場 壽一 #4「3Dプリンタは楽しい-デザインではなくエンジニアリング」

新しいことは理解されない

草場:立ち上げ当初、結構批判があったんです。
僕は、いわゆるビジョンとかミッションは別に曖昧で、とにかくエンジニアの働き方を良くしていきたい。日立製作所の同期はかなり優秀なんですけど、そのまま埋もれていく人がすごく多いので、かなりもったいないなって。そういう人たちが社会的により活躍できるように、自分が本当にやりたいことと、社会的に意義のあることをやっていくって思いで立ち上げたんです。けれども、いわゆるMBAサイドの人たちから、いわビジョンが曖昧だとか、批判がありました。

中島:今までないものを始めると必ず批判する人は出るんですよ。それはいいんです。しょうがないですよ。それも人間の宿命というか、習性なので。だってイーロン・マスクなんて、むちゃくちゃ批判されてましたから、最初はね。電気自動車も批判されてたし、ロケットのSpaceXの方も思いっきり、もう無理だって全然みんなに言われてたんで。馬鹿にぐらいされてましたから。それでも結局やっちゃった勝ちなので。
やっぱり新しいことって理解されないんですよ。誰もやったことないので分かりにくいから。みんなやっぱり前例というか、ここの真似をしてるのね、みたいなのが安心して応援できる。

ユーザーとして株を買う

草場:中島さんは、初期の方からテスラに投資されてましたよね。

中島:はい。あれは自分でテスラ車を買ったときに株を買いました。

草場:そのあたり見てると投資家としてもかなり先見の明があるように思われるのですけども。

中島:でも僕の場合は純粋にエンジニアなので、エンジニアとしてすごいなと思うもの、特に自分がユーザーになるものを買うだけです。だから今のところ成功しているのは、Apple、Amazon、Netflix、テスラ。どれもそうですよ。
Netflixはもともと自分でDVDを借りていたのだけど、ストリーミング始めたときにこれはいいなと思って株を買いました。Appleも、いつ頃買ったかな、最初のAppleマシーンを買ってちょっとした時にこれは良いなと思って株を買い、iPhoneが出たときに株を買い足しみたいな感じです。

草場:iPhone出る前からなんですね。

中島:Amazonもそうだけど、基本的に僕は自分がユーザーとして絡んでる会社の株買うし、テクノロジーとして気に入った会社を買う感じですね。巷で噂になってるすごい企業だから買ってみようみたいな投資の仕方はしないです。
モデルナもワクチン打って買いましたから。すごい勉強したんですよ、モデルナとファイザーはどこが違うとか、アストラゼネカも調べて、やっぱりRNAワクチンがいいなと思い、もうワクチン打つならモデルナかファイザーだと。ただ、ファイザーの場合は大きな会社だから、あんまり株の値上がりが期待できなくて、モデルナは期待できるので、モデルナのワクチンを打って株を買いましたから。

草場:自分が本当に面白いなと思うところの株を買う、エンジニアにとってもすごく勉強になりますね。

中島:投資セミナーとかやってる人たちって、みんな文系の人じゃないすか。だからあの人たちはあの人なりのアナライズの仕方があって、それはそれで合ってる部分もあるかもしれないけど、彼らは技術のことがわからないので、例えばテスラ車に乗ってもどのくらいすごいかとか絶対わからないですからね。でもさすがに僕は彼らと比べたら遥かに分かるので、テスラ車に乗った瞬間にこれはすごいなと思いましたね。

草場:勉強になりました。イーロン・マスクと自分を比較するのはおこがましいのですけど、やはり新しいことに対してと、プロジェクトやってる方々も物ができる前は絶対批判されると思うので、そういう人間の習性だと思って、自分が夢中になるものに集中していこうと思いました。

中島:ありがとうございます。

草葉:今後ぜひ1年よりシンラボとSSでシナジーを生むために、共通の取り組み、今やってるものに合流していくもそうですし、プラスで3Dプリンターとか、テクノロジードリブンで楽しくやること、もしくはそこで案に上がったものをプロジェクトとしてやるってことと、初めの方に説明されたフリーランスのやつも、未来技術推進協会の方でも進めてますので、ぜひ共同でそこもできればというふうに思いました。
ありがとうございます。大分個人的な話が多かったですが全部整理されました。ありがとうございます。

mmhmmにはなぜ猫が映らないのか

シンラボ会員:mmhmmのことで中島さんに聞いても良いですか?

中島:はい、どうぞ。

シンラボ会員:いつもmmhmmを使わせてもらってるのですが、会社の会議とかで、たまに飼っている猫が乱入して来るんです。だけど猫は映らないんですよね。猫が映らないのはなぜですか?

中島:あれはセグメンテーションって言って、AIを使っています。いろんな背景に人間がいる姿の写真を見せて、この部分が人だよっていうのをトレーニングしたAIを使ってます。だから猫は映さないのです。

シンラボ会員:映さないんですね。猫も映せると良いなと思いながら使ってるんですよね。

中島:iPhone版が今度出るんですけど、iOSに元々ついてるTrueDepthと言う深さセンサーも使っているので、ひょっとしたら猫も映るかもしれないですね。

シンラボ会員:楽しみにしておきます。ありがとうございました。

ブロックチェーンとNFTの考察

シンラボ会員:今ブロックチェーンについてすごい関心があるんですけど、中島さんはブロックチェーンと言う技術や暗号通貨について関心があったり、実際に何かやってらっしゃることはありますか?

中島:ブロックチェーンは話題になった時に、サトシナカモトさんの論文を読んでとても感動して、すごい技術だなと思いました。
ビットコインも一時は買いました。4000円ぐらいの時に買いましたが、毎日値段がすごい動くので、すごい気になるんですよ。それで、人生短いのにビットコインの値段を気にしてる時間が余りにももったいないなと思って、全部売っちゃいました、5000円くらいで。
ブロックチェーンは二つあって、ブロックチェーンっていう面白い技術と仮想通貨があります。あまりごっちゃにしない方がよくて、ビットコインに関していうと、法定通貨に対するヘッジにはなるので、金を持つくらいの気持ちで持っておくみたいなのはアリかなと思います。ただ金と違って相場がかなり動くので、私みたいに値段が気になってしょうがない人はやらない方が良いと思いますね。
ブロックチェーンの方は、仮想通貨以外でホントにすごいことができてるかっていうと、今のところないと思います。ただちょっと面白い兆しがあるのがNFTです。
NFTで今のデジタルアートやビデオをオークション形式で売り買いしてるのは、昔でいうトレーディングカードとか切手を売り買いしてるのと同じで、あまり実のエコノミーには関係ない話なのでほっといても良いと思います。
ただ最近ちょっと実のエコノミーの話がNFTで出始めていて、NFTとして売り、その瞬間にNFTを持っている人はこのような権利がありますよっていうメンバーシップとして使えるんですよ。それはすごくポテンシャルがあると思っています。今までメンバーシップはメンバーの管理が面倒くさかったり、メンバーシップの売買、例えば昔の日本のゴルフ場の会員権とかでブローカーがバラバラだったり、高値で売れてもゴルフ場には一切お金が入ってこないっていう状況がありました。例えば、300個NFTを発行して、その瞬間にNFTを持っている人はゴルフし放題ですよといったメンバーシップにすると、メンバーシップの売り買いが起きた時に50%はゴルフ場に入るって設定できたり、NFTをその時持っているかどうかをチェックできるので、このやり方はとてつもないポテンシャルを持っていると思ってます。ただNFTを持っている人にはこのような権利を与えますよっていうのが、今は口約束なので、詐欺とかがすごく横行すると思うので法律でどうやって縛るかが難しいと思う。けれど、ひょっとしてここは膨大なエコノミーができると思ってます。

シンラボ会員:NFTをその時持っている人の権利というお話があったんですが、例えばNFTを持っている人だけが見ることができるライブとかは著作権の問題などが出てくると思ってます。その辺りのNFTと著作物の権利っていうのは、今後どのようになっていくかお考えをお聞かせいただきたいです。

中島:その辺がやっぱり一番難しいと思いますよ。法律の追いついてない部分があるので難しいですけど、やろうと思えばその瞬間にNFTを持っている人だけが入れるコンサートとか、ファンクラブとか、もしくは別にリアルじゃなくてもいいですよね。
例えば僕がやったら良いなと思っているのが、アイドルと24時間ずっととはいえないけど繋がっていられます、みたいなことをやったら良いと思うんですよ。AKBとかやったら良いと思うんだけど、AKBのメンバー一人当たり50人分のNFTを発行して、その50人はいつでもメッセージを送れるし、返事も結構もらえるし、これからご飯を食べるよみたいな写真がTwitterより高頻度でもらえるみたいな。それぐらい繋がっていたい人はいるわけで、そこにはものすごいお金が流れると僕は思ってます。
トップクラスのアーティスト、例えばレディー・ガガとすごい近い状況に入れる権利50人分だったら、その一つの権利10万ドルとか平気で取引されますよ。下手したらミリオンいっちゃうかもしれない。で、それが取引される度にレディー・ガガには例えば10%入るっていうすごくエクスクルーシブな関係は面白いと思いますよ。
ただ、その契約がどのくらい成立しているのかとか、そこでもらった写真を外に出しちゃった時に著作権がどうとか細かいところはあると思いますけど、そこはあんまり心配しなくても良いと思いますよ。やっぱりやっちゃった方が良いと思います。法律が追いついてない時っていうのはやるべきだって僕は思ってます。日本でもファンクラブサービスにはぴったりだと思います。

シンラボ会員:ありがとうございます。

司会:ありがとうございます。まさか中島さんからAKBっていう単語が出るとはびっくりしました。


対談書き起こしは以上になります。最後までお読みいただきありがとうございました!

発行元:シンギュラリティ・ラボ

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