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夢百夜

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夢のなかで観た、白昼夢みたいに支離滅裂な掌編。
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記事一覧

第一夜

 こんな夢を観た。  誰もが見染めるような、しあわせな家族の夢だ。川べりで、ひそやかな蛍…

心郷きい
4年前
2

第二夜

 こんな夢を観た。  梅の花がさきわう季節に、わたしはおんなの春を迎えることになる。梅東…

心郷きい
4年前
3

第三夜

 こんな夢を観た。  双ツ子が居る。  わたしの眼の前には、かあいらしい双ツ子が正座をし…

心郷きい
4年前
3

第四夜

 こんな夢を観た。    窓がある。窓を開ける。窓を開ける。窓を開ける。窓を開ける。窓を開…

心郷きい
4年前
2

第五夜

 こんな夢を観た。  ごう、ごう。六畳一間の窓のお外から、ゴウ、ゴウと、恐ろしい音が聴こ…

心郷きい
3年前
3

第六夜

 こんな夢を観た。  わたしが慈しむべき妹と、この憂き世と似ているようで、あんまりにも似…

心郷きい
3年前
5

第七夜

 こんな夢を観た。    わたしは高校生だった。ちいさな学校の、弓道部に所属している。  部長はほんとうの部長ではなく、仮初めの、シラヌイ部長というかただった。其処は何処にでも在りそうな、何処かの片田舎だ。此処に住まうわたしたちにとって、ほかの街に較べて分かりやすい特長と云えば、踏み切りが多いと云うことくらいだった。  ガアドレールに鎖された小径を歩行く。わたしは、学校に到着くまえに誤って小石を蹴って、道路のほうへ弾き出してしまった。小石のゆくえは、わからない。    わたし

第八夜

 こんな夢を観た。    悪魔のこえが聴こえる。わたしを悪魔と称ぶこえだ。わたしを悪魔と称…

心郷きい
3年前
3

第九夜

 こんな夢を観た。    或る午下り《ひるさがり》、昭和時代の池袋駅で、わたしは不死身だっ…

心郷きい
3年前
6

第十夜

 こんな夢を観た。  この夢を観るのは二度目だ。おんなし夢を、もう一度眺めることになる。 …

心郷きい
3年前
6

第十一夜

 こんな夢を観た。    星が蕩ける小夜があるとすれば、或の刹那だった。  くるみ割り人形…

心郷きい
3年前
10

第十二夜

 こんな夢を観た。  さようならをするために首を吊る夢だ。私はおとこで、おんなで、おとな…

心郷きい
3年前
6

第十四夜

 こんな夢を観た。  だれかの鼻歌に騙されて、迷子になった。トゥルル、トゥルル。舌を丸め…

心郷きい
3年前
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十三番は、しあわせの鏡合わせだから、しあわせなゆめに振ります。もうすこし。もうすこし。