第三章君は全てが正しい(戸田真琴/そっちにいかないで)読了したアラフィフくそオヤジ

暗い暗いトンネル、のちに他にも選択肢があったらしいと聞いたり自分でも気づいたりもしたが当時は実家に戻るかその場にうずくまって固まるか、見えない中、壁伝いででも、暗闇の方向に進むかの3択しか見つけられず、アブラ汗を垂らしながら壁伝いで進む事に決めた。
ここ一番でケータイが使えないのは困るので電源を切って電池を温存する事にした、どうせ圏外だし。
五里霧中とか簡単に一言で済ますなよ、他人事か!見えないからぬかるみにハマったり壁から生えたトゲだか何だかで手を切ったり、でも方向が分からなくなるから血を流しながらでも壁から手は離せなくて大変だったんだから!
でもね、出口の方向をホタルが知らせてくれている事に気づいてからは歩みのペースも早まって、体はツラいけど気持ちはいくぶん楽になり、夜だったけれどついにトンネルから表に出る事が出来た、何度、もうダメかと思った事か、生還という言葉を脳内で繰り返し反すうし安堵する。
曇りなので空は真っ暗、切れかけの街灯にほおを照らされながらケータイの電源を入れる、それ見たことか、表なのにまだ圏外だ。
わたしは苦笑いをしながら、それでもここなら朝が来る、だから電波の入る処までは頑張れる、そう思った。

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