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時間というレメディ

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執筆者 渡辺くるみ

2019年は、私にとって、まさに試練の年でした。第二子が誕生し、幸せいっぱいのはずが、真逆の状態でした。

臨月を迎えてふと、夫の様子が最近おかしいな、ということに気づきました。私は夫に「どうしたの?」と思い切って聞いてみました。すると、夫から「今まで幸せだと思っていたけれど、そうではなかった。もう一緒には住めない」という答えが返ってきました。不本意ではありましたが、別居を受け入れ、第二子が誕生してすぐの2019年1月から別居をスタートしました。

夫は、近所に住み、こどもたちの世話をするために頻繁に訪ねてくれました。とはいえ、生まれたばかりの赤ちゃんと、イヤイヤ期真っ盛りの2歳児の相手をするのは、大人2人でも足りないくらいです。

これまで順調にいっていると思い込んでいた夫婦関係が崩れ、産後のホルモンバランス乱れも重なり、谷底に落とされたような感覚でした。

夜中、赤ちゃんに授乳しながら、これからどうなるんだろう、離婚するのだろうか、など色々な考えが頭をめぐりました。そのたびに、こどもたちからも、夫からも、何もかもから離れて、ひとりになりたい、どこかへ雲隠れできたらいいのに、と毎日思いながら過ごしていました。

夫とは一年ほどかけて話し合い、2020年秋に離婚が成立しました。

一番の心配事は、お金です。生活費や教育費も稼がなくてはなりません。そのころ、新型コロナウィルスが流行し始めました。民泊事業を経営していたので、訪日観光客の激減により、収入は途絶えてしまいました。

そこで、ひとり親の就労支援をおこなっている団体に相談し、未経験の仕事にチャレンジしました。そのほかにも、ありとあらゆる支援や相談にのってくれるところを探しました。ひとり親へのサポート、コロナの影響で収入が減った事業者への支援など。

どこかひとつの団体や組織に出会うと、また新たなネットワークに繋がりました。困っている人に手を差し伸べてくれる人や組織はたくさんある。助けが必要な時に私は、自然に支援を求めることができるようになりました。

現在は、赤ちゃんだったこどもたちは成長して自分のことが自分でできるようになり、手がかからなくなりました。海外からの観光客も戻り始め、民泊事業が再開しました。

こどもが生まれる前にやっていて楽しかった秘書の仕事も再開しました。そのほかにもライティングや翻訳など、好きな仕事に在宅で取り組んでいます。仕事や家事育児で手一杯になり、切羽詰まるときもあります。それでも周りに協力を仰ぐなどして、自分のための時間を取るようにしています。

辛かった時期を乗り越えて気づいたこと。それは、私が生きているのは、究極的には、誰のものでもない、私の人生を生きるためだということです。

私は、離婚を経験して良かったとは、今でも思っていません。

受け入れるには時間がかかります。

とはいえ、どんなことも、すぐに事態が変わることはありませんでしたが、ずっと同じ状況ではなかったのも確かです。

試練というレモンは、こうやって時間をかけてレモネードになっていくのかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございました。このエッセイは、シングルマザーズシスターフッドの寄付月間キャンペーン2022のために、渡辺くるみさんが執筆しました。

寄付月間とは、「欲しい未来へ、寄付を贈ろう」を合言葉に毎年12月の1ケ月間、全国規模で行われる啓発キャンペーンです。シングルマザーズシスターフッドは寄付月間2022のアンバサダーにもなっています。

今年のキャンペーンでは「Turn lemons into lemonade.」をキャッチフレーズに、シングルマザーが試練を転機に変えたエピソードをエッセイにして、人生を前向きに進める一人ひとりのシングルマザーの生き方を祝福します。

ご共感くださった方はぜひ、私たちの取り組みを応援していただければ幸いです。ご寄付はこちらで受け付けております。


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