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【開催報告】キフカッション#2 寄付してもらう側の気持ち

文責:サチコ

今年もシングルマザーズシスターフッドでは、寄付月間にシングルマザーが執筆したエッセイを発表して寄付を募集するキャンペーンを行います。

キャンペーンの有志スタッフは、普段シングルマザーとして受益者の立場にいます。前回のキフカッション#1 寄付とわたしの現在地では、「自分は自然に寄付できるのに、寄付集めになると抵抗感を感じる」といった声もあり、私たち自身が「寄付を受け取る」事に対し、様々な感情的な葛藤があることがわかりました。

受益者側の立場にいるとき私たちが感じている、抵抗感や違和感、申し訳なさといったものの存在が浮き彫りにになりました。

ある時は受益者でもあり、このキャンペーンでは寄付集めの担い手でもある私たち。

私たちが、そうした感情を深掘りし、率直に話し合っていけば、自分たちらしい「寄付集め」をもっと積極的に、楽しんでいけるのでは?

そう考え、#2 を緊急開催することになりました。

受益者と支援者、両方の立場を経験しているからこそできる、率直で、対等な議論の時間になるはずです。

さて、キフカッション当日!

早朝からオンラインで集まったキャンペーンのスタッフは、今回総勢8名。貴重な休日の朝にもかかわらず、「話したい!」というみなさんの強い意気込みが見て取れます。

(今回のキフカッション#2でのワークは、#キフカッション の枠組みをベースに、団体オリジナルにアレンジしたものです。#キフカッション のワークシートは こちら で入手できます。)

◎寄付の恩恵を受けているとき、感じることは?

まずは、寄付の恩恵を受けているとき感じることを、ひとりひとりがワークシートに書いていきます。

ありがとう
頼れる場所があってうれしい、助かる、よかった

という感謝の声がある一方で、

申し訳ない
早く自分も支援する側に回らなければ

といった罪悪感や焦燥感を感じる人、

いかにも「困ってそう」な振る舞いをしなければ、という圧力を感じる

そんな声もありました。

「食料支援を受け取りに行くのに、質素な服装で行った方がいいかなと考えてしまう」という発言には、「わかる!」が続出しました。

確かに、支援を受けているのは、困りごとを抱えているから、これは事実です。けれど、支援されている瞬間だけが、私たちのすべてではありません。

着古した服もあれば、一張羅だって持っている。それなのに、こと、支援現場では、支援を受ける者として、あえてステレオタイプ的な「社会的弱者」として振る舞わなければならない窮屈さもときに抱えている。そんなことが浮き彫りになりました。
 
同時に、複数のスタッフから上がってきたのが

  • 恩送り

というキーワード。

恩送りとは、恩返しとは違い、自分が受けた支援を、支援者に直接ではなく、違う誰かに手渡していく、という意味の言葉です。

ありがとう、助かった、という感謝の思いを持つがゆえに、もらった支援や気持ちを返したくなる、というのが全員に共通していました。

支援を受けるだけではなく、自分が支援する側に立てる、恩返しする場所があることで、寄付される側の気持ちが楽になることもあらためてわかりました。

◎寄付をお願いしようとしているとき、感じることは?

現在シングルマザーズシスターフッドでは、寄付月間キャンペーンに先駆けて、スタッフが個人的に寄付を呼びかける、というアクションをすすめています。

けれど、この呼びかけを切り出しづらいな、と感じる参加者も少なくありません。

・そもそもお金に関する話を周囲と普段しないので、どんなふうに切り出すか迷う
・怪しいと思われないか不安
・久しぶりの連絡で「寄付してほしいから連絡してきたの?」と思われないか心配
 

相手に経済的な余裕がないと言いづらい

という意見も。

そんな中、寄付をお願いするって、私たち、「寄付」という文化そのものを広めてるってことで、一種の社会運動かもね!

と言う言葉には「確かに!」という声が飛び交いました。

寄付をしてくれた相手への対価はなんだろう?

という声もありました。リターンのあるクラウドファンディングと、純粋な寄付との違いに言及する人もいました。そこには、目に見える返礼品(リターン)があります。また、楽しいイベントへの参加権を得る、というイメージもあります。

一方で私たちの寄付活動では、報告書等をお渡しすることはありますが、目に見える「モノ」を渡すようなことはしていません。

それでは、私たちの「寄付」のお願いは、支援者の方に何を手渡しているのでしょうか。

◎この寄付の受け手に対して、どう思う?〜過去の事例から

ここで、過去の寄付月間での受賞企画を参考に、自分たちが他の寄付活動の受けとるに対してどのようなイメージをもつか、ぱっと印象を話してみました。

とちぎコミュニティ基金 サンタdeラン&クリーン 活動ブログ ※2021年寄付月間大賞受賞

 「楽しそう」「イベント感」「ワクワク」といったイメージ。

Giving Campaign2023 トップページ ※2022年寄付月間大賞受賞

 「若者の夢を応援する、ポジティブなイメージがあって、困窮者を助ける、のような悲壮感がない。前向きなイメージ」
 という意見もあがりました。

寄付活動へのイメージは、写真やウェブサイトなどの情報の見せ方、寄付の受け手へのイメージや、などとも関連していることを実感しました。

◎再度:寄付の受け手でもあるわたしたちが、どう、寄付のお願いをしていく?

上記の議論を踏まえ、受益者でもある私たちが、どう、寄付のお願いをしていくか? もう一度考えました。

伝える上で、大切にしたいことは人それぞれ。

・これまでの活動実績などを数字で伝える
・ウェブサイトをただ紹介するのではなく、自分がどこがいいと思ったのかを添える

という、自分にとって大切な視点、情報に着目したもの。

・自分がこれまで寄付の恩恵によって元気になり回復してきたから、もっといろんな方に届けたい、という思いを伝える
・お世話になった方への感謝に添えて、今の自分の活動を伝える。

など、最初に議論した「恩送り」に着目したもの。

・寄付文化という社会的なムーブメントの発信者として、誇りをもつ
・寄付月間キャンペーンで発表するエッセイは、これまでの寄付によって元気になってきた私たちの道のりを見てもらうもの。私たちが堂々と回復している姿そのものが、寄付の成果だとあらためて信じる

という、私たちの姿勢やあり方を見つめ直すような意見もありました。
  
中には、

自分自身が寄付をすることを「楽しい!」と思うか、まずは寄付して実感したい

と話し、さっそく実際に寄付をしてみたスタッフも!

それぞれが、自分にとってしっくり来る感覚を大切にしながら、できるところで呼びかけをしていくことがいいのかも、と話し、本日のキフカッションは終了となりました。

キフカッションは、「正解」を決めるものではありません。

集まったスタッフは、「寄付についていろんな人と話したのは初めて」「また話したいね」と口々に言い合い、語りたいことが尽きない様子でした。

初めてのキフカッションを主催した私にとっても、まずは参加者一人ひとりが、自分にとっての「寄付」を考える事それ自体に、意味があるものと思いました。

寄付をお願いする私たちの、今ここの行動こそが、寄付文化をより、広めていく、確かな一歩になると信じています。

私たちの寄付月間キャンペーンへも、応援どうぞよろしくお願いいたします!

#寄付月間 #寄付月間賛同企画 #キフカッション  


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