26歳、クォーターライフクライシスと出会って

こんにちは、えまです。
とても久しぶりの物書き、やや緊張。

先日、学生時代の先輩が結婚して新居に引っ越したということで、当時の仲間と遊びに行く機会があった。

一つ上の先輩は同級生と結婚して、郊外の素敵なマンションを購入。まだ20代。もともとあまり飾らない先輩なので全く嫌な感じもなく、さすがとしか言いようがない。

一緒に行った仲間のうちの1組も夫婦だった。こちらも遠距離を経て結婚し順風満帆とはこのこと。このお二人も本当に人間ができた方々で、そういう人が早く結婚していくんだなという納得感がすごい。

それはもう付き合いも長いのでみんな飾らずマウントも取らず相手との距離感の取り方も適切で、良い人たち。こんな素晴らしい友人たちの中に入れてくれてありがとう、と万物に感謝。

しかし、ここで唯一の独身・パートナーなしのアラサー女である私は、自分の思い込みに苦しむことになる。

それは食事の後、お茶とお菓子を片手に談笑していたときのこと。二組の夫婦間で「家を買う」話題が出てきた。

「いやここ買うときは〇〇駅の方も見たんだけどね、駅近なせいか××万円くらい高くてびっくりして」
「でもここ駐車場もそんなに高くないんでしょ?3LDKだし間取りも良くて長く住めそうだよね」
「そうだね〜もし子供2人くらい生まれて大きくなるとちょっと手狭かなとは思うけどね」

おっと?ついていけないぞ?

20代後半で実家暮らしの私、家事は人並みだがさすがにマンション購入事情は全く知らない。

うんうんと頷くしかないが、これはこれで人生の勉強をさせていただけていると思えば悪くない。ファイナンシャルプランナーに相談するよか断然お得。

その後もペットを飼うことや子供部屋の計画など家の話は盛り上がり、私の口数とお茶がなくなったところでお開きに。

帰り道、電車の中で一人。

ふとマンション購入の話を思い出し、とてつもない胸の苦しさと焦燥感に襲われた。なんだか動悸でもしてきそうな感覚だが、けして病気ではない。

それは、人生のスピードの違いを目の当たりにしたからだ。

まだ20代、されど20代。
ついていけない話題で勉強させていただくのは良いが、そこには生まれ年1年の差とは思えない果てしない距離が存在していた。

今の先輩たちは、いわば首都高で80km出しどんどんと次のジャンクションを目指してぶっ放している。乗るべきインターチェンジを早々に見つけ、カーナビ片手に次々と高速を乗り継いで進んでいく。

一方の私は、法定速度以下で下道をノロノロ走っている。インターチェンジが見つからないし、カーナビは現在地を方向を見失っているので、とにかく近い下道をうろうろしている。

もちろん、どの道を使って進んでも構わないのだ。自分の人生だし、人と比べるものじゃない、と皆口を揃えてそう唱える。下道で行ったって高速に乗ったって、遅いインターチェンジで高速に乗り換えたって良い。

そんなことは十も承知だ。多様性の時代だし、少子化だなんだと言っても自分の人生は何かに強制されて選ぶものじゃない。誰と一緒に生きてもいいし、一人で生きてもいい。家を買わなくても子供がいなくても、十分楽しく生きていける世の中だ。

でも、それは正論であって、私が負っているのはそんな言葉で慰められるような苦しみなんかではないのだ。

別に選ばなくてもいいけど、選んだら幸せになれる道には、絶対に乗った方が良い。

結婚だけが幸せじゃないけど、望まれた結婚は幸せを呼ぶ。

それが分かっているからこそ、どうしようもなく苦しくて、焦って、でもどうしたら良いか分からない。無理に出逢いに行くのも違う気がするし、誕生日を迎えるごとに傷つくのが怖くなる。

これは強がりでも開き直りでもないのだが、単に恋人がいないのが嫌なんじゃない。自分の人生だけ下道どころか赤信号のまま進めないような気がして、怖いのだ。

これは私だけなのだろうかと、電車に揺られながら文明の力に頼ってみる。

「20代後半 周りが結婚 焦る」

某知恵袋や婚活誘導サイトなどの中に、ある記事を見つける。

なんとこの気持ちには学術的な名前がついていた。

「クォーターライフクライシス」

人生100年時代のうちクォーター、つまり25歳頃から人生の転機が訪れたり、環境が変わっていく友人を見たりすることで、その先の人生に不安を覚えたり危機感を持ったりすることだそう。

記事に書かれていた対処法は、焦る必要はない、とか、自分は自分、とか当たり障りのない内容だった。ただ、それに名前が付いていて、誰か偉い学者によって定義されていて、そのことにとても安堵した。

きっと今まで多くの人がこの気持ちに出逢っていて、悩み、焦り、それでも人生を生きていっているのだ。

自分だけじゃなかった。

それからも度々同じ苦しみに悩んでは、大丈夫みんな同じ、と思い乗り越える、これを繰り返している。

きっとまた何度も繰り返す。でもそれが人生。

もうアラサー、まだアラサー。
どっちも正解だから、私は私の道を行く。


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