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カナガシラというお魚の美味しさについて

今年1月初旬、宮城県登米市に本社を持つウジエスーパー https://ujiesuper.com/ さんが、「お弁当・お惣菜大賞2023」において、「石巻産!カナガシラ(金頭)の天婦羅」という商品で入賞されたというニュースがあった。

https://s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/ujiesuper.flyer/wp-content/uploads/2023/01/10100115/52b3afc7071f0480641271b37df9999e.pdf

この機会に、カナガシラというお魚の魅力について(あくまで個人的な感想ではあるが)書いておきたいと思う。

昨年春、5月の連休明けの頃だっただろうか。
安くて美味しい魚を求めて仕事帰りに仙台の「杜の市場」に立ち寄った際、福島県産の「かながしら」という魚を初めて見た。
ほんのりと赤いウロコに包まれた魚。
体長20センチくらいで、小魚というにはやや大きめ。
頭は大きいものの、身も食べ応えありそう。
そんな魅力的な魚が、7~8匹入って1パック200円という超お手頃価格で販売されていた。 


私は、北海道から宮城に移住して以降、北海道では見たことの無かった魚に鮮魚売り場で出会った時には、株式会社センシン食品さんの
「お魚WEB-mag」
にて検索するようにしている。

この日も、売り場の陰にてスマホでそっと検索。

(ちなみにお魚WEB-magを運営されているセンシン食品さんは、福島県相馬市原釜港にて創業し、現在は宮城県名取市閖上に工場を構える水産加工会社。会社のサイトはこちらです ↓ )


カナガシラ、ありました!


 要約
・高級魚のホウボウの仲間
・ホウボウは非常に上質な白身魚で、ヒラメや鯛と並ぶ美味しいお魚
・そんな美味しいホウボウに味もそっくり
・だけど市場で人気が無いのでお値段はお手頃


 
購入即決!


お魚WEB-magの解説にあった「加工が面倒」「頭が硬い」という点がちょっと気になったものの、宮城移住後にサバやアジを捌くのにちょっと自信をつけてきたこともあり「なんとかなるべ」と軽く考え、喜び勇んで帰宅。
まずは、おすすめの調理法の最初にあった唐揚げにしようと捌き始めた。


いや、正確には、捌き始めようと手に取った。 


・・・触ったことの無いウロコのジャリジャリ感にビックリ。


たとえが雑で恐縮だが、木工細工の加工に使う粗目のサンドペーパーにぐるっと包まれている感じ。
硬くてジャリジャリで、捌く以前に包丁の先が皮に入らない。


それでもなんとか頭を切り落とすことには成功。
しかし、三枚におろそうとすると、今後は柔らかい白身がグズグズと崩れてくる。


この時点で、自力で捌くのは諦め、そのまま調理することに。
捌きかけの身を崩さぬようそっと塩を振って焼き、捌く前のものは酒としょうゆとみりんで煮付に。

 
これが、美味かった!


自分の料理の腕を自慢したいわけではない。
(そもそも三枚おろしに捌けていない時点でお察しください;)
魚の白身そのものの美味しさが絶品。
キレイに捌けなくて落ち込んでいたことも忘れるくらい、塩焼きにしても煮付にしても本当に美味しかった。
ちなみに、先述のウロコのジャリジャリは、焼いたり煮付にしてしまうと気にならなかった。
むしろ、塩焼きにすると食感が楽しくて皮まで美味しい。

 

煮付でも塩焼きでもこんなに美味しいんだから、この魚の唐揚げはどれほど美味いのか。
食べてみたいとは思うものの、自分の包丁使いの下手さは如何ともしがたく、憧れを現実に出来ぬままそれから半年ほどが過ぎた昨年11月。


唐突に、その機会は訪れた。


それは塩釜市にある塩竈仲卸市場を初めて訪れた時のこと。
年末用のナメタガレイの下見がてら、ひがしもの(三陸東沖でとれたものをこう呼ぶ)のマグロの刺身でも、と向かった市場の店先。


カナガシラが並んでいた。
しかも、きれいに三枚おろしになって。

 
買いました。


帰宅して即、片栗粉をまぶして唐揚げに。

 

美味~~~~~~~~!!!

 

夫婦で「美味!美味っ!」しか言葉が出ないくらい、とにかく美味しかった。

東北に引っ越してきてから初めて出会った美味しいお魚は多々あれど、その中でもベスト3に入るくらい美味しかった。

(尚、現時点での「私的・東北で初めて出会った美味しくてビックリしたお魚ベスト3」はメヒカリ、イシモチ、カナガシラです。)

 

それ以来、塩釜の仲卸市場に行ったときは、必ずカナガシラの三枚おろしを購入するようになっている。
三枚おろしになっていると、唐揚げは勿論、定番の塩焼きや小麦粉をまぶしてバター焼きなんてのも気軽に美味しく頂けるのが嬉しい。
いつも申し訳ないくらい安いお値段で購入しているのに美味しくて、毎日の食卓が天国である。

 
最近では、そんな我が家の節約自炊生活をツイッターに載せているのだが、カナガシラには思いがけず多くの方に興味を持っていただけたようで、嬉しく思っている。
実は宮城の民謡にも歌われるほど有名な魚だった、というのもフォロワーさんから教えていただいた。


こんなに美味しくて伝統ある魚を、市場で安く購入出来る現状はありがたい。
ありがたいものの、あまりにも安すぎて、ちょっと心配でもある。
この先、利益が出ないからと市場から消えてしまわないか。
実際、ウジエスーパーさんのお惣菜紹介でも、カナガシラは「港で捨てられることの多い食材」とある。
捨てられては困る。
こんなに美味しいのに、知られずに食べられなくなってしまうのは、本当に困る。


何かしらのご縁でこのnoteを見てくださっている方の中で、まだカナガシラを食べたことの無い方がいらっしゃったら、是非食べてみて欲しい。
先述のとおり、丸ごと煮付にしても塩焼きにしても美味しいし、ご自身で捌けるという方、あるいは三枚おろしになっているものが手に入った際には、唐揚げや天ぷらの美味しさを是非試して欲しい。


ウジエスーパーさんの入賞でカナガシラが話題になっているこの機会に、カナガシラの美味しさに出会う人がもっと増えて欲しい。
(ちなみにウジエスーパーさんには入賞のニュースを見た後でカナガシラの天ぷらを買いに行きました。こちらも美味しかった!!)
関係者でもなんでもないのだけれど、カナガシラの美味しさを愛する者の一人として、心から願っている。

 

 

 

 

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