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チーズ巻きの思い出(と、決意表明も込めて)

 
 「チーズ揚げ」もしくは「カリカリチーズ」

 居酒屋などではそう表記されていることの多い一品。
 プロセスチーズを餃子の皮で包んで揚げたもの。もしくは多めの油で焼いたもの。
 幼い頃、我が家では「チーズ巻き」と呼んでいたように記憶している。
 今は「チーズ巻き」で検索すると練り物の中にチーズが入った一品が出てくることが多いが、今回のエッセイの中では、餃子の皮でチーズを包んで焼いたり揚げたりしたものを「チーズ巻き」と呼ばせていただく。


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 母は、料理上手だった。
 煮物も焼き物もなんでも美味しかったし、私が幼い頃は魚もいつも切り身を買ってくるのではなく台所で捌いていた記憶がある。
 そんな母が、運動会や遠足の時に作ってくれる特別な日のお弁当には、海苔がきれいにくるくる巻かれた卵焼きや可愛くカットされたウィンナー、食べやすく骨から身を外してチューリップ状にした鶏手羽元のから揚げ、小さく切った魚肉ソーセージをドーナツ生地で包んで揚げたミニフレンチドッグ等々、カラフルな上に美味しい手作りのおかずがぎっしりと詰まっていた。
 チーズ巻きは、そんな特別なお弁当の中にだけ入れてもらえる一品だった。
 私は、それが大好きだった。
 朝、揚げたてをちょっとだけ味見させてもらった時のサクサクした美味しさも大好きだったし、お昼にお弁当を食べる頃の、外側の皮のところがちょっとしっとりになっているのもまた美味しくて大好きだった。

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 卵焼きや唐揚げは、普段のおかずでも食べられた。
 けれど、チーズ巻きは、特別なお弁当の時だけ、それも私のお弁当には1本か2本しか入っていなかった。
 それには、理由がある。

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