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金曜の夜はチカの天ぷらで日本酒を

 金曜日の晩酌風景。

北海道産のチカの天ぷら
神奈川県産のイサキの塩焼き
宮城・山元町産のきゅうりの辛子漬け
宮城・石巻産のほうれん草のおかか和え
宮城・石巻産のトマト
鶏むね肉と生姜の和え物

 残業のためいつも以上に帰りが遅くなると夫からメールが届いたのは昼過ぎだった。それならばと仕事帰りに向かったのは、私の職場からだと車でも少々時間のかかる場所にある大きなスーパー「食品館イトー」だった。


 地元産の新鮮な野菜や宮城県内の特産品をたくさん扱っている上に、魚介類の品揃えが豊富。特に鮮魚は市場のようにまるごと1匹のままの魚が手頃な価格で販売されているので、お気に入りのチェーン店である。
 仕事でへとへとに疲れて帰宅するであろう夫が喜びそうなもの、出来れば日頃あまり食べたことの無いような魚があればと思い向かったお店には、この日もたくさんの魚が並んでいた。
 真っ先に手にしたのは、イサキ。

はじめましての神奈川県産イサキ

 お刺身盛り合わせ等で食べたことはあるかもしれないが、1匹まるごとの状態で目にしたのは今回が初めて。
 パッケージに「塩焼きに最適」とあるのが嬉しい。早速、買い物かごへ。

 続いて目に留まったのは、北海道産のチカ。

お久しぶりの北海道産チカ

 北海道産のチカは、私にとっては馴染みの魚。北海道に住んでいた頃は、冬になるとあちこちの釣り好きから貰うのが日常だった。今にして思えば、贅沢な生活である。
 前回食べたのは4月。買ったのはやはりこちらのお店だった。購入して帰宅後、北海道にいた頃と同じように天ぷらにしたところ、チカを初めて見たという夫も大喜びしてくれた。

 チカの旬は冬から春にかけてだと思っていたので、すでに6月に入ったこの時期にも生チカが店頭に並んでいることに驚いた。夫の喜ぶ顔が浮かぶ。しかも、大きい上にキラキラと輝き新鮮そのものの状態にもかかわらず、パックにぎゅうぎゅうに入って199円という驚きの価格である。こちらも迷うことなく買い物カゴへ。

 これで魚は十分、と鮮魚売り場を離れかけた時に目に入ったのが、宮城県産のイシモチ。

 こちらは私の大好物。生のものを塩焼きにすると、ぱりぱりの皮とふわっふわの白身の優しい旨味が口いっぱいに広がり絶品の美味さ。やや強めに塩を振ってからひと晩置くか冷凍してから焼いたものも、旨味がぎゅっと濃縮されてまた美味い。
 個人的には、メヒカリ、カナガシラと並んで「私的・東北で初めて出会った美味しくてビックリしたお魚ベスト3」に入るくらい大好きなお魚である。

 これは来週の晩酌用。塩を振って冷凍しようと思いながら買い物かごに入れる。
 買った魚は計3種類、イサキ2匹、チカ14匹、イシモチ3匹の計19匹。
 購入総額は774円。消費税が入っても1,000円以下である。
 申し訳ないくらい家計に優しい。
 感謝しながら帰宅し、早速調理にとりかかる。
 塩焼き用のイサキとイシモチは、頭を落してから腹に包丁を入れてワタ(内臓)を取る。流水で丁寧に洗ってからキッチンペーパーでしっかり水気を拭き取り、全体に塩を振る。この状態のまま、イシモチ3匹とイサキ1匹はそれぞれジップロックに入れて冷凍庫へ。その日に食べるイサキは焼くまで冷蔵庫で休ませる。
 続いて、チカ。
 本来は頭もワタも取らなくて良いし、取らない方が揚げた際にきれいに仕上がるのだが、我が家の天ぷらは揚げ油少な目の節約調理なので念のため頭を取ってワタも丁寧に取ってからザルに入れて洗い流す。洗った後は焼き魚の時と同様にキッチンペーパーでしっかり水気を拭き取り、別のボウルに作っておいた衣をつけて、2センチほどの深さの揚げ油に投入。衣は市販の天ぷら粉を水で溶いたものだけである。
 勢いよく音を立てていた油がやや静かになり、衣がほんのり色づいてチカの香りがしてきたら出来上がり。
 下ごしらえさえしてしまえば、魚の揚げ物は意外と簡単である。


 この後、塩を振って休ませておいたイサキも塩焼きに。

 この日合わせたのは、会津の日本酒。

榮川 純米吟醸


 美味しかった。


 この日はいろいろアクシデント続きだったのだが、一日の終わりにはイサキとチカと地元野菜で夫婦でゆっくりとお魚晩酌を楽しむことが出来た。

 東北は、酒も魚も野菜も美味しい。

 いや、全国各地、美味しいものはたくさんある。
 感謝。



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