見出し画像

#26 全弾命中でございます。

【26日目】「日本人はみんな忙しくてかまってくれない」と言うシンガポール人に「忙しくても時間は作れるよ。作らないのは、シンガポールは退屈とか、暑いとか高いとか言うからだよ。そんな人と一緒にいても楽しくないもん」と言ったら、静寂が訪れた。【本帰国まであと74日】

 シンガポールの中学校、高校では、英語と民族語(父親の出身)に加えて、生徒によってはもう一つか二つ、外国語を学ぶことがあるそうだ。

 日本語は数ある選択外国語の中で、もう10年以上いちばん人気を保っているとのこと。

 理由はもちろん、アニメと漫画を楽しみたいから。

 子どもに選ばせるのだから、当然の選択だろう。

 大人でも日本語を学んでいる人は多くて、パーティーの類に顔を出すと、日本語の話せるシンガポール人はじめ外国人がいることはめずらしくない。

 日本語を学び始めたきっかけをたずねると、やはりアニメか漫画である。翻訳の期待出来ないような、マニアックなものを楽しみたいので、必死に勉強したという話もよく聞く。

 日本人でも「字幕なしでハリウッド映画を楽しみたい」という理由で英語の達人になった人によく遭遇するが、こちらは英語という世界語をゲットできたのだから、いいと思う。

 しかし、日本のアニメとか漫画、いまだとJ-ドラマと呼ばれるドラマを楽しみたいという人も多いが、それで膨大な時間を日本語に費やして、日本語がそこそこ出来るようになっても・・・上がりがさびしい気もする。

 まあ、大きなお世話だろう。楽しんでなにが悪い。その通り。

 しかし、在星日本人にとって大切なことは、そのような趣味で日本語を学んでいる外国人に、練習相手として、”一方的に”利用されないようにすることである。

 特に、ランゲージエクスチェンジは、双方の学びたい言語の実力が釣り合っていないと失敗する。

 日本人はたいていの人が真面目なので、文法などをきちんと自勉している人が多いが、東南アジア人は話しながら慣れればいいという、きわめて時間のかかる、効率の悪い方法を信じている人がめずらしくない。

 気がついたら、自分が学びたい言語を話すチャンスがほとんどなくて、相手のつたない日本語に長時間付き合っているだけになっていたりする。

 また、特にシンガポール人は言い方が直接的なので、日本語も直接的であることが多い。

「シンガポールにいる日本人はみんな忙しいけど、駐妻Aは英語が下手だから仕事ができないし、子どももいないし、とても暇だから、日本語の練習相手として、たいへん都合がよろしいです。アハハ」

などと言ったりする。

 直接的なやりとりが精神的に疲れる人は、シンガポール人とはつきあわない道を選ぶようだ。

 私はそれを選ばず、言い返す道を選んだ。

「All Japanese busy?  Really?  They can make time even if they are busy. They don't make time  for you because you guys always say Singapore is boring, hot, expensive! All the negative things. It's not fun to be with such a negative person. Ahaha...」

 静寂が訪れた。

 私は間違ってない。やられたらやり返せ。倍返しだ。

 半沢直樹ごときに言われるよりずっと前から、鳥肌実総統が言われていた通りである。

全弾命中でございます。


 

 


 

 

 

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?