花を食べる

この街の空気 夏の気配

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最近の記事

リバティー

文学が好きだ。刺激的な文を書く人が備える、美しい言葉を選ぶ鋭い感覚と相応しい構成を用意する才能に憧れずにいられない。 文豪と称されるに当たってはリバティーなベイビーに弄ばれて人生に厚みを持たせるのが不可欠な要素だ。 幼い頃に夢見た物書きに成るにしては他人の言葉を借りすぎている現状に負い目を感じていた、22才も終わろうとする夏に丁度、理想の具現のような人、関係を深める事に情熱を注ぎたいと思える人に出会った。 初恋?と思うくらい今までに無く特別な感情に焦った僕の悪手もあった

    • 光の方へ

      大学二年生、友達の芸人のチケットノルマに貢献するべくして月に一度ほどのペースで劇場に通う。相方に書かせたシュールな世界観でウケを狙っていた。 お客さんの反応はいまひとつだが、僕の視界で確かに輝いていた彼らは、憧れるに足る光だった。 僕は感化され、次の夏には別の友人を連れて漫才の賞レースに応募する。相方が一回戦直前で日和って以来音信不通となり、この一連を記憶から消したので詳細は覚えていない。 そして今年も夏が来た。楽しい事たくさんしたいね。だから今までのどの思い出よりも眩

      • わたがし

        高校を卒業してから半年後、僕は地元でくすぶっていた。 勉強の気分転換に友達と深夜ドライブをする。 県名がついた駅の近くにある公園へ行った。噴水を目当てに多くの人が訪れる大きな公園だ。ストリートミュージシャンが人気のバンドをcoverしている。夏の祭りの歌だ。 海へも向かった。ドライブの定番だ。道中、大きな橋がある。尿意を我慢できない友人は橋を渡ってすぐの所に車を停めた。 「橋の上から川に向かってしよう」僕を誘う。 「橋の真ん中からしよう」 僕は応じ、来た道を歩いて

        • Starlight

          「夏、忘れられない夏をしよう」 メッセージを送る事から7月17日が始まった。 夏が多義語なばかりに 「今夜、花火をしよう」 が分かり辛い表現になってしまう。 待ち合わせまで図書館に居たが、昼に立ち寄った回転寿司に花火の握りが無いことに動揺して午後は勉強が手につかなかった。 太陽の影響が無くなると同時に集合した僕たちは音楽に合わせ青春を語り、踊るような炎の揺らめきを眺めて夜を過ごす。 一日の終わりに世界を照らす星の光が夏だった。