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亀の井別荘(大分・由布院温泉)宿泊記*2017年4月

優雅さと品格に満ちた、由布院温泉きっての老舗旅館

今回訪れた「亀の井別荘」は、由布院・金鱗湖そばの広大な敷地に佇む旅館です。“温泉観光地”としての由布院ブランドの礎を築いた油谷熊八氏が、国内外の客人をもてなす別荘として大正10年に建てたという、大変歴史の古い宿です。送迎のサービスはなく、JR由布院駅からタクシーで5分程度、徒歩なら20分ほどで到着します。観光客で大変にぎやかな通りから一歩敷地へ入ると、途端に新緑の林が広がり別世界に誘われます。

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苔むした茅葺きの門をくぐると、スタッフの方が出迎えてくださり、フロントロビーでチェックインを行いました。

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デザイナーズ家具が置かれたシックなロビーでウェルカムスイーツのおはぎをいただきましたが、これは宿の敷地内に併設されているショップ「鍵屋」の名物であるおはぎを、宿泊客用に少し小さめのサイズにしたものでした。

[客室]広々したバルコニーに癒される、重厚でクラシカルな洋室

今回泊まった部屋は本館にある洋室です。こちらの宿には本館の洋室6室のほか、民家風離れ15室が点在しています。洋室、離れとも一部屋ごとにまったく違う造りになっているそうです。

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私が泊まった「奥由布」という客室は、玄関を入ると長い廊下があり、突き当たりがリビングスペースで、その右奥に回り込むと、まるで隠れるようにベッドルームが配されている間取りでした。

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床はアイボリーの絨毯敷きで、天井に張り巡らされた太い木の梁が印象的な、クラシカルで重厚感のあるお部屋です。

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リビングから大変広いプライベートテラスに出られるようになっていて、そこからは雄大な由布岳を眺めることができます。

[温泉]名湯・由布院の源泉掛け流しを思う存分楽しめます

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客室のお風呂は広々とした檜の浴槽で、源泉掛け流しの温泉が常に注がれています。

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浴室もテラスに面していて、窓を開け放つと半露天の気分で入浴できます。サラッとしたお湯で少し入っただけでも身体の芯から温まり、檜の香りにも癒されました。

こちらの宿には「草の湯」と「星の湯」と名付けられた宿泊者専用の温泉大浴場があり、時間帯による男女入替制となっています。

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どちらのお風呂も六角形のガラス屋根で開放的な内風呂と、和風情緒あふれる庭に設えられた露天風呂があり、「草の湯」「星の湯」とも雰囲気は似たような感じでした。内風呂がとても広く気持ちがいいので、自然光が降りそそぐ昼間や朝に行かれることをおすすめします。

[食事]旬の食材を、一番美味しい食べ方で

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夕食は、宿の敷地内にあるレストラン「湯の岳庵」でいただきました。料理は、その日に入荷した旬の食材を取り入れ、食の和洋にとらわれず、一番美味しい食べ方で提供されます。

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ちょうど訪れた春先の時期は、由布院の名産であるクレソンが旬で、お肉の付け合わせだけでなく、さまざまな料理で使われていました。特にクレソンを裏ごししたスープは濃厚で香りがよく、中国茶器のような小さな器に急須から注いで飲むため、たっぷり量がありましたが冷めずに最後までおいしくいただけました。

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大分の地ワイン「安心院葡萄酒」。安心院と書いて「あじむ」と読むのです。

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〆の筍ごはんは1卓ずつ土鍋で炊かれて出てきますが、食べきれない分は残りを後からおにぎりにして部屋に持ってきていただけて、ゆっくり夜食として楽しむことができました。

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朝食は本館の宿泊者専用レストラン「蛍火園」にていただきました。離れの宿泊客は基本的には部屋食のため、ここで食事をするのは洋室の客のみとなります。

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大きな窓越しには木々に囲まれた庭が広がり、朝の木漏れ日がさわやかで、とても静かでゆったりとした朝食タイムを過ごすことができました。

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洋食か和食から選べ、和食はのどぐろの焼き魚が絶品でした。

この宿は、建物、温泉をはじめ、食事やスタッフの佇まいに至るまで、すべてに品格を感じ、ここに身を置いている自分も自然と背筋が伸びるような、凛とした空気が宿全体に漂っていました。「由布院御三家」の一つとして称されるだけあり、数ある由布院の温泉旅館の中でも孤高の存在感を持った宿だと思います。

客層についても、年配の夫婦や、おばあちゃんと両親、高校生くらいの子という親子3世代のような落ち着いた雰囲気の方が多かった印象です。友達同士でワイワイと温泉旅行を楽しむというよりは、お祝いや記念日などで大切な家族とじっくり過ごすような、そんな特別な日に、かしこまった気持ちで訪れたい宿でした。

※写真と内容は2017年当時の情報です。ご了承ください。



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