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生寿苑(群馬・猿ヶ京温泉)宿泊記*2017年7月

『座敷わらし伝説』に心がなごむ素朴な宿


今回訪れた群馬の猿ヶ京温泉「生寿苑」は、周囲を山に囲まれたのどかな里に佇み、2400坪もの敷地にわずか13室という、ゆったりとした造りの宿です。

平屋造りの建物が、正面玄関前の広い車寄せと駐車場を囲むように、コの字型に配されています

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フロントやロビーのある母屋は築130年の養蚕農家を移築してきたものだそうで、堂々とした造りが目を引きます。

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ラウンジで冷たいお茶をいただきながらチェックインを行いますが、宿泊カードには、予約の際に入力した住所や連絡先情報がすでに印字されていたので、確認のサインだけで手続きは完了しました。

[客室]畳の香りが心地よい、広々とした純和風のお部屋

客室は4種類あり、和室14畳一間タイプ、14畳二間タイプ、22畳三間続き・ツインベッドタイプ、そして今回私たちが泊まった和室22畳三間続き(10畳の本間、6畳の次の間、6畳の板の間)タイプとなります。

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古い建物ですが隅々まできれいに清掃してあり、部屋に入った瞬間、畳のい草の香りがふわっとしてきて、気分が和みました。

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窓辺には濡れ縁と小さな庭がありますが、木々のすぐ向こうには民家があり、風呂上がりに縁側で夕涼み…という雰囲気ではありませんでした。

[温泉]好きな時に好きなだけ貸切で温泉三昧

部屋にお風呂はありませんが、男女別(入れ替え無し)の大浴場と、2つの貸切風呂があります。

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大浴場は浴槽の半分のスペースに石がゴロゴロと入っていて、足裏に適度な刺激を受けることができます。ガラス戸の向こうには露天風呂がありましたが、夏場は虫がたくさんいるので、あまり長い時間入ることはできませんでした。

貸切風呂は無料で、空きがあればいつでも自由に中からカギをかけて入れるようになっていました。

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貸切風呂「あさひ」は、その名の通り朝日が差し込む東側の浴室で、横長のスペースの両端にそれぞれ浴槽を配した、少し変わった造りをしています。

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もうひとつの貸切風呂「ゆうひ」は、あさひと同じ大きさの石造りの浴槽が一つだけある浴室で、どちらも内装がヒバの白木造りで、自然光がやさしく入ってくる居心地の良い空間でした。

貸切風呂のお湯は少し熱めになっており、何度も掛け湯をして体を熱さに慣らしてからやっと入れる位でした。また、洗い場も無いためあまり長湯をする雰囲気ではなく、入浴中の札がかかっていても、少し待てば「空」になっていることが多かったです。私自身、毎回長くても10分程度で上がっていたので、比較的利用の回転は早いのではないかと思います。利用後に都度清掃が入ることはありませんが、宿泊客が皆マナーよくきれいに使っていたため、いつ行っても快適に入浴することができました。

また、浴場のある棟は一番端にあたるため、ラウンジに近い客室だと、長い廊下を歩いて行く必要があります。一方で、私が泊まった「浮舟の間」は最も浴場に近いのですが、お風呂へ行く際に誰もが必ず通る場所にあるため、足音や話し声が響いてくるのではないかと、やや心配でした。しかし、一晩を通して外の音はまったく気になりませんでしたので、温泉に何度も入って楽しみたいという方は、ぜひ浴場に近い客室をおすすめします。

[食事]地元産の旬食材をふんだんに使った田舎料理を堪能

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夕食・朝食ともに大広間の食事処でいただきます。テーブル同士の仕切りなどはありませんが、ゆったりと距離が取られているので、隣の会話が聞こえてくるようなことはありません。

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「田舎料理」と銘打った地産地消の料理が次々と出てきます。特に印象的だったのはお造りで、「ギンヒカリ」という群馬県の水産試験場で開発・養殖されている最高級のニジマスや、ナマズのたたきなど、海の無い群馬らしい、他の地域では出会えないような魚を堪能できました。

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食事は全体的に濃い目の味付けでしたが、お酒を楽しみながらいただくには絶妙で、量も少食気味の我が家にとってはちょうど良いものでした。

[施設]座敷わらし伝説&季節限定のホタル狩り

こちらの宿では、6月下旬から7月上旬の短い期間ですが、玄関前の池の周辺でホタルが飛び交う様子が見られます。ちょうど見頃とのことでスタッフの方に勧められ、夕食後に外へ出てみたところ、10匹程度でしたがホタルが光っているのを確認できました。昼間は30度を超える暑さでしたが、思いがけず涼を感じる体験ができました。

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ホタルの飛び交う水辺は、夜は暗くて写真に収められませんでしたが、昼間も涼しげです。

また、この宿には古くから「座敷わらし」の言い伝えがあるそうです。宿のご主人のご先祖様が、座敷わらしからもたらされたという金瓶を祀った小さな祠が、敷地内の片隅にあります。

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金瓶には大判小判が入っていたという逸話から、金運上昇や宝くじ当選を祈って、わざわざこの宿を訪れるというお客さんもいるそうです。

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各客室に1つずつ、宿オリジナルの小さな絵馬が用意されていたので、私たちも願いごとを書いて、祠のそばに掛けてお祈りしてきました。残念ながら滞在中に座敷わらし本人(?)に会うことはできませんでしたが、地元に古くから伝わる逸話に、気持ちがほっこりしました。

スタッフの方は皆笑顔でテキパキと動かれていて、その元気の良さが宿の活気に繋がっているように感じました。宿泊客との距離感についても、親しみやすい雰囲気ながらも必要以上に踏み込んで来ないところが気楽で良かったです。

広いお部屋でのんびり過ごして、好きな時に好きなだけ温泉に浸かる、そんな日頃の疲れをほぐすのにぴったりの宿だと思いました。周りは山ばかりの場所ですが、のどかな田舎の空気を吸いにまた訪れてみたくなりました。

※写真と内容は2017年当時の情報です。ご了承ください。


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