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食べるお宿 浜の湯(静岡・稲取温泉)宿泊記*2016年10月

食べる喜びと湯めぐりの面白さを体感できる宿

今回訪れた「食べるお宿 浜の湯」は、東伊豆・稲取温泉の岬の突端にあり、海のすぐ目の前にそびえる旅館です。車でアクセスすると、宿の前でスタッフが誘導してバレーパーキングでスムーズにチェックインできます。

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エントランスを入ると、吹き抜けの天井まで一面ガラス張りの開放的なロビーがあり、こちらでチェックイン手続きを行います。

この宿は、街側眺望の標準客室から、134平米を誇る露天風呂付きスイートルームまで21種類もの部屋タイプがあります。今回泊まったのは「プレミアムコンパクトルーム」(64平米)の禁煙室で、今年5月にリノベーションしたばかりのお部屋です。

[客室]海に面した広大なテラスが気持ちいい和室のお部屋

「プレミアムコンパクトルーム」は、10畳の和室に広縁、その外には客室と同じくらい広いウッドデッキの展望テラスがあります。相模灘が一望でき、眼下の岩場に打ち付ける波の音がダイレクトに聞こえてきます。

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テラスにはハンモックが架けられていて、ここで風に吹かれながら寛ぐことができます。ハンモックの布は潮に晒されていることもあり、やや使用感がにじみ出ていましたが、お子さんなどは大喜びなのではないかと思います。

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和室は琉球畳敷きで、畳縁がないためすっきりとした印象です。リノベーションされてから半年もたっていないので、まだ新しい部屋の匂いがします。主要な柱などは以前のまま使用しているようで所々古い傷が見受けられましたが、飾り棚など新たに設置された部分と、元からある木の色合いとの間に齟齬がないよう上手にリノベートされていました。

こちらの客室は角部屋で窓が2面にあります。腰高でそれほど大きくない窓ですが、稲取の町並みと漁港が見渡せて、一面の海の眺望とはまた違った風景が臨めます。

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水回り部分は、かつて沸かし湯のユニットバスがあったそうですが、これをシャワールームのみに改装したようです。こちらの宿は館内に大小さまざまな温泉が多数あるので、中途半端なユニットバスを取りやめ、シャワーのみにしたのは、個人的には良い判断かと思いました。

[温泉]個性豊かな7つのお風呂をじっくり堪能!

共用の温泉はすべて8階にあたる屋上に集約されていて、ワンフロアで湯めぐりができるようになっています。ここに男女入替制の大浴場2つと、内側から鍵をかけて自由に入れる無料の貸切風呂2つに家族風呂1つ、そして有料の貸切風呂が2つあります。

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まずは、チェックインの時に有料貸切風呂「スイートプライベートスパ」を予約し、夕食前に利用してみました。こちらは60分3,240円で、110平米ものプライベートルームに露天風呂、露天寝湯、ミストサウナ、デッキテラス、お休み処が用意された贅沢な空間です。

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どの場所からも海が一望でき、お湯は熱すぎず温すぎず、ずっと入っていられるような快適な温度で、あっというまの60分を過ごしました。

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大浴場は露天風呂が圧巻でした。特に「望洋大露天風呂」は周りに何も遮るものが無く、肩までお湯に浸かると、遠くの水平線と一体化したように見え、インフィニティプールならぬ“インフィニティ温泉”が堪能できます。

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天気が良ければ伊豆大島をはじめ、伊豆七島の島々が見えるようですが、私が行った日はあいにくの空模様で、水平線が見えるのがやっとでした。しかし、それはそれでまた海の彼方に吸い込まれるような幻想的な光景でした。

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また、無料の貸切風呂「慰の湯」と「櫓の湯」は、高い壁で仕切られた露天風呂で、コンパクトな陶器風呂と小さなシャワーブースがあります。ややスペースに圧迫感がありますが、一人きりでじっくりお湯を楽しみたい時にぴったりです。

[食事]猛烈なボリューム、なのに絶品でお腹がはちきれそう!

これだけ温泉が楽しめるにもかかわらず、この宿が銘打っているのが「食べるお宿」ということで、温泉以上に食事に力を入れているようです。自然と夕食への期待も高まります。

夕食・朝食ともにお部屋でいただきました。事前にいろいろな口コミをチェックしたところ、「食事のボリュームがとにかく凄い」という声が多く、宿のHPでもキャッチコピーで「夕食は食べきれないほどの海の幸が出ますので、お昼はできるだけ軽く済ませてきてください。」とまで書いてあったので、お昼をほとんど食べずに挑みました。

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前菜、椀ものに続き、続々と海の幸が出てきます。鮑の酒蒸しは七輪で生きた状態から蒸し上げますが、スタッフの方がタイミングを見てくださるので、ベストな火の通り加減でいただけました。

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また、お造りはこれまで見た事も無いような大きな舟盛りで登場し、思わず声をあげてしまうほどでした。「○○(我が家の苗字)丸」と書かれた舟に、稲取のブランド魚・稲取キンメや、伊勢エビの活き造りのほか、旬の鮮魚が豪華に盛り込まれています。どれも鮮度は抜群で、漁港近くの宿の強みを感じました。

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食事の後半に出てきた、浜の湯名物である金目鯛の姿煮は、甘めでこってり濃厚な醤油タレが絶品でした。卓上の羽釜では秋鮭の釜飯が炊かれている最中ですが、白米の用意もあり、希望すればいただけるそうです。確かにこの姿煮は白米と一緒に豪快にかき込みたい一品ですので、もしお腹に余裕があれば白米をお願いしたいところでした。

噂に違わぬボリュームで完食はできませんでしたが、量だけが自慢ということでは一切なく、一品一品愛情をこめて作られているのが食べる側にもきちんと伝わる、そんなお料理で大満足でした。料亭のような緊張感漂う研ぎ澄まされた味というより、親しみがあり思わず笑顔になってしまうような美味しさでした。

波の音を聞きながら湯めぐりを楽しめて、驚きにあふれる食事に舌鼓を打つ。この宿では、滞在をとことん楽しむのが流儀だと思いました。滞在先では何もせずに心静かにリラックスしたいという方よりも、家族や気心知れた友人たちと楽しさを共有して、旅の思い出を残したいという方におすすめの宿です。

※写真と内容は2016年当時の情報です。ご了承ください。


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