見出し画像

水のみち 風のみち 湯ヶ島たつた(静岡・湯ヶ島温泉)宿泊記*2018年8月

伊豆箱根エリアで唯一川床料理が楽しめる魅力満点の宿

今回宿泊した「水のみち 風のみち 湯ヶ島たつた」は、伊豆半島のちょうど中心に位置する湯ヶ島温泉にあります。

画像1

本谷川と猫越川が合流する三角州の地に建っており、常に川のせせらぎが聞こえます。こちらは伊豆箱根エリアで唯一、川床料理が楽しめる宿ということで、興味があり訪れてみました。

画像2

到着すると、フロントにてチェックインを行います。宿泊カードには、予約時に入力した情報がすべて印字されていたので、確認とサインのみで完了しました。同時にフロントで館内地図を見ながら大浴場や食事処の位置を案内していただきます。事前に公式HPで館内案内の動画をチェックし、その旨をチェックイン時に伝えると、フロントでの案内は省略できるとのことでしたが、こちらの宿は過去に増改築が行われていて、フロアの構造が若干複雑なので、現地で直に説明を受けられる方が良いかもしれません。

宿は全24室で、1階から3階の旧館と、4階から6階の本館があり、川沿いの斜面に建っているため、エントランスとフロントが5階にあたります。今回は本館5階の本間11畳(10畳の横に1畳の畳敷きと床の間が並んでいる間取りです)+広縁3畳の純和風のお部屋に宿泊しました。

[客室]オーソドックスな純和風の落ち着くお部屋

画像14

創業60年を迎える古い旅館ですので、客室の柱や壁などには、経年による細かい傷や掠れがあちこちに見受けられますが、きれいに清掃されていて快適な居心地です。

画像15

床の間には香炉と3種類のお香の用意があり、好みのお香を楽しむことができます。床の間と広縁を仕切る板壁には、透かし彫りが施されていて、外の光がやさしく床の間に差し込むようになっていました。

トイレは客室玄関の土間の脇にあるので、一度玄関に下りてからトイレに入らなければならず、やや不便に感じました。客室内の浴室はごく一般的な家庭用のユニットバスですが、こちらは温泉が給湯され、シャワーのお湯までもが温泉だそうです。しかしこの宿には2つの大浴場と4つの貸切露天風呂があり、湯巡りを堪能したかったため、今回は客室のお風呂は使用しませんでした。

[温泉]源泉掛け流しのお湯を心ゆくまで堪能

大浴場と貸切風呂はすべて、加温、加水、濾過を一切していない源泉掛け流しの温泉です。カルシウム・ナトリウム硫酸塩泉で、無色無臭のさらっとしたクセのない肌触りです。

大浴場は男女入れ替え無しで、男湯「ふくの湯」には内風呂と露天風呂があり、女湯「たからの湯」には露天風呂がありませんが、脱衣所の片隅に2名分の岩盤浴スペースがありました。

画像3

大浴場は脱衣所からワンフロア分下がった位置にあり、脱衣所の天井高まで吹き抜けになっているため、非常に開放感があります。

画像4

浴槽は木の板で仕切られており、湯口に近い方があつ湯、遠い方がぬる湯となっていました。

4つの貸切風呂は、空いていれば自由に使用できます。空きの確認は入口前に先客の下駄やスリッパがあるか無いかで判断するものでした。当日は8割方満室で、チェックイン直後は混み合っていましたが、時間をずらせばどれかは常に空いている状態でした。

画像5

竹林に囲まれた露天風呂「森のこみち」は、5名まで入れる広々としたモダンな石造りのお風呂です。

画像6

隣の「かぐやの湯」は、シャワーブースがなく、樽に入ったかけ湯が用意されていますが、この小さな樽にも温泉が注がれ常に熱いお湯をかけることができます。この2つの貸切風呂は、夜23時30分で閉まって翌朝は入れないので、明るい時間帯に入りたい方は、夕食前に入ることをおすすめします。

画像7

画像8

別フロアにある貸切風呂「流星」は、ソファのある個室とシャワールームを備えており、窓辺の瀟洒な陶器風呂からは川の流れを眺めることができます。川向こうが散策路になっているため、視線が気になる方のためにブラインドのほか、湯浴み着も用意されていました。

画像9

「月下美人」の湯は、創業当時からある露天風呂を移設したそうで、昔ながらの岩風呂が堪能できました。こちら2つの貸切風呂は翌朝10時まで夜通しで使えます。

[食事]川床で心地よく旬の郷土料理を楽しめます

画像10

この宿の一番の特徴は、やはり川床料理が楽しめることでしょう。すぐ目の前を流れる猫越川のせせらぎをBGMに、地産地消のお料理を堪能できます。こちらは夏だけでなく、冬でもこたつで川床が楽しめるそうです。また開閉式の屋根があるので多少の雨でも大丈夫とのことです。

画像11

訪れた夏の時期は川魚が旬で、鮎の焼き物や締めの鮎飯、アマゴのお造りなどが楽しめました。

画像12

一番印象に残ったのは、宿の名物でもある「わさび鍋」です。天城軍鶏の醤油仕立ての鍋に、驚くほどたっぷりのわさびと大根おろしを入れていただくのですが、熱を通すことでわさびの辛味が抑えられ爽やかな香りが口の中いっぱいに広がる絶品料理でした。

川床というロケーションでいただく夕食は、それだけで特別感があり、お祝いや記念日などで訪れるのにぴったりです。1日10組までの完全予約制で、すべてのプランが川床で食事ができるわけではないので、予約の際にぜひ川床プランを選択することをおすすめします。(安全上の理由から小学生以下の子どもは利用できません)

画像13

湯ヶ島温泉界隈は、閉鎖したまま放置され廃墟と化した旅館が多く、街としては少し寂しい印象です。しかしこの宿は、綺麗でモダンな貸切風呂を新設したり、地形を活かした川床料理を提供し他の旅館と差別化したりと、企業努力を重ねて今日まで人気を誇ってきているのだと感じました。川がもたらす涼感や、豊富な湯量を誇る温泉など、自然の恵みを体感しながらのんびり過ごせる素敵な宿でした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?