骨灰

【骨灰】
『冲方 丁』

なう(2023/06/21 16:39:14)

当たり前のようにネタバレ



この作品を読もうと選出したキッカケは忘れましたが、叙述トリック作品読み疲れに際して他の本を読もうと探してる中で見つけた気がする。

結論、良かった🤣
というのも前回読んだ作品があまりに自分の中で納得いかずあっけらかんなものだったからこそかもしれませんけどシンプルに面白かった!

読む前に、主人公がどんどんおかしくなっていく様に主人公以外が気付いていて怖い!みたいな文言を見た気が(どこまでも適当)するんですけど、まさにその通りで、歯痒い!
当たり前のように故人の霊がいることを認めてる辺りとか、自分は祟られていないと思っているような描写がもどかしくて、おかしくなってんだよ!お前!お前だよ、お!ま!え!と何度か言いました。
けど最終的にそれらを自覚するところは快感!
あーやっとかい!よくわかったな光弘~~!と親父気分で。笑
あと「頑張れ。」の言葉を本物?の親父がかけ続けてくれているのもシンプルに感動しましたね。こういうのに弱い…。

読み始めてから読了までに数週間空白の期間を設けてしまったのですが読み切ることが出来たのはこの作者さんの文章の書き方が頭の弱い自分に易しかったからでしょうか。
途中から読むことを再開したにもかかわらず前回なにがあってどんな展開だったかきちんと色濃く覚えてました。
当初は原の態度とか所作がちんたら?してるように感じたのでムシャクシャしていたのですが終盤の原の謎の頼もしさにびっくり笑笑
荒木もまさかそういう!!とビックリだったし、叙述トリックなんかよりよっぽどまさかまさかの連続でした。
あと菅原所長が何故か令和の虎の林社長イメージで動いていたので最後めっちゃ林社長かっけえな!と感動しました。

あと奥さんと娘かわえ~😭
ここ最近読んだ作品どれも家庭環境とかが最悪な描写が多かったので、幸せな家庭の一つの描写がどれもほっこりしてずっと幸せおうち描写続いても良かったくらい和みました。

具体的にどこが怖かったかといったらやっぱり最初の地下に降りていって初めて穴と対峙する瞬間、それと玉井の人たちと地下へ降りていって祟りの話とかを聞いてる時!
当時の光弘はまさかまさか笑笑みたいな態度だったけど、読者からしたらまたお!ま!え!状態なのでぞくぞくしました。

光弘は14名の罪なき尊い命を無意識のうちに無下にしてしまったわけだけど、気が狂っていたので当然自覚もないしお咎めもない。
けど、なんだか物語の終わり的にはハッピーエンド!とはいえなさそうなんだよね。
産まれた子供は、息子だし、祟りが子に受け継いでしまっているんじゃないかな。
実はもう途中からそのことばっかでした。
奥さんお腹大きいんだよ光弘!!!!大丈夫かお前!!!て具合で。
荒木さんの祟りが受け継がれる話聞いた時もう確定やんけと思ったし、描写なかったけどまた30年後に何がどうなってるのか。
そういうのを明瞭にせず終えたことであとは読者の解釈で!って感じなんだろうね。
中途半端に変な描写書いて考察させるよりかあっさりしてるしこの作品の終わり方は正直良かった。
あれからもっとグダグダ長引かされた方がキツかったかもしれない。

最近良作読めてなかったので贔屓目かもしれませんがシンプルに作者の知識と表現力が凄くて嫌味なく読めた作品だった!
主人公の微妙に捻くれてるところも仕事できる人間!って感じが自分と無縁すぎて読んでて楽しかったです。
さり気なく叙述トリックディスまたしてしまってすみません。
以上。