夢
夢を見た。
男はみな、銃を持たされ、小さな集団に分かれて、前線に向かう準備をしている。
男はみな。
新しいメンバーとバンド活動が始まり、わくわくしている17歳の長男も。
クリスマスリースづくりのために、学校に持っていったビーズがみんなに大人気でとても楽しかったと、帰ってくるなり息切らせ報告してくる8歳の次男も。
準備が整い、集団で戦地に向けて走り出す。
しばらく走ったのち、なぜか私一人が集団からはぐれる。
周囲を見回しても、子どもたちは見当たらない。
焦って右も左もなく走り出す。
道の傍らに、手当てを受けている戦傷者がずらりと寝ている。
見るに堪えないひどい傷の人もいる。
思わず目を背ける。
そして、嫌な予感がふくらむ。
子供は見当たらない。
走れど走れど、探せど探せど、見当たらない。
不安と恐怖で胸が張りさけそうに苦しい。
気が狂って、泣き出し、叫びだしたくなる。
そんな夢だった。
「今日、〇〇人が犠牲になりました」
という数字で状況を伝えるニュースには出てこない、
ウクライナで、ガザで、世界中の戦地で、
大切な人を持っている人、つまりほとんどすべての人が、
こうした、とてつもない苦しみと悲しみとともに、
夢ではない現実の日々を過ごさざるを得ない状況にあることを思い、
思わず、目をつぶった。