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2024年=「大学無償化元年」!!


2024年=「大学無償化元年」

いよいよ2024年度から、東京、大阪、兵庫の公立大で一斉に無償化が始まる事になりました。
国の2020年からの「高等教育修学支援新制度」に、2024年、多子世帯優遇措置が追加されます。

まだ条件付きの無償化が多い中、大学全体への適用ケースは、まだ東京、大阪、兵庫の公立大学のみではありますが、この流れは進むことを想定し、     
     2024年=「大学無償化元年」
と位置づけてみました。

ここまで、大きく変わると、「無償化」による「進路選択は大きく左右される」ことが予想されます。
ご家庭だけでなく、高校の先生、塾予備校の方々にも大きな関心事と思い、これからの「進路指導」要素を考える契機にしてみることにしました。

今年の、入試志願状況、結果はどうなってくるでしょうか。
将来の「進路選択はどうなるのか」「人気は無償化された大学に人気が傾くのか?」「IT系優遇であればそちらに進路選択する学生が増えるのか?」「受験地図はどうなるのか?」


ここでは、考えやすくするために「いったいいつから誰がいくらもらえる?」という点に絞って認識するため、詳細な条件は省き、例も私立4年制大学進学者という仮定にしたり、大まかに「シンプルな金額」をまとめました。国立大ほか、興味のある方は、記事下部リンクより算出してみてください。

関連機構さんに直接問い合わせたりしましたので、大筋大丈夫だとは思いますが、それでも、国の公表記載自体が、なかなか複雑で、理解が違っている点があるかもしれません、その際はどうぞご容赦の上、宜しければ正しい認識をご指摘ください。


(1)「政府」の大学無償化の制度


2020年~:年収が380万円未満の家庭に対して授業料の減免実施
2024年~:年収約600万円未満世帯の私立理工農系に支援を拡大
     3人以上の多子世帯に授業料の減免
2025年~:3人以上の多子世帯に授業料を無償化の方向

具体的に受けられる支援金額についてまとめてみました。
(わかりやすくするため、数値は四捨五入金額)

「実際に、誰がいくら支援してもらえるのか?」

2020年から実施されている「高等教育修学支援新制度」によって
私立大学に下宿等をする自宅外生の場合をシミュレーション

 
<授業料>
161万円支援
=70万円(免除)+91万円(奨学金):~年収270万円世帯
125万円支援
=47万円(免除)+61万円(奨学金):~年収300万円世帯
  62万円支援
=23万円(免除)+30万円(奨学金):~年収380万円世帯
 
<さらに初年度は入学金>
26万円支援(免除):~年収270万円世帯
17万円支援(免除):
~年収300万円世帯
  9万円支援(免除):
~年収380万円世帯
これらが、2020年から実施されています。

2024年から
30万円支援:~年収600万円世帯:私立理工農系進学者
40万円支援=17万円(免除)+23万円(奨学金)+7万円(入学金)
     :~年収600万円多子世帯

2025年から
~多子世帯に対して無償化、所得制限なし(予定)

念のため、上記算出根拠は以下の通りです。
【2024年度入学者に関して】
2020年から始まっている「減免」及び「給付型」支援については以下。
~年収270万円世帯:授業料上限枠満額免除+上限枠満額給付型奨学金
~年収300万円世帯:授業料上限枠2/3免除+上限枠2/3給付型奨学金
~年収380万円世帯:授業料上限枠1/3免除+上限枠1/3給付型奨学金

~年収600万円多子世帯:授業料上限枠1/4免除 上限枠1/4給付型奨学金
~年収600万円世帯:私立理工農系進学者 約30万円を支援(文系差額)
 
 

(2)「公立大」の実質無償化

2024年~:公立大進学者大学授業料無償化(東京、大阪、兵庫)
「国の高等教育修学支援新制度+自治体支援=大学授業料無償化」

所得収入による制限なし。
東京、大阪、兵庫に居住する人であれば、原則無償になります。
対象大学(東京都立大学、大阪公立大学、兵庫県立大学、芸術文化観光専門職大学)細かな要件は、確認ください。
  https://univ-journal.jp/column/2023235032/


そもそも「経済的問題」「少子化対策」が発端での政府の取り組みで、昨今の厳しい経済状況下、進学支援という対策であると同時に「私立理工農系大学進学者に文系との差額を支援」という意図は、世界におけるランキングの中、大学の地位向上を目指したり、超速で進む生成AI化や、IT・デジタル化への適応促進という側面があるようです。

(3)まとめ

国の予算には限りがあるので、学習意欲ある学生に広く大学無償化の理想を掲げるものの、「予算・財源の制約の中で」可能な対象者から順次、適用していく仕組みを構築している過渡期ではあります。

そんな中、東京、大阪、兵庫は、2024年、先陣を切って無償化に踏み切りました。もともと、国の高等教育修学支援新制度の財源をベースに、不足分を都府県それぞれの工夫で補って全体として合わせ技で「大学無償化」といえる形にしたわけです。

これらの地域では、支払額の少ない順に
   公立大(無償)<国立大<私立大
となりますので、ほぼ同じことが近いレベルで学べるなら、国立、私立よりも自都府県の公立大を選ぶ傾向があるでしょうし、隣接府県の公立大よりも自都府県の公立大を選ぶ傾向があるでしょう。


こうした結果、次年度以降、もしかすると、全国各地で、財政可能な自治体から順次「公立大無償化」の動きが加速するかもしれません。
もしかすると、隣接府県の大学志望者は、先読みして、その府県でも、国立大、私立大より、公立大志願者の優先順位が上がる可能性もあります。


これら「経済支援制度」の充実広がりを考えるとき、「大学や学部進路選定」に占める要素として、「成績や偏差値、合格可能性」以上に「経済支援要素」の重要性が、見直されていくのではないかと、思うわけです。

広い視点で言うと「大企業就職志向」から「起業してでも自身のやりたい事優先」に移行している学生意識。それによる傾向は、「大学のブランド志向要素」よりも、「アルバイト三昧しなくとも安心して学業に打ち込める環境要素」の方が「日本の高等教育にとって、未来が開ける可能性」もあるのかなと感じるこの頃です。

5年後、10年後はどうなっているでしょうか?

大学の授業料無償化は、本来国がすべきとの意見もあります。

しかし、少なくとも、国の財源で足りない分を補い、東京、大阪、兵庫といった自治体は、多少無理をしてでも、教育優先し無償化、といえるところまで来たことはすごいことだと思うのです。

この先、まさかすぐに、全自治体の公立大学が、すべて無償化に向くと考えるのは早計ですが、少なくとも、そういう流れは加速するのではないかとも予測されます。


関西であれば、隣接する、京都や奈良、和歌山。関東なら、神奈川、千葉、埼玉など公立大無償化を検討しても不思議ではない状況といえるでしょう。。

経済的に様々問題ありながらも、少なくとも、2020年からの国の高等教育支援新制度で、進学できる人がかなり増えたデータもあり、徐々に支援が進んでいるのは事実です。
無償化が進めば、世界の中での、日本の大学のランキングが高くない現状を打破する原動力になっているかもしれません。
いずれにせよ、今後の進路指導の世界では、成績や入試情報以外の、こういった経済支援、奨学金要素が、進路を考えるうえで、大きな比重を占めていくものと思われます。


【参考記事】
その他各種情報源
※「授業料減免額(上限)・給付型奨学金の支給額」
国公私立や、大学、短大、高専、大学院によってまた、自宅通学、自宅外通学によっても異なります。下記文科省のQ&Aサイトから計算可能です。
 https://www.mext.go.jp/content/20220221-mxt_gakushi11_100001055.pdf
※千円の桁で四捨五入し、わかりやすく万円の概数で表示しています。
※「多子世帯」18歳未満児童を3人以上扶養している世帯をいう。
※2024年度、私立理工農系学部で、減免対象となる大学一覧
https://www.mext.go.jp/content/20230828-mxt_kouhou02-000031628_1.pdf

 ※文科省 高等教育の修学支援の充実(令和6年度向け概算要求より)
奨学金の申請は、「高校」を通じて進学後に申し込む、進学前に申し込む(予約採用)場合あり。以下詳細手続きは、「日本学生支援機構」(JASSO)に記載あり。
 進学前に申し込む(予約採用)
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/moshikomi/yoyaku/index.html
 進学後に申し込む(在学採用)
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/moshikomi/zaigaku/index.ht、閉め切っていた場合は、大学等に進学後に申し込む(在学採用)とがあります。
高校在籍時や高等教育機関に進学後の年次成績にもより必ずしも受給支援が確実ではないので注意。



 【註】
なお、今回は、昨今大きく変わる制度についてのみ取り扱いましたが、
従来より下記のように大学独自の奨学金や、企業や個人財団の基金による支援、最近では、自治体による独人の奨学金制度があります。
これらも、大学無償化の流れを後押ししており、機会があればこれらについても、考えてと思っています。

1)返さなくてもいい「給付型奨学金」
日本学生支援機構(JASSO)が給付する返済不要の奨学金
大学独自の奨学金
企業・団体・個人基金の奨学金
自治体からの奨学金

2)将来返済の必要のある「貸与型奨学金」
日本学生支援機構(JASSO)が貸与する返済要の奨学金
  第1種奨学金(無利子) 第2種奨学金(有利子)
国の教育ローン(日本政策金融公庫)  金融機関の奨学金

  
 
 
 




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