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量子夜話

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「波のようでもあり粒子のようでもある」量子について、シリーズで少しずつお話ししようと思います。夜寝る前に読んでも、眠れるくらいの易しさの記事にしたいと思ってます。(追記:完結しま… もっと読む
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記事一覧

「量子夜話」PDF版公開のお知らせ

以前、noteで連載しておりました「物性物理と素粒子」と「量子夜話」の記事を修正・加筆した上…

しなぎれ
1か月前
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量子夜話(1)位置と速度

世界は量子と呼ばれる「粒のようでもあり波のようでもあるもの」で出来ている。特に基本的なも…

しなぎれ
3年前
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量子夜話(2)保存量

前回は粒子の位置と速度の話をした。古典力学では、粒子がある瞬間にどの位置にあっても、そし…

しなぎれ
3年前
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量子夜話(3)波と場

「量子は粒子のようでもあり波のようでもある」というのがこのシリーズの主題の一つ。前2回は…

しなぎれ
3年前
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量子夜話(4)波の向きと広がり

今回も波のお話を続けよう。もう少し波について知っておくことで、波動性と粒子性を兼ねそなえ…

しなぎれ
3年前
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量子夜話(5)波動関数と位置

今回からは量子論における波動関数について取りあげようと思う。波動関数とは私たちの日常感覚…

しなぎれ
3年前
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量子夜話(6)波と粒子の二重性

前回から波動関数の説明を始めた。波動関数には位置の固有関数というものがあり、デルタ関数と呼ばれる。この状態は一瞬しかたもつことができず、次の瞬間から波動関数は波のように広がっていくというところまでお話しした。 固有状態への分解ではその波動関数が広がった状態でもういちど量子の位置を測定しようとするとどうなるだろう?波動関数はどの位置に量子が観測されるかを確率として教えてくれる。 数学的に同等な方法は複数あるけれど、その手順のひとつを説明しよう。まずその波動関数が各位置の固有

量子夜話(7)波動関数と運動量

さてもう少し波動関数の話をつづけよう。今回は運動量の話。このシリーズの第1回・第2回で古典…

しなぎれ
3年前
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量子夜話(8)不確定性関係

今回は不確定性関係の話。第4回で私たちは「波の空間的な広がりが大きいと波の向きがはっきり…

しなぎれ
2年前
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量子夜話(9)スピン

もう一つの自由度これまでに何度も繰り返してきた事だけれど、古典力学での粒子の独立な自由度…

しなぎれ
2年前
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量子夜話(10)ベクトル

これから複数粒子の量子論についてお話ししていく上で、ベクトルの話をしておいた方がいいと思…

しなぎれ
2年前
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量子夜話(11)複数粒子の波動関数

自由度今回は量子が複数ある場合に波動関数をどうするかという話をしたい。いま一度、粒子の自…

しなぎれ
2年前
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量子夜話(12)同種粒子の数え方

前回は複数粒子の波動関数について述べた。とくに2粒子の場合、波動関数は$${F(x_1, x_2)}$$の…

しなぎれ
2年前
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量子夜話(13)ボゾンとフェルミオン

前回は「同種粒子は区別できない」という量子論の原理について紹介し、この原理によって複数粒子の波動関数は制約を受けるということに触れた。今回は2粒子の波動関数$${F(x_1,x_2)}$$の場合について、その制約についてより具体的に見ていこう。 同じ状態同種粒子は区別ができないけれど、波動関数$${F(x_1,x_2)}$$は粒子1の位置$${x_1}$$と粒子2の位置$${x_2}$$が一見区別できる形で書かれている。これが区別不可能であるということを表現するために、波動