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太鼓 de タイムトラベル感想【前編】

 国民的音楽ゲーム『太鼓の達人』は、2021年2月に20周年を迎えた。その記念企画のひとつとして立ち上げられたのが「太鼓 de タイムトラベル」だ。
 どんな企画かというと、新規制作のオリジナル楽曲を通じて、日本の音楽の歴史を振り返ろうというものである。たとえば、90年代はスーパーユーロビート、80年代はシティポップといった具合だ。

 現役のドンだーの世代を中心に、親世代や、そのまた上の世代との交流のきっかけになることを願って企画されたとのことだ。
 この企画で制作された曲は12曲あり、楽曲名およびコンセプトは次の通り。

・2021年・現代のお祭り『轟け!太鼓の達人』
・2010年代・Future bass『パラレルロリポップ』
・2000年代・ボーカロイド『4+1のそれぞれの未来』
・90年代・スーパーユーロビート『Hold me tight』
・80年代・シティポップ『Donder Time』
・70年代・昭和アイドル『恋はドント・ダウト』
・60年代・昭和アニメ『大冒険タツドン』
・江戸時代『一世風靡』
・平安時代『平等院鳳凰ドンvs鳥獣戯カッ』
・紀元前『たいこの2000』
・2765年『The Future of 太鼓ドラム』
・2022年『GO ON ~未来へ~』

 江戸時代以降は、どの世代と盛り上がれというのだろうか。まあこういうワケわからんところが『太鼓の達人』らしくて良いんだけど。

1.轟け!太鼓の達人/steμ×マスブチ×ササオカ feat. 谷本貴義&たかはし智秋

 いい。『タイコロール』も悪くはないんだけど、やっぱり自分が太鼓に求めているのは、こういうお祭り系なんだよなあ。
 ちゅーかこのゲーム、ビジュアルのコンセプトのわりに、お祭り系の曲少なすぎない?
 もっと増えてほしいし、貴重な盆踊り系である『春夏秋冬ドンドコドン』も、そろそろ日の目を見るべきだと思う。


 歌手のお二方(特に谷本氏)が本当に元気よく楽しそうに歌っていらっしゃるので、聴いていると思わず笑顔になってしまう。
 おふたりとも歌が上手いのはもちろんですが、昔から『太鼓の達人』に携わっていらっしゃるという点もあり素晴らしい人選ですよね。
 曲および譜面に『亜空間遊泳ac12.5』の引用が見られるが、これはタイムトラベルにかけているのかな?

 歌詞も最高。自分が全良のことをかたくなに「ドンダフルコンボ」と呼ぶのは、9割くらいこの曲が原因です。「ドドンと鳴って そらカッカカッと軽やかに」のところとか、ちょっと『伝説の祭り』感があって特に好き。

『世界はいつでもミステリー』や『つながれ!ひろがれ!打ち上がれ!』もそうだけど、直球ゆえに良さがキッチリと伝わるんだよな、ササオカ氏の詞は。
『太鼓の達人』に初代から携わってきたスタッフさんが、こういうまっすぐな歌詞を書いていらっしゃるのがなんかいいね。

 譜面は正統派かと思いきや、一筋縄ではいかない。でも楽しくて良い譜面です。さすがエトウ氏。
 なかなか骨がある……というか、骨がありすぎて未だにフルコンボできない。終盤の複合が全然捌けません。ああいう譜面って、地力がないとできないんだよな。

2.パラレルロリポップ/Sho Okada

 可愛いといえば可愛いし、カッコイイといえばカッコイイ。切ない系といえば切ない系っぽいし、楽しい系といえば楽しい系っぽく聴こえる……なんだコレ? フシギな感じ(というとなんか違う気がする)だな。言葉に表せない。
 主に言葉を扱うプラットフォームなのに、この投げやりな感想である。

 どう足掻いても文章にできなかったので、曲のイメージについて短い言葉で書くと「ピンク色」「差し色でパステルブルー」「ほのかに甘い」「ふわふわ、あるいは浮遊感」って感じかな。
 そういや過去のナムコオリジナル曲が声ネタとして使われていると聞いて「ひゃっほう!」ってなっていたのに、ひとつもワカラン。いつか答え合わせしていただきたいものです。

 譜面は……まあ好きでも嫌いでもないかな。
 でもドカドカドカドカ……ドン(大)のあとに音符が流れて来なくなるところは好きです。
 曲は音が鳴ってるのに譜面はしばらく無になるヤツ、無条件で好きになりがち。『季曲 ~Season of Asia~』や『Choco Chiptune.』がそうですね。

 ちなみにSho Okada氏の曲は音楽原作キャラクタープロジェクト『電音部』のインスト曲『Intersection』もオススメです。

3.4+1のそれぞれの未来/cosMo@暴走P feat.初音ミク

 あの、実はまだこれ聴いてなくて……。楽曲レビュー記事で「聴いてません」なんてことあるか普通?
 太鼓チーム公式生放送で『GO ON ~未来へ~』が発表された時、4+1と思しきパートで「あ、ここ知らねえ……」ってなっていました。完全にドンだー失格である。聴いたらちゃんと書き直します、たぶん。

(追記:ちゃんと聴きましたが記述はこのままにしておきます。いい曲ですね)

『太鼓の達人プラス』のプレビュー部分を聴く限りでは『初音ミクの激唱』や『0→∞への跳動』に近い感じなのかな、雰囲気的には。

 cosMo@暴走P氏のナムオリ曲は、確か『初音ミクの消失 -劇場版-』くらいしか聴いたことがない。
 アレって『太鼓の達人』の10周年を記念する曲のひとつなんだよね? なんで『初音ミクの消失』が題材なんだろうか。それをずっと疑問に思っている。


 決してcosMo氏の曲がキライというワケではなくて、『初音ミクの分裂→破壊』や『∞』、『さよなら常識空間』等好きな曲もけっこうあります。

 YouTubeには2018Remake版しか無いんですね。原曲も良いので上げてくださらないかなあ。

 ただ、いずれも(劇場版消失含め)太鼓でやりたい感じではないというか……SEGA音ゲーのほうが合うんじゃないかなあという印象。
 でも、cosMo氏って綺麗めなサウンドやシリアス系のイメージがあるけど、『初音ミクの暴走』みたいにはっちゃけ路線もイケるワケですよね。
 ということで(?)25周年は、ドコドン元気なお祭り系!って感じのをお待ちしております。

4.Hold me tight/Tatsh&musica with パークマンサー

 ハイ、キましたコレ! 大好き!
 太鼓 de タイムトラベル楽曲の中で、聴く前と後でいちばん評価が変わったのがこの曲です。
 いや、Tatsh氏のユーロビートってことで楽しみにしてないことはなかったんだけど、ここまでイイとは思っていなかった、正直。

 しかも、パークマンサー氏という芸能人らしき方(恥ずかしながら存じ上げなかった)が参加されていることが直前に発表され、ぶっちゃけ「大丈夫かコレ……?」と思っていました。
 しかし、この曲の個人的MVPは、まさかのパークマンサー氏っていうね。本当にスミマセンでした! 氏には足を向けて寝られません。

 ドチャクソにカッコよくてノリノリなサウンドなのに、ヘンテコなラップ詞が乗っかっているのがもう最高。大好き!
「カッコイイ」と「ヘンテコ」の両立というのは、『太鼓の達人』伝統の『さいたま2000』に通ずるマインドでもある。2000シリーズスキーの端くれである自分が、この曲に惹かれないハズがなかったのである。

 パークマンサー氏には、ぜひまたナムコオリジナルでラップを歌っていただきたいです。できればまたTatsh氏のユーロビートで。
 もうね、コレと同じようなヤツでいいんですよ。こういう曲は2、3年に1回くらい欲しい。次のラップは馬語かな?

 譜面も正統派かつ楽しいシンプルイズベスト。さすがエトウ氏! もう何も言うことはありません。再びの投げやりな感想。

5.Donder Time/おおがみまさこ feat.団地ノ宮琴子

 コレ、とてもイイんですよ。こんなnote読んでないで、ゲーセン行って太鼓やってください。あるいはスマホ版とかSwitch版とか。

 コンポーザーがおおがみまさこ氏ということで、企画発表当初からめちゃくちゃ楽しみにしていました。
 期待が爆発しすぎて「もしコレで拍子抜けだったらどうしよう?」とちょっと心配になるレベルで楽しみにしていました。
 しかし、おおがみ氏はその上がりすぎたハードルを易々と超えていくのである。すげぇ。

 ニジイロVer.になったし、acシリーズ新作来ないかな?という期待もあったが、そちらは残念ながら叶わず。しかし、この曲が本当によすぎるのでまったく問題ナシです。

 太鼓 de タイムトラベル楽曲でいちばんタイムトラベルしているのは、この曲と『大冒険タツドン』だと思っています。
 なんというか、曲全体からものすごく「あの時代」を想起させる香りがするんですよ。80年代生きたことないのに。
 そしてコレでもサビの歌詞がちゃんと『太鼓の達人』なのが最高にナムコオリジナルで良い。

 シティポップをリミックスするFuture funkというものがあるらしいですが、この曲でもやってくれないかなあと思っています。
 古代祐三さん、ちょっとナムコオリジナルに興味ありません?


 譜面制作もおおがみ氏なんですよね。
 BPMが低めの曲に譜面つけるのって難しそうだなあと思うんだけど、ちゃんと骨がある譜面でしかも楽しい。サビの連打とかもスゴく良い。
 そろそろゲームセンター版でもフルコンボさせて……。

6.恋はドント・ダウト/Kawagen Kollagen with yuzuki

 昭和アイドルといえば、松田聖子の『赤いスイートピー』とかイイと思うんだけど80年代なんだな、アレは。
 じゃあ70年代はどんな曲があるんだ?と思い軽く見てみると、ピンク・レディの『UFO』を発見。
 アレってけっこう尖ってる曲だと思うんだけど、それが流行するのってスゴいよなあ。キャッチーなダンスがウケたんだろうか? 当時のことはよくわからないので何ともいえないが。なんにせよ好きな曲です。


 ちなみに尖った曲の流行といえば、90年代だけどたまの『さよなら人類』もエグいなあと思う。よく流行ったなあんなの(褒めてる)。
 なんか当時はノストラダムスの大予言とかあったらしいし、それも関係あるのかな?

 で、この『恋はドント・ダウト』は、いたって普通の正統派アイドル風味の曲。前置きが完全にただの余談である。
 川元義徳氏ってクセ強曲のイメージあったんだけど、よく考えたらクセが強いのは譜面のほうで、曲はそうでもないんだな。『そつおめしき』も川元氏だし。

「アイドルはトイレに行きません」系アイドルの香りがしてカワイイ曲ですよね。
 ライブに行きたいというよりかは、テレビ越しに「可愛いなあ」と憧れていたい。
 いかにも清純派っぽい歌詞には「かんたん」「ふつう」「むずかしい」「おに」「裏(返し)」が含まれていて、こういうアソビ心がたまりません。

 譜面も曲に合っていて、かつ個性的な感じがいいですね。高速もハネリズム系も苦手な自分は阿鼻叫喚ですが。
 いつもどこかしょうもないところで不可が出るんだよな。


 後編はこちら

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