見出し画像

少年は青年になれなかった。

あるとき、少年は、自分がこれまでの人生で、何かを為したかを考えた。
何故自分が生まれたのかを考えると、虚しくなるだろう。理解もできないだろう。解ったと思っても他人に理解を求めようとして挫折するだろう。
考え抜いた結果、自分自身が、何者でもなかった、と確信してしまったら、その時、人間はどういう心理状態になるだろう。何者でもなかったという事は、未来が虚無であるという事。過去、何も価値が無かった、何も為せなかったという事。
少年が、導き出した結論はこうだった。
これからの人生で、僕は、人の上に立つ、自分の望むような人間ではなく、誰とも違わない、そこら辺を歩いている人と何も変わらない人生しか待っていないという結論だった。
不本意な結果だった。

ここから先は

2,799字

¥ 400

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?