見出し画像

凡人、アートと戦う。

絵を描くのが好き。

……というと、決まって「絵が上手なのね」と思われてしまうので、このワードは厳禁。

色を塗るのが好き。

……というと、今度は塗り絵が趣味と思われがち。

いたずら書きが好き。

……というと、趣味というよりも時間つぶしのような感じになってしまう。

何て言ったら上手く伝わるのだろうと考えて、考えて、結果「画材をいじるのが好き」と言うようにしてみたら、全然つたわらなくなった(汗)

画像はイメージです

YouTubeで紙工作の作り方動画をアップしているくらいなので、もちろん紙工作は大好きだ。

特に小さくて、ちまちまとした紙工作が大好物で、何かひとつのことに集中している時の、無心になっている感覚がこの上なく楽しい。

絵を描くのが好きな理由もこれとよく似ていて、無心になって色を塗っているのが好きなのだ。極論、絵のできはどうでも良かったりする。

けれど。これをひと言で伝えるのが思いのほか難しい。

それでも紙工作の場合はまだいい。「紙工作が好き」と言うと多くの人は小学校あたりの図工の時間を思い描いてくれるので、必要以上のプレッシャーを感じることはない。

ところが、こと絵に関しては、なぜか人々の「好き=上手い」の思い込みが激しくて、何となくただ画用紙に色を塗っているだけの身としては肩身の狭いことこの上ない。

オイルパステルをガシガシ塗っている時。
息をとめながら、細かい部分を水彩の細筆で塗っている時。
チューブからとろっと絵具が出てくるのを眺めている時。

そんなあれこれが楽しくて絵を描くのが好きな私にとっては、このびみょーな立ち位置をいったい全体どうやって伝えればいいのだろうと、ぼんやりと考えることがある。

……なんて書いてみたところで、実際の絵をご覧になっていただかないと皆さんも想像しにくいと思うので、とりあえず絵を貼り付けてみる。

自作

オイルパステルで塗りたくったチーターさん(これでもなるべく上手そうなのを選んだ)。

ぬめっとしたオイルパステルで、画用紙の白い部分を塗りつぶすのは思っている以上に快感で、私にとっては大事なストレス解消の時間なんだけど、趣味と名乗る勇気がどうしても出ない。

で、最近。
そんな趣味もどきにいくばくかの変化が訪れた。

物の形を取らえるのすら必要ないんじゃないかと思えて来て、やみくもに色を塗ってみたのだ。

これはこれでとても楽しかったのだけど、これを見た家族が言った言葉が

「何か悩みでもあるの?」

ない(~_~;)
たぶん悩みはない……。

いや。
しいて言うなら。
自分の趣味の伝え方がわからなくて悩んでいます。

美大を卒業しているとか、見るからにアートの実力があったなら、きっと「悩みでもあるの?」なんて聞かれない。感性だとか、才能だとか、ひらめきだとか、そんなきらびやかな言葉に彩られて、何とはなしにみんな納得してくれることだろう。

それに対して。
家族にいらぬ心配をかけてしまう(?)自分って、もはや笑い話の領域だ。

芸術の秋。
凡人には凡人なりの、どうでもいい悩みがあるものである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?